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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
175/263

草津にて(其の参)

 解放されたコペルニクスはすぐに反撃はせず情報収集のために悪魔教徒達に同行する。


「けひひっ、ピヨリィ様。早速、これを源泉に混ぜ観光客達を呟憤怒女つゐふぇみ化させましょう」


「お仲間がたくさん。これほど心強いことは無いです」


「オゥケー。ミー達はいつも通り湯畑前で人々の注意を引きマース。百合子、ユーが源泉へこれを持っていって入れるのデース」


「ええ! ええ! これくらいなら私でもできます。ああ、これで村長の座は私のものに。ナヲト様、待っていてください。大金を貢ぎ貴方を大江戸の大スタァに……」


 コペルニクスにまったく警戒心もなく今後の行動を相談する悪魔教徒達。

 これ以上の同行は意味がないと読んだ彼女は悪魔教徒の1人が手に持つ鉄パイプを取り上げ悪魔教徒達を蹂躙する。


「ユー、まさか効果が切れましたカ?」


「ん、変な声は聞こえたよ。マスターの名前を言っていたような?」


「ケラケラケラ。やはり星々の庭園(スターガーデン)でしたカ。ユーのマスターが呟憤怒女を生んだことも理解したのではないデスカ?」


「ん、あの声の主自身のせい。勝手にマスターを信じ勝手に裏切られたと思い込み発狂しているとあたしには伝わった。マスターは自由気ままな猫みたいな御方。あたし達星々の庭園はそれを知ってマスターに忠誠を誓っている」


「ホォォォン、そうですカー。ま、これで計画は失敗デース。ミーは今すぐこの場を退散させていただきマース」


 ボンッ


 そう言うと煙玉を地面に投げ捨て身を隠すピヨリィ。

 ただの煙玉なら目の見えないコペルニクスには何の意味も無い。

 だが、錬金術師ピヨリィの特製煙玉はただ白煙を発生させるだけではなかった。


「ギャォォォン!」


「ギャォォォン!」


 意識を失っていた悪魔教徒達の身体が変化し怪物の姿に変異していく。


「ケラケラケラ! ユーには呪物に取り込まれた呟憤怒女達の相手がお似合いデース」


「ギャォォォン! ギャォォォン!」


 怪物が放つ虚しい雄叫びに動じることなく血だらけの鉄パイプを振り下ろすコペルニクス。


(セカンドレイドの正体が悪魔だったなんて驚き。でも、レイドボスなら悪魔でもおかしくは無いかな?)


 コペルニクスは余裕で怪物の攻撃を躱し追撃を加えていく。

 だが怪物のぶよぶよした皮膚に衝撃を吸収され、まるで効いている様子が無い。


 ドゴッボゴッ!


「ギャォォォン! ギャォォォン!」


(ん、このままじゃジリ貧。仕方がないアレを使うか)


 鉄パイプを地面に擦りながら怪物に向かって突撃するコペルニクス。

 小さな火花が地面と鉄パイプの間で発生する。

 そして、大きく振り上げた時だった。


「あたしの型! 火炎刃!」


 ボッ!


 鉄パイプが激しく燃え上がる。

 

「ギャォォォン!」


 皮脂だらけの皮膚が故、激しく燃え上がる怪物。

 黒焦げになるまで炎が消えることはなかった。


(火炎刃……あたしの断罪により血祭りに挙げた人々の血と脂がこの鉄パイプには染み付いている。その脂に着火することで火炎刃は技として成り立つ。我ながら上手くいった。満足満足)


 だが、この技の弱点としては熱伝導率の良い鉄のため持ち手である部分も熱くなり長く持っていられないこと。


「アチチチ! ふぅふぅふぅ……ん、リーダー格のセカンドレイドは逃がしちゃったか。ひぃふぅみぃ……あれ? 村長の奥さんが見当たらない」


 百合子はコペルニクスと怪物の戦闘中に意識を取り戻し、その場をこっそりと離れていた。

 行先は勿論、草津温泉の源泉である湯畑。

 

「はぁはぁはぁ。くそっ、やはり湯釜の中へ放り込んでいた方が正解だったじゃないの! くすっ、まぁ良い。ここまで来れば私の勝ち。草津は私のものとなる! すべての売上金をナヲト様に貢ぎ私は愛されるのよぉぉぉ!」


 ポチャン


 ホス狂の百合子に罪悪感など無い。

 呟憤怒女化促進剤T型を源泉に入れる百合子は笑いを堪え、その場を離れ再び姿をくらました。

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