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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社崩壊編Ⅰ
163/263

窮地にて(其の参)

「ギャォォォン! 生まれた瞬間から男は性加害者! ギャォォォン!」


(なんということでしょう。拙の失策でシリウスまで理由の分からないことを叫び始めました。もとに戻す方法も判明していない中、このままではリゲル・ベガ・プロキオンと拙だけでなんとかしなければなりません)

 

「おっほほほ。さて、お前も行くざます」


「ギャォォォン!」


 ガッ


 呟憤怒女つゐふぇみと化したシリウスは近くまで来ていたプロキオンに襲いかかる。


「シリウス! しっかりするでござるよ!」


「ギャォォォン! ギャォォォン! 献血にチー牛の血が混ざってる! チー牛の体液を若い女性に入れるのが目的! ギャォォォン!」


 ガブッ!


「ぐっ! シリウス……止めるでござる!」


 シリウスがプロキオンの腕に噛みつく。

 それに呼応するかのように他の隊員達もプロキオンのあらゆる箇所に噛みついていく。

 

「うわぁぁぁん! 止めてよぉ、アンセル!」


「ぼ、僕を食べたって美味しくないぞ! こら、よすんだ!」


 ベガやリゲルに襲いかかっていた隊員達も噛みつき攻撃に変わり2人も隊員達に噛みつかれてしまう。


(この状況は非常によろしくないです。拙は防御陰陽術を展開しているおかげで無事ですが噛みつかれた3人を放っておくわけにはいきません。でも……でも……拙は最弱を演じる必要が……)


 カペラに必死に噛みつこうとする隊員達はカペラの身体に触れることもできず、奇怪な叫び声を上げ歯を何度もリゲルに突き立てている。


「ぐぬっ! な、なんでござるか……この声は……頭の中に……うわぁぁぁ!」


『私は今日も立ちんぼしている。今、女子界隈で有名な頂き女子ミコちゃんとやらが出版したおぢさまから大金をせしまる完全マニュアル。私はそのマニュアルを実践し1日に40両を得ることも簡単だった。若かりし頃までは……。30代後半にはおぢから見向きもされなくなり輝いていた私は既に過去のもの……。今は誰でもいい。結婚してくれる男を探し今日はお見合いパーティーだ。 まずは一人目、職業米農家? 土いじりなんかするかっつーの。映えないし。次の彼は笠売り? 嫌よ。作るのも売るのもめんどいじゃん。これは選り好みじゃないの! 私に似合った男がいないだけ。そうこうしているうちに40後半になってしまい……あああ! キモいキモいキモい! どうして世のオスはキモい奴ばかり! キモキモキモキモ! キモさエンドレス!』


 黒い感情とともに何かがプロキオンの脳を侵食していく。


「ぐわぁぁぁ!」


 プロキオンが大きく叫び声を上げた直後、額に恨の文字が浮かび上がる。


「ギャォォォン! ギャォォォン!」


「おほほほ、残り3名ざます」


「そ……そんな……プロキオンまでもが」


「うわぁぁぁん! わちもあんなのになるのやだぁ!」


 リゲル・ベガの両名は必死に噛みついている隊員を引き剥がそうとする。

 一方、カペラは冷静に状況を分析していた。

 

(プロキオンはパープルに触れられていない。それなのにシリウスと同じように発症したのは噛みつかれたため? だとすればリゲルとベガも発症する確率が非常に高いです。いいえ、もう手遅れと言ってもおかしくないでしょう。それは拙以外が全滅したことを意味します。誰も見ていない状況なら拙は本気を出せます)


 カペラはリゲルとベガのほうへ視線を移し静かに見つめる。


「か……カペ……ラ様……逃げ……て」


「カペラしゃまぁ」


 2人と視線が合うとこの場を離れるよう促されるカペラ。

 彼はふと思い出した。

 まだ3匹の子豚ごっこが終わっていないことを。

 そして、今現在3人を置いてシリウス達は追う側に回っている。


(これって……もしかして……なるほど、そういうことですか。拙は未だにお兄ちゃんということのようです)


 軽く本気を出すことを決意した彼に呟憤怒女と化したシリウス達が襲いかかる。

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