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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社崩壊編Ⅰ
125/263

拗らせにて

 2人の参加者が身包みを剥がされ拉致されたことで他の参加者は恐れ佛問の演説に声を挟まなくなった。

 

「ライオンの社会や蜂の社会ではメスが実権を握っているという……そう、わたくし達人類も女がすべての実権を握る社会を構築すべきなのです! そうすれば、真の平和が……」


(訪れるわけねぇですわ。少なくとも貴女達に任せたら人類が滅亡するのは確実ですわね。そもそも、自然界の動物と人間社会を比べて考えるなんて……)


 レグルスはこの演説会を通してやっと理解できたことがある。

 悪魔教信者は極度の男嫌い……ではなく、極端に拗らせた淑女の集合体だったと。


(おそらく若い女性を信者として取り込もうとしているのは悪魔教信者の平均年齢を下げるため。しかし、若い女性の多くはこのアタオカな集団に興味を抱いてくれない。そのため、色々と拗らせている悪魔教は入信を断る若い女性の未来ある性活に嫉妬し奴隷として攫う。なんというか……同情の余地も生まれないほど残念な方々ですのね)


「さぁ、では入信の誓いとしてキモいおじさんを3体ほど削除していただきましょう。証拠として削除したおじさんのあそこを切り落とし持ってくれば正式な悪魔教徒となることができます。おっと、逃げれぬよう見張りの信者を7名程度付けます。決しておかしな気は起こさぬよう……」


(殺害人数より見張りの数の方が多いですわよ!? こ、こいつら……入信希望者を初めから疑うなんて失礼にも程がありますわ!)


 だが、レグルスは同時にここから離れるチャンスであり、今この場に参加してしまった一般女性を助ける機会であることも閃いた。


(妾なら見張りの悪魔教徒から逃れることは可能ですわ)


 1人また1人と見張りの悪魔教徒と共に出入り口から出ていく。

 皆、恐れからなのか手が震えている。

 

「最後はそこの娘っ子……さっさとキモいおじさんを削除しに……」


 レグルスは佛問の声を無視し出入り口から出ていく。

 背後には見張りの悪魔教徒7名が付いてきている。


「さて、早いところ片付けないと見失ってしまいますわね」


「貴様、早く行け! キモいおじさんなどゴキブリのようにそこら辺に居るだろ! 早くその命を奪いちん◯を切り落とすのだ!」


「男性であろうと同じ人間。人の命を軽く扱って……本当に貴女達は悪魔の眷属なんですのね?」


 キンッ


「「げふっぅぅぅ!」」


 着物に仕込んだ暗器で隙かさず悪魔教徒7名の意識を奪い、近くの倉庫内に閉じ込める。

 その後、レグルスは屋根伝いに上空から参加者を捜索する。


「や、やっぱりできない!」


 近くで叫ぶ女性の悲鳴が聞こえる。

 レグルスは声の聞こえる方角へ向かうと1人の男性老人をまるで集団リンチのように悪魔教徒らが暴行を行い、止めを参加者に刺させるつもりのようだ。


「このジジイにそのナイフを突き刺す簡単なお仕事もできねぇのか!」


「貴様、ねぇよ男性にすっぞ!」


(悪魔教徒、この街で勝手な行動はさせませんわ。妾が天誅を下し……あら?)


 石塀小路の向こうから人影が見える。

 レグルスは足元が覚束無い酔った人影を目を凝らし見るが暗くてよく分からない。


(あの人影に助けを……いいえ、無用な被害は防ぐべきですわね。そうなれば、一刻も早く奴らを片付けて……)


 キンッ


 すぐに悪魔教徒を片付け参加の1人を解放させる。

 

「もう大丈夫ですわ。さ、早くお帰りになりなさい」


「こ、怖かった! うわぁぁぁ……」


 その参加者はあまりの恐怖でレグルスにしがみ付き大きく泣き叫ぶ。

 レグルスもその参加者の身体が小刻みに震えていることを理解し、軽く抱擁し優しく囁く。


「大丈夫、大丈夫ですのよ。これからあのような方々の口車に乗せられぬよう注意なさい……」


「げぇぇぇっぷ、いやぁ食った食った。こんなにプレゼントも買ってもらっちゃった。それにしても、今日のパパは財布の渇きが早かったな。金が無いのに美女へ貢いでしまうのも悲しき男の性……か。うん? れ……レグルス!?」


 その人影は美心であった。


「お、お義母様! こ、これは……その……違いますの!」


「ふっ……いや、良いんだ。お前の愛する者がたとえ同性であろうと俺は許す!」


 見知らぬ女性と熱い抱擁を交わす姿を見られたと感じたレグルスは、咄嗟に今の状況を説明しようとするが同時に軽く混乱して言葉がうまく出てこない。


「ち、違いますのよぉぉぉ!」


「安心しろ。お前とその娘だけの愛の巣を建ててやる」


「だからぁ! 貴女も説明なさい!」


「え、ええっと……」


 参加者の女性が悪魔教入信説明会の内容を美心に説明をする。


「妾も何らかの情報が得られるか他の参加者に紛れ潜入したのですが……その……なんていうか……残念な方々でした!」


「くくっ、お前もそう思うか。奴らは単なる更年期のしわわ……同情する必要など無い」


「お義母様、妾にはわからないことがありますの。あの方達は何故お相手を見つけることができないのかと。そして、何故あれほどに男性を憎悪するのか」


「くくっ、簡単なことだ。奴らはただ強欲なだけ……男と言えば高身長・高収入・高学歴だけでしか測れない哀れな者達なのだ。どれか1つも妥協も許せない、むしろ3高では無い男性は害悪な存在としか見ていないからな」


(男女の違いはあれど、そんな身勝手な思考で……なんて哀れな)


 レグルスは美心の話を聞いた後、悪魔教信者の自業自得に納得し静かな殺意を内に秘める。


「お義母様、妾は……」


「ふっ、何も言わずとも分かる。今、動ける者はすべて動員させよう。この街で悪魔の眷属に勝手を許すな!」


「はっ! すべて駆逐いたしますわ」


 レグルスは参加者の1人を美心に任せ、残りの参加者を解放するため京の街へ消えていった。


(んほぉ、まさかこんな展開が待っていたなんて! レグルス、なかなか凝った設定を思いつきよるわ)


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