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悪役令息の秘密の嗜み~今日も密かに悪役令嬢を愛でています~  作者: 夕綾 るか
第1章

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46. 元の場所へ

 


 ぷくっと頬を膨らませて怒る可愛い子孫(ステラ)を見て顔を綻ばせた御先祖様(ルーカス)に、ヴェガードとシアンは複雑な視線を向けた。


 そして、何といっても気になるのはその『呪い』の内容だ。


(あの様子ではステラは絶対に教えないだろう)


 ヴェガードもシアンも深いため息を吐いた。そんな二人にレイラが、ふふっと笑う。


『心配しなくても大丈夫だと思うわ。あの様子だと大した呪いではないと思うの。私がいえることではないのはわかっているし、貴方には悪いと思っているのだけれど……』


 レイラが気まずそうにシアンを見ると、シアンは首を振った。


「いえ。俺はこれを“呪い”と感じたことはありません」

『え?』

「不自由だと思ったことも、それがなくなればいいと思ったこともありません」


 はっきりと言い切るシアンにレイラは驚く。恨み言の一つや二つ、言われるかと思っていた。ただ、謝りたかった。


 しかし、シアンは全く気にも止めていなかった。

 

 レイラは小さく微笑むと『ありがとう』と呟く。シアンは無表情で頷いた。




 ザニアに向かって、二つの影が近づく。大地の神クロノスと大地の女神レアが話し出した。


『私が守護を与えているのはルーカスの魂だ。ここでルーカスと共に還ることになるだろう。だが……レアは君と契約している。だから私は新しい契約者が現れるまで待っているよ』


『そうね。私達はまたすぐに会えるわ』


 二人は微笑み合うと、そっと離れた。


 大地の神クロノスはルーカスの元に。大地の女神レアはザニアの元に。




 ずっと黙っていた悪魔ベリアルが口を開く。


『契約者のアリサがいなくなった今、私がいる場所はここではない。私も戻るとしようか』


 レイラが悪魔ベリアルに話しかける。


『ベリアル。ありがとう。貴方のおかげで私たち、間違えなかったわ』

『私は、何もしていない』


 そういうと、顔を背けた。レイラは口元に手を当てて微笑み、その様子にルーカスが顔をしかめると悪魔は最後にニヤリと笑う。


()()()()()()は、したがな』


 そう言い残し、ぶわりと風を伴って消えた。


 美しい悪魔が最後に放った一言にルーカスは目を細めると、レイラに視線を送る。彼女はその視線を合わせないように大きく逸らした。


『やっぱり、したんじゃないか!』

『だから、私じゃないって!』


 眉間に皺を寄せ、さらに顔をしかめるルーカスにレイラが眉を下げると、ちゅっと唇を合わせた。


 一瞬の出来事にその場の皆が目を瞬かせる。ルーカス本人も目をパチパチさせている。

 そんな彼の腕を取ると、レイラは子孫達に向けて微笑んだ。


『迷惑をかけて、本当にごめんなさい。皆、幸せになってね! 見守っているわ』


 ふわっと光の中に消えていく。ハッと我に返ったルーカスがステラに言った。


『色々と、ごめんね! ステラ、セイラ。君たちも幸せに!』


 満面の笑みを浮かべ、光の中へと消えていった。

 ルーカスが消えると、大地の神クロノスもふわりと姿を消した。


 聖なる木には、時を司る神クロノスが腕を組み、寄り掛かっている。


『さぁ。これで皆、在るべき所に戻ったね』


 シアン、ステラ、ヴェガード、ザニアはそこから見渡せる街並みを眺めていた。


 遠い先祖、神々の見ていた風景を。






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