表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息の秘密の嗜み~今日も密かに悪役令嬢を愛でています~  作者: 夕綾 るか
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/146

41. 神話と真実

 

 ◇◇◇◇



 国を見渡せる丘にある、一本の大きな木。


 その木の下に一人の青年が立っていた。そして、その木に近づいてくる、一つの影があった。

 青年はその人影を見ると目を見張った。その人影も同じように驚愕の表情を浮かべた。


『――君は……レイラ?』

「あなたは……シアン?」


 二人は向き合い、お互いに首を傾げた。


『あれ? レイラじゃ……ないね』

「え? あなたはシアンじゃないのね?」

『僕はルーカス』

「私はセイラ」

『ああ! 君か! クロノスが連れて来た子だね』

「ええ、そうよ。貴方は――」

『僕はルーカス・アステリア。ステラの魂に入り込んでいたのだけど、君が転生してステラの魂が消えてしまったから、この木に(すが)るしかなかったんだ。元々僕の守護神だったクロノスがこの木に(まつ)わる神だったからね』

「え? あの、アステリアって……もしかして?」

『そうだよ。僕はステラの先祖さ』

「でも、あの木の神話って……」

『元々はね、クロノスとレアの話なんだ』

「レア?」

『そう。大地の神クロノスと大地の女神レア。二人は夫婦神なんだ。君を連れて来たクロノスは、時を司る神で、大地の神クロノスとは別の神なんだよ』


 ルーカスはにっこりと笑った。セイラはその笑顔に驚いた。

 シアンの顔をしたルーカスが微笑んだのだ。あの『氷の仮面』をつけた顔が、見たこともない笑顔を作った。驚かないはずがない。

 ルーカスは彼女の表情を気にも留めず、話した。


『僕にはね、レイラっていう恋人がいたのだけど。君にそっくりで。だから間違えてしまった』


 ルーカスは苦笑いして『ごめんね』といった。


『僕たちは結ばれなかったんだ。()()()()でね』

「えっ?」


 ルーカスは悲しげに笑った。


『神の転生し続ける魂だったんだよ。僕らは。愛を伝え合うと、どちらかが死ぬ。レイラだったんだ。死んでしまうのが』


 セイラは息を呑んだ。


『不治の病になってしまった。僕は、彼女を救いたくて、必死で調べたよ。星の花について』

「――『星花の伝説』ね?」


 ルーカスはゆっくりと頷いた。


『丘までは見つけられたんだ。そして、そこにいるクロノスも。でも……星花の伝説は違っていた』

「え? どういうこと?」

『神が願いを叶えてくれるわけじゃない。大事なのは「星の花」自体だったんだ』

「それは――『その木に咲く、永遠の花』?」

『そう。だから……どう頑張っても、()()()()では無理だったんだ』


 ルーカスは俯き、目を伏せた。


『僕は……レイラにこのことを伝えられなかった。どうしても。そんな時、僕もレイラと同じ病にかかってしまったんだ』

「え……」

『僕の病を知ったレイラは、僕を救うために悪魔と契約してしまった。――そして、彼女の心は悪魔に捧げられ、彼女自身は魔女となった』


 セイラは大きく目を見開いた。


『悪魔の心を持った魔女は、その恐ろしさと残虐さから「悪魔女」と呼ばれるようになった。僕は……彼女を見ていることが出来なかった。耐えられなかった。レイラの姿をした「悪魔女」を――』


 ルーカスはそこで大きく息を吸った。そして、息を吐き出しながら一気に言った。


『――殺したんだ。僕の手で』


 セイラは驚愕し、口元を手で覆った。ルーカスは切なそうに微笑むと『ごめんね』と、呟いた。


『そして、僕もレイラと一緒に死んだんだ』


 セイラは大粒の涙をポロポロと流した。ルーカスは優しく微笑むと、それを親指で拭ってやる。


『レイラは呪いをかけた。僕の魂とプレアデスの家に。レイラの魂と僕の魂が出逢うまで、その身体に眠る心を凍らせる呪いを』

「それって……」

『多分、君が言っていた()()()だろうね。彼は――僕に似ているのだろう?』

「ええ。彼の名は――シアン・()()()()()


 ルーカスは目を見開き、瞬かせた。呼吸を整え、セイラを見る。


『呪いを……解かないとね』

「ええ」

君達(ここ)で終わらせよう。やっと終わることが出来る』


 ルーカスは優しく微笑んだ。


『そうだ。君にはもう一つ、話しておかなければならないことがあるんだ』

「?」


 セイラが首を傾げると、ルーカスが言った。



『死ぬ前にね、僕もかけたんだ。――「()()」を』




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ