1.プロローグ
初めまして、ねこのめ と申します。
ストーリーは行き当たりばったりな感じになってしまうと思いますが、それでも読んで頂けたら嬉しいです。
初めまして、名も知らぬ皆様。俺は柴咲 悠。「異世界転生」、と言う言葉をご存知でしょうか?
…まぁ、あれですよ。急に足元に魔法陣が現れて何処かに連れて行かれたり、トラックにはねられたと思ったら、見知らぬ地に飛ばされていたり…。剣や魔法を駆使して強敵を吹っ飛ばすアレですよ、アレ。
皆さん一度は憧れたりはした事ないですか?僕は有りましたね。
「いきなり何言ってんの?」と思う方が過半数を占めるでしょうけど、これには訳があるんです…
「現実逃避してるとこ悪いけど、今の説明で分からない所有る?」
異世界転生に憧れたことはありました。ですが、ですがね?本気で異世界に行きたいとは思ってないんですよ?!新作ゲームも買って無いし、社会人なりたて、人生これからって時にいきなりですよ?!
「ねぇ、聞いてる?」
まだ彼女すら出来てないし、親孝行もこれといってしていない…捨てられていたうちの子(猫)も心配だ…
「ていっ」(ゴッ)
「痛ったぁぁぁ!凄い音した!ねぇ凄い音したよ!」
目の前の美人さんから、脳天にチョップをかまされたとは思えない音が響いた。
「ごめんなさいね?これでも加減したのだけど…」
「どれだけの馬鹿力なんですか?!もしかして凹んでたりしてないですよね?!」
ゴリラか何かなのか?
「今の貴方ならこれくらい大丈夫よ」
今の俺なら…ね…
「ハァ…もう一度説明するけど、貴方は地球で死んでしまったのよ。事故でね。」
「……」
「でもま、貴方は契約でもう一度…二度目の人生を謳歌できるの。地球では無いけどね。」
「…そこは剣と魔法がありふれた世界だと?」
「そう言う事。世界名はテクリスト、貴方に分かり易く例えると、VRMMORPGのような世界ね」
「俺の…柴咲 悠の身体は?この身体はどう見ても違うよね?」
「何言ってるの。貴方死んじゃったし、元の身体でテクリストに行ったらまた直ぐに死んじゃうわよ?」
さいですか。
「だから取り敢えず、貴方が一番やり込んでたキャラクターと同じスペックにしといたわ。」
「あぁ、既視感の正体はそう言う事か…」
肩ほどまで有るサラサラの銀髪に、真っ赤な赤い目、白い頭とは真逆の、黒をベースにしたロングコートに黒いズボン。サーバーランキング上位にいつも入っている俺のメインキャラ、「ユーリィ 」だ。中二病っぽい見た目に関しては、自分の趣味である。
あのゲームは異常に自由度が高く、やり込み要素もアホみたいに有るから、際限なく上を目指せるのだ。ウチのギルドのメンバーもいい奴ばっかだったなぁ…
「テクリストでやって欲しい事も何も無いから、自由に生きてもらって結構よ?私の仕事は説明と転生手続きだけだからねー」
なるほど、俺の自慢のキャラクターで好きに生きろと…
「まぁ20ちょっとで死んじゃったのは残念だけど、二度目の人生を謳歌できる訳だし、元気出してねー?私からの特典でスキルも一個あげるからさ。これまでで何か質問はある?」
「えーと、俺が死んだ後の事と、スキルが気になるんですが」
「地球での事?それなら今頃葬式でもやってるわよ。両親も凄いショックを受けてるけど、前を向けない程じゃ無いから心配はいらないわね。スキルについては[メニュー]をあげるわ。分かり易いでしょう?」
「そうですか…有難うございます」
「はいはい。じゃ、そろそろいいかしらね。転生開始するから、リラックスでもしてて。」
足元に光が集まり、魔法陣のような形を作っていく。
「はい…」
「…それでは、貴方の二度目の人生に、幸多からんことを願っておきます」
こうして、「柴咲 悠」としての生が終わり、「ユーリィ 」としての生が始まった。