俺、転生する
『単刀直入に言いましょう。あなたにはほかの世界で転生できるチャンスが与えられています。
それは、ひとえにあなたが前世できちんとした行いをしていて、さらに力もあったことなど、いろいろな条件が重なって許可が下りたというわけですが、いかがしますか?』
「記憶はどうなるのですか?」
『申し訳ないですが、それはこちらで消させていただきます。
それに伴って、あなたが前世で培ってきた技術もなくなってしまうことになります。
その代わりといっては何ですが、スキルが普通1つ与えられるところが、2つ与えられることになっています。』
「そうか…あのくそじいにしごかれた分はなくなってしまうのか…
まあ仕方ないよな。別世界なわけだし。
ところでスキルっていったい何なんですか?」
『そうですね、シェルさんの世界にスキルはありませんでしたね。
スキルとは、その人に神から授けられた特別な技能のことです。
例えば10年の修行の成果で身に着けられる技術が、5年で習得できるみたいな感じです。』
「そりゃすごいな…」
俺は、くっそ意地の悪いじじいに10歳のころ弟子入りして以降、ずっと鍛冶の道に生きていた。
怒られたときには、俺ごと炉にぶち込まれそうになったり、俺の腕ごと砥石で研ごうとして来たり…
あ、思い出しただけでイライラしてきてわ。
でも、あのじじいがいなかったら確実に俺はギルドマスターなんてできなかったわけだし、そもそも生きていられたかわからない。
弟子入りとかかっこつけて言っているが、実際のところは口減らしに親に捨てられた俺を拾ってくれたんだ。
今どこでなにしているんだろうか。
急に、免許皆伝!とか言ってどっか行ってしまったのだが、まあ死にそうな感じではなかったし、どっかでしぶとく生きているんだろうな。
最後に一言ぐらい挨拶しておきたかったな。
っまずい、感傷に浸ってしまった。
「それはすごいですね。それを2つ貰えるってことは、何か裏でも?」
『疑い深いですね。そんなことはないですよ。ただ、世界の生活レベルを維持するためにそういうことをすることがあるんです。』
微笑みながら神はそういった。
まあ、今の俺が渋ったところで、記憶も消されるわけだし、別にいいか。
また努力すればいいわけだしな。
「その話、受けようかと思います。」
『そうですか!ありがとうございます。では少し手続きがありますので、少々お待ちください。』
そういわれ、俺と神様はその手続きを待っている間にとりとめのない話をして待っていた。
ほかの神様の容姿とか、日々何をしているかとか、ほかの神様の容姿とか…
『手続きが終わったようです。長い間お待たせしました。それではいってらっしゃい!』
「はい!神様もお元気で!」
そういうと俺はこの世界に来た時と同じように、ふっと、意識が途絶えた。
2回目だからなのか、すんなりと受け入れられた気がした。
まあ、否応なく意識はなくなるのだろうが…
ふう、やっと行ってくれる人が見つかった。
あの環境に適応できる人は、なかなかいないでしょうけどシェルさんは大丈夫でしょうか。
少しだましたような気もしますが、ギリギリセーフってところですかね。
せめて大人になるまで、生きていてほしいものです。
それもこれもスキル次第なのでしょうが…




