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桜の木の下で  作者: Nekomaru
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桜の木の下で 第二枚 「過去と現在」

「えっ……と…あの……だ、大丈夫……ですか…」


「……え?…」

 

「あー……いや、知らない人に言われてもあれかもだけど……」


私の目の前に突如現れた彼女。黒髪で肩につくくらいのハーフアップの髪型で、なにより美人だ。

なんだか清装系って感じの……


っていうかこの人……同じ制服着ているけど、同じ学校かな…?見た感じ同い年っぽいけど……


「そ、その……泣いてたし……」

「あっ……う、ううん…大丈夫……です…」


その時、


「怜香ー?!帰ったのー?」


向こうのお宮から、40代くらいかな?人が出てきた。この子のお母さん…?


「あっ、おかあさ……」

「えっ、だれ?その女の子……?」


と、私を不思議そうな顔で見つめる。そりゃ、人んちの神社でぺタッと座ってたらビックリするよね……


「えーっと……」

「えっ?!もしかして友達?!」

「いや……」

「えー!怜香にもついにお友達ができたの?!凄いじゃない!!」


もちろん私達は初対面だけど、そのお母さんは友達だと思ってかなり嬉しそうな顔をしている。


「ちょっと!とりあえずうちにあがる?!」


と、そのお母さんに腕をぐいぐい引っ張られて半端強引に中に連れていかれた。




「ごめんねー!うち貧乏だからさー!お茶くらいしかできないけど!まぁ、ゆっくりしていってよ!」

と、そのお母さんは部屋を出ていった。ここの部屋は和室で、部屋にはど真ん中に茶色い机があって、端っこらへんに仏壇があり、向こうには縁側があった。


「っと……ごめん…その……お母さん完全に喜んでいるみたいだから……さ…」 

「あっ……う、うん…大丈夫……です……」


会話たどたどしくない?と思うかもしれないけど、まずこの人が誰かもぜんっぜん知らないし、学校でも家でも一人だったから、人と話すの、それも同じ学校の人と話すのなんて久しぶりで……


「えっと……私は2年2組の博名怜香はくめいれいかです。」

「っと……2年3組の佐藤咲羅です……じゃあ隣のクラスか……」

(あ……今の名前聞いて思い出した……前(元)友達が言ってたけど、この子隣のクラスの不登校気味の女の子だ……)



そうこうしていると……


「お姉ちゃーん!入るよー?」

「あっ…うん!いいよ〜」


部屋のふすま?(名前わかんない)が開いて、ちょっと年下くらいの女の子が入ってきた。


「はい。これお茶です。あんまり豪華じゃないけど、ゆっくりしていってください。」

「あっ……うん!ありがとう……」

(礼儀正しい子……)


内心そう思い、お礼をいった。その子は部屋を出ていった。


「今の子……妹さん?」

「あー……えっとね……」


「あの……あの子は実は従姉妹いとこで……小学6年生で芽子めいこっていって……それとあの、お母さんも、お母さんって読んでるけど、叔母さんで……本当のお母さんの妹で……」

「えっ……じゃ、じゃあお父さんお母さんは…」

「あー……っとね、別のところに住んでるよ……私はここに住んでるけどね……」


と、博名さん…だよね?は気まずそうに言いたくなさそうに言った。


「そ……そうなんだ…」

(これ以上は聞いちゃだめだな……)


そしてしばらく沈黙か続いた。気まず過ぎたからなんか話そうかな。と思った矢先……


「っと……ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「え…あ……どうしたの?」

「っとその……あ、あのさ……さっきさ…あの、桜の木の下で……な、泣いてた……よね」

「え……」


そう聞かれビクッ!!ってなった。


「えっと……な、なにかあったの…?」


「あ……」


私は一瞬、この人に全部話そうかな。と思ったんだけど、この人とは初めて話したばかりだし、辛くて悲しい話ばっかり。重くなっちゃうんじゃ………


「あのさ……なにか、抱え込んでるものがあるんだったら、重くなっても全部話していいよ。誰にも言わないから……」


「……あ、あのね……」





私は、サラリーマンのお父さんと、パートで看護師をやっているお母さんのもとに生まれた一人娘だ。兄弟はいない。お父さんはとっても優しくて、疲れていても私の相手をしてくれる人だった。お母さんはガミガミうるさかったけど、いつも私のことを考えてくれていた。普通の平凡な暮らしだったけど、幸せだったんだ……

……そう、あの日までは……


その日は私が小学2年生の春、その日は私の誕生日で、お父さんは仕事帰りにプレゼントを買って帰ってきてくれる約束だった。


私は、お母さんとともにお父さんの帰りをわくわくしながら待っていた。テーブルの上にはたくさんのごちそうがあった。早く食べたいな。早く帰ってこないかなーーー……そんな気持ちで。



でも、その日は一時間立っても2時間立っても、お父さんは帰ってこなかった。お母さんはそれでも連絡一つよこさないお父さんを心配していた。でも私はずーと帰りを待ちわびていた。


しばらくしたあと、お母さんが私に言った。


「お父さん、お仕事遅くなっているみたいだから、先にごちそう食べていようか。」


私はものすごくがっかりしたけど、すごくお腹が空いていたのもあって、その日はお母さんと一緒に寂しく誕生日を祝っていた……



ご飯を食べ終わっても、寝る時間になっても、お父さんは帰ってこない。私はお母さんに「もう寝なさい」と言われても、ずーと玄関でお父さんの帰りを待っていた。だけど眠気には勝てなくて、玄関でうとうとと眠ってしまった。それからお母さんに部屋まで連れてってもらって、ベットの上で眠っていた。



何時間くらいたったかな。もう日付は変わっていて、夜明け前くらいで。突然一階からお母さんの叫び声とともに「バタン!!」と倒れる音がして。その音で私は目を覚ました。


「おかーさん、どうし……」


私がそう言い切る前に、お母さんは黙って私を連れて近くの病院まで一目散に駆けていった。


そこの病院はお母さんが働いていた病院で、緊急何とか室?っていうところにいった。「ピピピピピ!!」と心電図の音がものすごく早く鳴って、病院の人たちがたくさんいた。それでも私が一番驚いたのが、そこのベットに寝ている男の人が正真正銘のお父さんだったということだ………


そして、心電図は「ポーーーーーーーーー」っという音を病室内に響かせた。その瞬間、お母さんは泣き崩れた。私は何が起きているのか全くわからなかったが、お医者さんの


「午前4時23分、死亡。」


という声を聞いて、お父さんが死んでしまったことがすぐわかったのだ………


あとから知ったことだけど、お父さんは仕事帰りに狭い道でスピード違反をしている車にはねられたのだった。しかも人気のない道路だったから、しばらく誰にも気づいて貰えなかった。そしてお父さんの手には、私に渡す用のプレゼントが大事そうに握られてあった………



それからと言うもの、お母さんは家庭を養うためにパートから正社員になり、朝から番まで必死に働いた……それでもまだ八歳の私を一人夜遅くまで留守番させるのは不安だからと、私を幼馴染の家に預けることにした。

その幼馴染は同い年の子で理音りおんといい、家が隣同士で親同士も仲が良かった。その子の年の離れたお兄ちゃんが心臓病って言う病気で心臓が弱くて、よくお母さんの働く病院に入院していた。それでその子のお世話などをほとんど看護師であるお母さんが担当していたのだ。

そのかわり私を帰ってくるまでお邪魔させてもらうという感じだった。夜11時くらいにお母さんが家に帰ってくるので、そうしたらもうすっかり寝ている私を起こさないように連れて帰る。そんな日々だった……



だけど、小学5年生の夏、理音のお父さんの仕事の都合で遠くに引っ越すことになってしまった。私はものすごく寂しかったけど、またいつか会おう。という約束をした。

それから私は家で普通に留守番することになった。ずっと家に一人でいて、「今日はお母さんとゆっくり話せるかなー」って思う毎日。でも、少しは仕事は早く終われるようになったとはいえ、帰った来た頃にはお母さんすっかり疲れていたから、全く話せなかった。だから私はお母さんに迷惑かけないように、家事を全部私がやることにした。その頃から結構料理上手だった気がする。それでも、やっぱり寂しかったな………



そして私は中学校に入学した。順調に友達作りもできて、決して目立つほうではなく平凡だったけど、毎日楽しく学校生活を送っていた。


そんなある日のことだ。



「……あの!佐藤さん!!おれ、ずっと佐藤さんのことが好きでした。付き合ってください!!」

「え……ええええええ!?」


中学一年生の秋頃、私は突然、隣のクラスの高橋くんという男子に告白された。その男子は顔もイケメンで優しくて、すごく女子からモテる男子だった。クラスの子が何人か話していたような気がする。初めて告白なんかされて嬉しかったけど、その告白は断った。恋とかまだよくわからなかったし、なによりめっちゃモテモテの高橋くんと付き合うのは恐れ多すぎるからだ。

だけど、これがまさか、あんなことになるなんて………


それから数日後……


「いやー、にしても咲羅〜!うわさになってんよ〜?高橋くんとのこと!」

「ええ……そんな高橋くんとは何も……」


私はその時いつもどうり、友達と話していた。

私のことは噂になっていたし、友達グループの中ではそのことで話題が持ちきりだった。


「えーでも振ったの勿体無くなーい?付き合えばよかったのに〜」


「いやいや、流石に恐れ多すぎるよ〜〜!あ、ちょっとトイレ行ってくるね!」 

「はーい!」

「………」



トイレで手を洗っているとき……


「ねぇ、佐藤さん」

「え……鈴川さん…?」


彼女、鈴川笑美すずかわえみちゃんはクラスの女王様的な存在で、いつも取り巻き二人、紺野こんのさんと藤夜ふじよいさんと一緒に行動している子だ。そしてその3人組にトイレでいきなり囲まれた。そういえば笑美ちゃん、高橋くんのこと好きだったような……?



「ど…どうしたの?」

「いやー、高橋くんに告られたんだって?」

「え…あ……うん……」

「あんたみたいな平凡なのが、あの高橋くんに告られるなんて心外だったわ〜(笑)」

「それなw」


「んでさ、話変わるけど、私、高橋くんに狙ってたんだよね〜?知らないわけじゃないでしょ?」


と、いっきに空気が重苦しくなった。確かに笑美ちゃんが高橋くんのこと好きなのは、クラス内の暗黙のルールとなっていた。


「いやっ…!高橋くんとは何も……!それに断っ……!」

「ま、高橋くん盗って、ただで済むとは思わないほうがいいと思うよ…?」


それだけ言って、彼女達は出でいった。



その次の日から、私の学校生活は、地獄へと変わっていったんだ……


私は、逆恨みされた鈴川さんと、その取り巻き二人から、陰湿ないじめを受けることになってしまった。 



まず初めは無視から始まった。


「あのさ……」


「………いこ…(遠ざける操作)」


まるで私がその場にいないみたいな、そんな扱いをされた。誰に話しかけても、遠ざけられた。クラス中から無視されていた。


次は悪口。聞こえるような声で私に対しての悪口をいわれた。そしてどんどんいじめはエスカレートしていって、私の筆箱とか教科書とかの持ち物に落書されて、破かれて、捨てられて、隠されて、撮られる。

机の中や靴箱にはゴミを入れられ、黒板にも悪口を書かれることさえあった。

そしてついに、自身にも危害を加えられるようになった。トイレの個室にいると、上から水をかけられたり、お金を強引的に取られたり、思いっきりぶつかられたり、転ばされたり、倉庫に閉じ込められたりなどだ。そしてお金などを渡さなかったときは、暴力までされるときだってあった……


もちろん私は、高橋くんとは関わったこともなかった。それを何度も言ったけど、聞く耳を持ってくれなかった。きっと鈴川さんは、告白された妬みよりも、私へのいじめに快感になっていっているんだな……


そして私は、誰とも関われなくなった。友達も消えた。一人ぼっちになった……。


毎晩夜寝るとき、「目が覚めなかったらいいのに」って思う。だけどそんなことは現実には起こらなかった。毎朝学校に行くだけでも一苦労で、校舎の中に入るときは吐き気がするときだってある。家に帰ってからも今日一日あったことを思い出すだけで苦しく、何も気力がなくて、今ではもう作っていたお弁当作りや夜ご飯だって全く作れず、お母さんに任せてしまっている。


もちろんいじめのことは、先生やお母さんには話してない。鈴川さんは先生たちや大人にはいい顔をしているからいじめをしているなんて予想もつかないだろう………先生にいえば余計に酷くなるかもしれないし。お母さんには、私のために朝から晩まで働いてくれてるのに、心配や迷惑をかけたくなかったから……惨めだって、思われたくなかったから………



私は、学校でも家でもどこでも一人ぼっちだ……。なんで、こんな孤独なんだろうと、何度思ったことか……




「これ……が……わた…しの…か……こ…」


気づけば私は泣いていた。話しているとだんだん今までのことがフラッシュバックしてきて。うまく言えなくて、かなり時間がかかって話したけど、その間博名さんは、黙って聞いていてくれた。


「ごめん……なんだか、無理させちゃって……」


と、博名さんは申し訳なさそうにいう。


「だから…私……今まで、誰かがそばにいてほしいって……ずっと……」


「………」


「あの……それと…わたしもう一つ、あなたに謝らなきゃいけないことがあって……」

「……?」


「……その、私あなたのこと、ちょっと前から知ってて、いろいろ気になってたんです。で、今日、体育館でいじめてる奴らに囲まれて、倉庫に閉じ込められてた時、私影で見てたんです。助けようと思ってたんだけど、一足遅くて……ごめんなさい。」

「……あっ、じゃあ、今日倉庫で目が覚めたとき、何故か鍵が空いてたのって、博名さんが開けてくれたの……?」

「う、うん……」

「あ、ありがとう……!!」

「ううん……これくらいしか…」



そんなこんなで、部屋あった時計をみた。


「あっ!やばい!もう帰らないと!」

「あ……そう?」

「今日はいろいろありがとう。またいつか……」

「あの……さっ!」


帰ろうとふすまを開けたら、博名さんに呼び止められた。


「その……私……いっつも昼休み…屋上にいるから……よかったら…来て……」

「……!!」

「あ、あと…それと……」

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