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Episode 14


トレジャーハンター達を帰らせた後、残った面々でダンジョンに潜るための会議を行っていた。


「改めて自己紹介をしよう。私はパーティリーダーのカリヤ。一時的にこの場での指揮を執らせてもらうことになった。よろしく頼む」

「私はヤーマ。基本的に後衛で魔術を使って支援、攻撃をするよ。よろしくねー」

「マリスだ。基本的には斥候……罠の有無やモンスターが居るかどうかなんかを確認する役割だな。……まぁ、トレジャーハンターのあんたらには精度で負けるかもしれないがな!はっはっは!」

「そして最後に、俺はファミル。そこのリーダーと一緒に前線で敵の攻撃に耐えたり攻撃したりするのが仕事だ」


『獣達の行進』の中で、ダンジョンに潜る4人がそれぞれの自己紹介と役割を説明してくれた。

知っている仲ならともかく、今回は俺とレンという組んだことのない相手と潜るのだ。

中で混乱するよりも、外でそれぞれの出来る事を確認しておいた方がいいだろう。


「俺はカナタ。基本的には戦闘以外は1人でもなんとか出来る程度には修めてる。こんなことになっちまったから、手持ちにゃ食料や色々な道具もまだ残ってるから、足りなかったら言ってくれ」

「レンだ。ヤーマ殿が言っていた通り、魔術師崩れのトレジャーハンターだから、魔術をある程度扱える。……役割的には、ヤーマ殿と同じ立ち位置の方が混乱しなさそうだな。僕も物資はある程度残っているから、それを出そう」


こちら側が自己紹介をすると、本題であるダンジョンに関する会議が始まった。

といっても、今回の討伐対象である人を喰らう影が大量にいたボス部屋までの道のりについてがほとんどだったが。

ある程度の情報を共有し終わった後、話題は俺の恰好へと変わった。


「そう言えば……何故カナタは鎧なんて着ているんだ?俺達みたいな冒険者ならともかく、トレジャーハンターは基本的には戦闘を避けるように行動するって聞いたぞ?」

「あー……いや、これには事情があってな。試供品みたいなものなんだ。うちのギルマスから渡されてな」

「成程。【盗掘者の集い(エンム・リオル)】のギルマスが懇意にしている商会といえば……イディア商会だったか?あそこの売る武具は質が良いモノが多いと思っていたが……こういう裏があったわけか」

「中々頑丈そうな鎧だしなぁ。売り出されるのが待ち遠しいぜ」

『……む。主人様よ、この者たち見る目があるぞ!』


この場合は見る目がないといった方が良いのではないだろうか。

モンスターを狩る者たちが、そのモンスターに気が付いていないのだから。


「はは、それなら俺の方からギルマスにファミル達の事を話しておこう。優先的に買えるようにな」

「何!?本当か!それはありがた――あだっ」

「うちの馬鹿が失礼したな。……そろそろダンジョンに挑むつもりだが、準備はいいか?」

「失礼されてないから大丈夫だよ。準備の方も、元々潜ってたんだ。そっちこそ大丈夫なのか?」


そうやって持っているバックパックを見せるように言えば、苦笑しつつカリヤはそれもそうだと呟いた。

頭の中に『主人様がこんな人当りの良い笑顔を浮かべるとは……』と失礼な声が聞こえてきているが、無視しておくことにした。


ただ、今のメアリーの言葉で思い出した事があったため、先に用を足すと断ってからそこらの草むらの方へと1人でやってきた。


(メアリー)

『なんだ主人様。……あぁ、大丈夫だ。私は別に男の用足しなんぞに興味はないし、見てほしくないのならば目を瞑っておく』

(阿呆。そういう話じゃない。言っておかないといけないことを1つ忘れていたから抜けてきただけだ。勘違いするんじゃない)

『ほう?』


1つ溜息を吐きながら、恰好だけでもと思いしゃがみ込む。

すぐ近くに誰か来ない限りはコレで騙すことが出来るだろう。


(いいか?冒険者ってのは、基本的にダンジョンを攻略する以外に、今回のように依頼を受けて行動することがある)

『そうなのだろうな。彼らを見れば、ある程度そこの想像はつく』

(ただ、その依頼をする側が問題でな)

『……依頼をする側?』

(あぁ。基本的には一般人や商人なんかが依頼することが多いんだが……それとは別に、教会関係者が依頼をするパターンも少なくはないんだ)


教会関係者。

つまりは、聖堂騎士だったり司教など、亜人などを目の敵にする連中が冒険者に依頼をする事があるのだ。


『……それの何が問題なのだ?彼らも依頼程度はするだろう?』

(まぁそれはそうだが。今回の事で言うなら……もしかしたら、彼らの中に教会と親しい仲の奴がいるかもしれないってことだよ)

『あぁ、成程。『獣達の行進』という冒険者パーティから、教会の方に変な力を持った鎧がある、と情報が流れる可能性があるのだな?』

(そういうことだ。だからさっき言った障壁に関しては、鎧と俺の身体の隙間にバレないように張れ。外から見えないようにだ。出来るだろ?)

『出来ないとでも?任せろ、絶対に守り切ってみせよう』


メアリーは張り切るように言うと、そのままぶつぶつと何やら考え込んでしまった。

その独り言は全て俺の頭の中に聞こえているため、俺としては多少なりとも気が散ってしまってしょうがないのだが……まぁ言うだけ野暮だろう。


その後、俺らはパーティの待つダンジョン前へと戻り、再びダンジョン内部へと侵入した。

2度目のダンジョン攻略の開始だ。


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