幕間
――そこは、あまり人気がない場所で、誰かが通りかかっても足を止める様なもののない裏路地だった。
そんな場所にある古書店――「ふくろう」。
店は特に綺麗という事はなく、内装もごちゃとした、とある古書店街にも通ずる妙な乱雑さがあり、その上に至って店長も愛想が良くない。ぶっきらぼうと言うのか、いい加減と言うのか、店主にしては客商売であるという気概が言葉に表れていないのだから、場所も相まって客の足が遠くなるのは仕方のない店だった。
けれど最近、「ふくろう」にも常連になってくれそうなお客が足を運ぶようになった。常連見習い――いいや、常連になるかはお客の判断なのだから、常連風見学者と言えばいいか。
足しげく通ってくれているその客に対して、店主は些かばかりのもてなしを見せてはいるが、こんなにも足繁く顔を見せるお客など今まで出来たことがないから、内心では困惑しきりだ。
客商売としての礼儀と言うものが良く分からないし、そもそもファミリーレストランやハンバーガーショップ店員の様な笑顔なんて、ある程度の人生を送ってきた時間の中で作ったことがなく、作り方も分からない。
だから店主は、行動で表すことに決めていた。
A4サイズの白紙に書き付けて、店の前にべたりと張り付ける。
『 商品入荷の為、しばらく休業 』
わざわざ足を運んでくれたお客の心情など気づかず。
しかし、お客に喜んでもらうため、新商品を求めて。
主は店を閉めるのだった。
次回 終章 一話 「 ルチル、ごめんなさいする 」




