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短・森の秘密

作者: ぜっとさん

人間とは  常識とは  運命とは 

沈んでいるね。


派手に着飾った男が私にそう語りかけた


君は沈んでいる。なぜだ?




冗談ではない...なぜこんなことに...


私はただ散歩していただけなのに


ただこの山道を散歩していただけなのに


私は沈んでなどいない


確かに、近頃の私はついていない


仕事では些細なミスが重なり上司に大目玉を食らった


私生活では友人もおらず、惚れた女性にも冷たくあしらわれる始末


控えめに言ってもクソみたいな人生だ


だがしかし


だがしかしだ


私は沈んでなどいない


私は決して沈んでなどいない!


決して!





ふふふっ 本当、不思議な人。


派手に着飾った女が笑う


まあ良い。行くぞ娘よ。茶会に遅れてしまう。


ええ、お父様。参りましょう。





なんだというのだ


いったい私が何をしたというのだ


この派手に着飾った親子は私を驚かせ、嘲笑い、放置して


私は突然現れたこの親子に驚いて


足を滑らせて斜面を転げ落ち


今にも息絶えそうな状況に追い込まれているではないか


意識が薄れていくのがわかる


ああ、なんということだ


なんと救いのない最期なのだ


山道で足を滑らせて死んだ


いや、真実ではない


誰が信じるだろうか


仮に私の死の真相を語る機会に恵まれたとして


誰が信じるだろうか


最後にもう一度言う


私は沈んでなどいない


お前が、お前たち二人が...


まるで貴族のような恰好をした二人が...





浮いているのだ!!!





この木々生い茂る森の中で


鳥でもなく


虫でもなく


人間の、貴族の恰好をしたお前たち二人が


ふわふわと!








未知との遭遇




それは唐突




心構えなどない




死もまた然り














冴えない男と浮遊貴族の物語





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