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欲望は柔らかかった

唐突なスキンシップ

「そんなこと言わないで! 助けてください!」


「うひいいい?」


 薄っぺらいタイツ一枚のみの脚部、そこに急きょ訪れたモフモフなる快感に、キンシは悲鳴に近い驚きを吐き出した。


 視線を足元に降ろすと、何と言うことだろうメイが自分のふくらはぎ辺りに、縁日の日にたまに売っている抱きつき人形のようにしがみ付いているではないか。


「うわああ何お、何をなさっているのですかメイさん?」


 この短い時間内のやり取りにおいて、勝手に作り上げていた彼女のイメージ。その内に則していないメイの、突然なる行動にキンシは驚き半分おおよそ嬉しさの抗議をあげた。


「なにしているんですか、もっと体を密着させて……。じゃなくて、早く離れてください、動けないじゃないですか」


 いまいち説得力に欠けるキンシの抗議にも、メイは努めて動じることなく己の行動を止めることはしなかった。


 むしろ若者の反応を上目遣いで逐一丁寧に観察し、若者の体の動きに合わせて己の体毛の密着具合を調整させるなどと言う、幼女らしからぬ芸当までさらりとこなしていた。


 若者が幼女の誘惑によって若者らしい絶頂に達しようと、


 する前に、


「停止しなさい」


 トゥーイがメイの行動を止めさせるよう申告してきた。


 メイが腕の力を弱め、しかしキンシからまだ離れることなく今度はトゥーイを見上げる。

 トゥーイは彼女に語り続ける。


「嫉妬を開始しますよ、貴女もいい加減にしてください私と言う存在がありながら、いささか性的な感覚が強い傾向にある誘惑に、貴女は止めるべきなのにそのはずなのに」


 青年が青年なりの抗議文をつらつらと並べ立てる、その前に彼女たちはお互いの体を乖離させていた。


「すみません私…、少し方法に品がありませんでしたね…」


「ごめんなさい、あまりにも気持ちよかったもので」


 お互いに快感へと身を任せかけていたのを、ほのかに肌を上気させつつお互いにらしくなく恥じらいの態度を見せている。


「それで、どうするの?」


 一連の下らぬやり取りを特に大した感想もなく眺めいていたヒエオラ店長殿は、事が静まったタイミングを見計らって要求の押し付けを強化させる。


「そうですね、メイさんのような可愛らしい女性からこんなにも強くお願いをされて、引き下がれるほど

無粋なことは僕でもしませんよ」


 どうやらキンシは一つの決意を、やや邪な気持ちを混ぜつつも決めたようだった。

 若き魔法使いは染みだした汗を誤魔化しつつ、立ち上がってカウンターの外へ、争いの中へ心なしかゆっくりとした足取りで進んでいった。


「……」


「……ホント魔法使いって、欲望には忠実だよねえ」


 二人の青年は、彼女たちへ溜め息だけを贈っていた。

きのう書くのを忘れてしまったので、今日は二つ作ろうと思います。ご了承ください。

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