おっぱいを揉む場面
こんにちはお世話になっております。
両方に足がある。左は今のところ肉と骨のある本物の足で、もう片方、右は偽物の足だった。
だが今は、この瞬間においては、俺の右足が場面にて多大なる活躍を来たそうとしている。
その真っ最中であった。
魔術式が展開される気配を感じる。肉に直に触れて、皮膚を撫でていく。
敏感に感じる、感じずにはいられない。
それもそのはず、魔術式はすでに俺の肉体の一部分として組み込まれつつあるのである。
「…………ッぐ」
刺すような痛みが走った。しかし今は痛覚に甘んじるわけにはいかない。
なによりそれ以上に俺は興奮していた。それこそ下半身にムクムクとこそばゆい熱をおぼえる……。
短絡的に言えば勃起をしそうになるほどには興奮している。
性的な快感に近しいそれは、敵に攻撃を与えられる確信から由来している感情だった。
武器を構えながら、俺は両側の足を怪獣の表面に密着させる。
そして銃口を怪物の肉、肉塊へと固定させる。
「おや、標準はいらんのかえ?」
ミッタが頭のなかで俺に確認してきていた。
「ああ、今はまだ……いらないよ」
そういえば、すっかり頭の中での会話に慣れてしまっている自分がいる。
事実、なにかしらのサポートはまだ、まだまだ必要なかった。
何故ならば、ただ爆発させればいいのである。
偉大なる美少女魔導士さんによれば、爆裂! が最も最適な言葉になろう。
トリガーを引いた。
武器の内部にて火薬のごとき爆発がうまれ、銃口から魔力の弾が金属質な重みを伴って放たれる。
短い軌跡の後、藍色の炎が膨れ上がる。
ドッッッカアアアァァァーーー──!!!
爆発の最後の音を聞くことは無く、俺の意識はそこで途絶えていた。
…………。
拝啓、最愛のお兄さま。私の愛しの宝石、私だけの王子様。
お元気にしていらっしゃるでしょうか?
私、メイは今……。
「イヤアァァァァァ~~~~ン♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
おっぱいを揉んでいるのです。
…………。
なんともなぞ謎な状況ではあった。
きっと彼女たちは、とりわけ魔女の方はきっと、かなり頭を混乱させてあまつさえ此処にはいない空想の兄に向けて透明な手紙を書いているに違いない。
なにはともあれ彼女たち、つまりはキンシとメイは若い女性の魔術師の乳房に顔を埋めているのであった。
「うわー? 何なんあれ、チョーうらやまな状況なんだけど」
老人の声、少し疲労感を感じさせる掠れを含んだ声が聞こえてくる。
「ねえ、トゥーイ君」
トゥーイと名前を呼ばれた青年が声のする方に視線を向ける。
そこには一人の老人が立っていた。
「いいなあ、ツナヲさんも病み上がりに美女のおっぱいに埋もれてそのまま窒息死したいところだよ」
自分のことをツナヲと言う名で呼んでいる。
老人は大して悔しがる風でも無く、むしろ彼は目にしたもの、たまたま見つけた状況を楽しんでいる節があった。
それにしても、先ほどの攻撃で受けた負傷は大丈夫なのだろうか?
「さてさてさーて、この状況について、教えてもらおうかしら、そうしようかしら」
麗しの美少女と母性愛たっぷりの幼女を乳房で圧迫していた、若い女性の魔術師が状況への説明を求めていた。
「えっと~? いきなり怪物が合われたと思ったら人間さんが食べられて、それでそれを助けようとしたらめちゃくちゃにされちゃったって。そんなカンジー?」
おおむね正解ではある。
必要なことを語るとすれば、だいたいそのような感じになる。としか言いようがない。
現場を見た訳では無いというのに、魔術師はまるで全てを理解してるかのような、そんな余裕綽々さを見せつけてきていた。
「んぐ、んぐるるる……」
魔術師の供述に対し、感情が不明瞭な呻き声を漏らしているのはキンシの喉の奥だった。
「もごもごもご……もごもごもご……」
言葉を発しようとしている。
だが魔法少女の試みは、どうにもこうにも上手く実行されそうになかった。
「えー? なになにー?」
自分の胸元。
たっぷりの脂肪分を湛え、それを高級なランジェリーでしっかりと美しく均等のとれた形状に保っている。
男だったら死に際に埋もれたいと願いたくなりそうな、そんな見事なおっぱいである。
ビジネススーツと言う暗色の衣服。
地味な見た目、不必要な飾りはいらない。
この世界、社会と言う檻の中で戦うための装い。
常識的観点と言う鎧を身にまとう。
しかしながら、社会のための衣服であろうとも、その魔術師がもつおっぱいの魅力は隠しきれない。
そう、考えているのは魔法使いが約二名ほど。
その内の約一名が、どうにかしてブレストの虜から離れようと、懸命にこころを働かせようとしている。
「あの……あの……! そのですね……!」
キンシは抱きしめられたままで、どうにかこうにか、魔術師の胸の中から脱出しようとしている。
懸命な努力。
「あの……エリーゼさん」
魔術師の名前を呼びながら、最初は遠慮深く優しくポンポンと手で彼女の胴体を叩いていた。
「離してください、話したいので離してくださ……──」
「それにしてもマジヤバい、マジヤバなんですけどーーーっ!!!」
しかし残念なことに、少女の声は彼女には届いてい無いようだった。
ありがとうございます。




