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短編集 冬花火

羊の駅

作者: 春風 月葉

 誰かの言われるままに生きる人生、私は一度でいいから何かに抗ってみたかった。


 信号が青に変わると、それまで止まっていた時が流れだしたかのように人々は歩み始めた。

 駅前のスクランブル交差点では、皆が早足にすれ違い、消えてゆく。

 人の波に身を任せ、私は駅の方へと流されてゆく。

 カツ、カツ、カツ、カツ、ただ人の足音だけがする。

 気付けば私は三番ホームまで流されており、そこでようやく一度流れが止んだ。

 足音も聞こえない静かなホームではアナウンスがうるさいくらいよく聞こえた。

 きっとこの場所では他に何人の人がいようと皆が独り、個人でしかないのだろう。

 誰かが動き出すと他も動き出すのだから、まるで羊の群れのようだな…と、そう思った。

 次の列車の到着が近いことを知らせるアナウンスがホームに鳴り響いた。

 私は大きく一歩、黄色い線の遥か向こう側に足を伸ばした。

 トンッ、と身体も足に続いて軽く飛び出す。

 ホームの方を見ると、また止まった時間は動き出していた。

 直後、私の時間が止まった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは「自殺」なのかどうか非常に考えさせられました。羊の群れのように意志なく流されていく人間に比べたら、「私」の踏み出した一歩は「強い意志」を持つ行動なのかなと解釈しました。(間違っていた…
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