そして…
洋祐も私も少し唇がふるえていた。
何度も何度も優しいキスを繰り返す。
だんだん夢か現実かわからなくなりそうだった。
そしてやっぱり洋祐が好きなんだと感じた。
ゆっくりと唇を離し嬉しそうに洋祐が笑った。
その笑顔を見るだけで幸せだと思った。
そしてゆっくりと洋祐が口を開いた。
「あの日、夏々が出ていった後めちゃめちゃ後悔した。どうしてちゃんと捕まえとかなかったのかって…大切に思っていたのに逆に悲しませた自分にすげー腹が立った。」
洋祐の顔がしずんでみえた。
「いい歳したおっさんがさぁ みっともねぇよな、こんなメモ残して…来るかもわかんねー女の子待ってるなんて。自分がこんなに女々しい男だとは思ってもなかったよ」
私は慌て首を振る。
「夏々 ちょっと大人っぽくなったな。何歳になった?」
「22」
改めてそんなに年月が過ぎていたことを実感した。
「そっか。もう酒飲めるな。」
冗談ぽく笑う
しばらく沈黙が続いた後、洋祐が咳払いをして
真剣な顔で私を見た。
「今さら遅いかもしんないけど…話し聞いて欲しい。」
今までにこんなに真剣な顔は見た事がない。
私は静かに頷いた。
「…俺は夏々が好きだ。 今も昔も気持ちは変わってない。ぶっちゃけると、夏々が俺を好きになるよりもずっと前から好きだった…気持ち隠すのすげー大変だった。
そんで、このままじゃいけないって思った。
芸能の面白おかしく書き立てるネタにさせる訳にはいかないって。
だから、あえて夏々には何もしなかった。
守りたかったんだ。」
初めて洋祐の本当の気持ちを知った。
自分が いかに無知な子供だったのか思い知った。自分の気持ちばかりを押し付けて洋祐を苦しめていたのは私だったのだ。
「もし、夏々が今でも俺の事を好きでいてくれるなら…」
スッと深呼吸をして
「俺と結婚してほしい。」
とっさのプロポーズに頭が混乱する。
色んな事が頭をよぎる。
でも心は正直で嬉しくて涙が出てくる。
慌てた洋祐がシャツで私の涙をふく。
「泣くな❗俺お前に泣かれるのマジ駄目なんだよ。」
そして私を抱き締めると昔のようにポンポンと頭を叩くと優しく撫でながら
「嫁とはちゃんと別れた。
正直夫婦って言っても形ばかりでまともに夫婦らしい生活を送ってた訳じゃないし。
きちんとした形でもう一度夏々に逢いたかったたんだ。
その後は、めっちゃ仕事したなぁ~。
嫁の力だって言ってた奴らを見返したかったし、情けない事言うとCMに使われると夏々が聞いてくれるんじゃないかって、俺の事思い出してくれるんじゃないかっておもった。
ウケるだろ?」
忘れるハズがない。
毎日洋祐の事ばかりを考えていた。抱き締める手に力が入る。
「夏々も社会人になるし。新しい生活が始まるし、男くらい出来てるか。」
とっさに頭をあげて思い切り首を振る。
「洋祐の事、忘れた事なんてないよ❗
忘れれる訳ない❗
今でも、ようすけが好きだよ。」と言って必死に笑顔を作ってみせた。
「相変わらず分かりやすいな。
すげー嬉しい❗」と笑って私の頭をクシャっとした。
「遅くなってごめんな。
夏々。
愛してるよ…」
そして私たちは2度目のキスをした。
完