動き始めた気持ち
洋祐が帰ってくる日。
逢いたいのはもちろんだったが
自分の気持ちをどうするのか答えが出ずにいた。
それから何日かは友達との予定を詰め込み
なるべく考えてないように過ごした。
でも、ふと1人になると考えてるのは洋祐の事ばかりで気づくとスマホで洋祐の曲をダウンロードして何度も聞いていた。
(洋祐。何してるかな?)
(私が来ないから心配してるかな?)
(いい曲は出来てるのかな?)
(写メくらい撮っとけば良かった。)
布団に抱きつきながらベッドの上をゴロゴロする。ドテッ。ベッドから落ちる。
洋祐の大きなベッドに慣れすぎていたのか自分のベッドの大きささえ忘れている自分か情けない。
はーっと。大きなため息をついた。
次の日。
いつものように夕方から友達に会うため足を早めた。ふと、通りすがりにコンビニを見ると洋祐の姿が見えた。背が高いのですぐにわかる。
一気に心の中が洋祐でいっぱいになる。
私はそーっと店内に入り洋祐に近づいた。
カゴの中には大好きなビールとおつまみが入っていた。その後、新発売のパンを選んだり
私の好きそうなスイーツやお菓子をどんどん詰め込み最後に牛乳を手に取ると
小さな声でこれでよし。と頷くとレジに向かった。そしていつものタバコを買うと店を後にした。たった数分の事だけど
その時間だけは私の事を思ってくれているのだと思うと自然と涙がほほを伝った。
その後は言うまでもなく頭の中は洋祐でいっぱいになっていた。
私は友だちとの予定を早めに切り上げ
洋祐の家に向かって走り出した。
深夜から降る予定だった雨が早まったのかポツポツと頭に落ちる。
そして雨が本格的に降り始めた。
逢いたかった。雨なんかどうでもよかった。
逢いたいよ。
あなたへの思いが溢れそう。
こんなにつらいなら出会わなければよかったのに。
洋祐が作った曲の歌詞が頭に浮かんだ。
そしてやっとビルにたどり着いた。
息を整え、ゆっくりと階段を登った。
そしてゆっくりとドアを開けた。