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下る悪夢

 落ちていく。どこまでも。どこまでも。


 君が   で居られなくなるような夢を見た

   き 

    み

    は君のために泣いた。

 ぼ     泣き叫んでいた。

  く   それは気持ち悪いぐらいに。

 そのうち雨がやんで、風も収まって、

 君の落下は止まった。

 僕はまた泣いた、

 真性を知ってしまったき が怖くて泣いた

            み

 もう二度と君とは仲良くできないと思った。

 そのぐらい恐ろしい君をみた。

 むげんに広がる宇宙の隙間があって、

 それらは木々のようなビルの間の空しいところを繋ぎ合わせるためだけにあって、

 星々が光る闇、白い雲の光る青空がごちゃごちゃにあったが、

 とにかく落ちたら死んでしまうような恐ろしく高い場所だったんだ。

 そこにパラシュートもつけないでダイブした君は、

 大笑いしながら、にやりにやりと口角を吊り上げながら、

 如何にも面白くて堪らないという表情で、

 落下していったんだ!

 そして僕の必死の制止も聞かずに、

 くるくる回りながら落ちていって、

 ついに君は見えないところに行った。

 つまりは僕の真後ろだ。

 

 振り返るのが怖い

 下を見るのが怖い

 足元に何があるのか

 きっと君の大事なものがたくさん落ちている

 親やおじいさんおばあさんや祖先から受け継いできた大事なものが

 無残な姿で落ちている


 僕は信じられなかった

 これは悪夢だと思った

 悪夢であることはもちろん当たり前だ、

 これは怖い夢の話だ

 だけど悪夢ではなかったんだ、

 悪夢の中だからといってそれが夢とは限らない

 それがどういうことかわかるか。

 夢は現実っていうことだ。

 現実が「頭の中で考えるだけでなく実際にこうだ」ということなら、

 僕は頭の中でこんなことを考えていない。これは実際だ

 雨が降り始めた。空がまた曇っていった

 太陽や星たちが霧散して、

 僕は信じられなかった


 信じられないから、

 信じたくないから、

 下を見ないで下に逃げた。

 急いで逃げた。

 崖から飛び降りた。

 下を見た。

 君が死んでいる「下」より僕が死んでいる「下」だ。

 落下していく僕は真っ青だ。


 足元に地面があることが当たり前じゃない。

 地面はいとも簡単に崩れて、

 僕の知らない地底人が顔を出すんだ。

 下に誰かがいることが当たり前じゃない。

 誰かはいとも簡単に死んで、

 明日から僕は最下層になるんだ。


 これはあいのはなしじゃないよ。

 君は僕の下の層の人間だ

 今まで君がいてくれたおかげで僕は最下層じゃなかった

 その君が笑いながら落ちて死んだ

 僕は振り返るのが嫌だ

 僕は落ちるのが嫌だ

 君が死んで憎くて堪らない

 僕は落とす事を選んだ


 さよならだ。世界。

 


いや、なぜこんな怖い話になってしまったのか。

最下層に落ちるのは嫌ですね。ねえ。

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