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上る夢

 それは階段か否か。

 君は登っていくか否か。

 僕は見るだけか否か。

 階段の先には…


 何もない夢を見ていた、

 いつもより夜更かしした僕は、

 夢を見たのは覚えているのに、

 夢の中身はからっぽ。

 まるで中身の無いフォルダだった。

 赤いような光と白いような光とぼやけた君の声が出てきたのは覚えているさ。

 けどもう、五分後には忘れてしまう。

 青くてきれいな絵の衣をまとった流行の本が、

 僕の、僕だけの夢をかき消すから。

 言い表せない気持ちのために言葉を作った。

 贅沢にたくさん僕の時間を使って作った。

 この言葉が、この言葉の精いっぱいの声が、

 この言葉に与えられた使命が、この言葉に込められた僕の気持ちが、

 君にどうか届きますように!

 「はずれのアイスと同じくらい君を愛する!」


 素敵なすてきな夢を見た。

 いつもより早く寝た僕は、

 努力が実った夢を見た。

 ベストセラー枠で本棚に並ぶ僕の本を、君が手に取って読んでくれるんだ!

 分かってくれる

 読んでくれる

 君の心の一部になれたこと!

 でも夢だった。

 がっかりしたんだ。

 ため息を吐いて、重たい気持ちで朝食を食べた。

 そのまま学校へ行ったんだ、

 冷たい風が吹いた。

 これはかなしいはなしじゃないよ。

 僕は「今日の夢はいい夢だった」と思った。「この夢の中の一つで良いから叶ったら」と思った。

 自分の本が本棚に並ぶこと。

 自分の本がベストセラーになること。

 自分の書いた話や詩を君に読んでもらう事。

 どれもできるんだ。

 拙い言葉ですまないが、大発見だった。

 夢物語ではない。すべてできる。

 僕は嬉しくてスキップスキップしたが、

 怖いおじさんが来たのでやめました。


 上に登っていくだけの人生。

 なんやかんや、下っているように見えて、

 結局上にしか行けない僕は「くだらない」。

 上が必ずいいとは限らない。

 登り詰めた階段の先に何もなかったら?

 白い光と突風だけが吹く場所だったら?

 そのふちに立って、思わずとびだしてしまうでしょう。

 一瞬鳥になった気分を味わって、

 終わりだよ。

 上にあるものは虚像かもしれない。

 上にある観覧車は、都会のオアシスは、インディラや高子は、

 すべてまやかしかもしれない。

 上にある幸せな暮らしは、おいしい食べ物は、優雅な社交界は、

 すべて嘘かもしれない。

 それでも君は上へ行くか。登るのか。


 夢の中で階段を上った。

 君だけが上っていたはずだったのに、僕も一緒に上っていた。

 見るだけはやっぱりできなかった。

 一緒に上ろう。あの階段のずっと上まで。何があっても。


どうも、きらすけです。読んでいただきありがとうございます。

親切な方が評価をつけてくださったおかげで元気が出て、また書くことができました。

ついにクライマックスです。一応ですけどね。方向×夢編です。良ければ次も読んでください。

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