表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/51

第四章 漆黒の堕天使 下

今回から、人物紹介は上の時のみにさせていただきます。では本編をお楽しみくださいませ。

 

 アリスとレイラ、ナナは焦っていた。

 家に帰り着き、玄関の扉を開けようとした所、身に覚えのある魔力を近くで感知したからだ。

 アリスとナナは驚き、チラっと隣にいるレイラに目を向ける。

 三人の中で、一番驚いていたのは、間違いなくレイラだろう。

 何故なら、この魔力の痕跡はレイラに似ていたからだ。


「・・・テト」「ま、待ちなさい!レイラ!」


 魔力の痕跡が感じられたのは、朝みんなで学校の方へ歩いた方角から感じる。

 まさか、まさかとレイラは激しく動揺し、魔力の痕跡のする方へと走りだした。


 アリスとナナは、アリ王様の時と同じようなシチュエーションに焦って、玄関にカバンを置き、制服姿のまま駆け出すのであった。


 何が起こったのだろうか。

 レイラとアリス、ナナは信じられない光景を目撃する。

 電柱はへし折れ、まるでハリケーンに襲われたような道路。

 そこに一人の少女、否、一人の天使が立っていた。


「ちょっとそこのあんた!これあんたがやったの?」


 アリスは道路の真ん中に、ボーッとつっ立っている天使に向かって問いかけた。

 アリスの問いかけに、天使が振り向き、振り向いた天使の顔を見た三人は、固まってしまう。

 背中の羽や頭の上にある輪っか、髪の色が違うだけで、天使の正体は、間違いなくレイラであった。


「レレレレ、レイラさんが二人!?」


 ナナはレイラと天使を交互に見渡す。

 双子だと言われたら、納得してしまいそうなぐらい似ている。


「・・・テトに何をしたのですか」


 レイラはここにカズトがいた事を、ここにくる途中で気づいていたのだが、見当たらないどころか、辺りは酷い有り様であり、天使を鋭い目つきで睨みつける。


 レイラに問いかけられた天使は、不気味な笑みを浮かべ、突然笑い出してしまった。

 天使の笑い声が辺りに響き渡り、笑うのに満足したのか、天使はレイラを見る。

 この時アリス達は、天使の左眼に気づいた。


「まさか・・あんた・・」


 もしもアリスの考えが正しければ、おそらくこのレイラは手強い。

 それはナナも同意見だったのか、天使の目を見たナナの足は震えていた。

 あのレイラと戦う事になったら、間違いなく自分では勝てない。

 それでも。

 もう悲しい思いをするのは嫌だ!!

 ナナは唇を嚙みしめ、短く呪文を唱え、杖を取り出して天使に向ける。


「わわわわ我はナナナナナナ、ナナ!最強ままま魔法の使い手でああああある」


「いでよゴン太!」


 ナナが杖を構えるのと同時に、アリスは召喚魔法を唱え、ゴン太を召喚する。


「ナナ!ゴン太と一緒にカズトを探してきて」


「ハ、ハイ!!」


「馬鹿レイラ!ここでの戦闘はまずいわよ」


 アリスの言葉を受け、ナナはゴン太を連れてカズトを探す為、この場を立ち去った。

 少し顔が赤くなるナナ。

 せっかく決めポーズをとったのにと、心の中で愚痴るのであった。


 アリスとレイラはどうするべきか考えるのだが、いい案が浮かばない。


 リゼクトを使おうにも、魔力を使い果たす恐れがあり、向こうで戦闘にでもなったら、足手まといにしかならない。

 しかし、このままではここが、戦場とかしてしまう。


「・・・もう一度聞きます。テトに何をしたのですか」


 レイラは今にも飛び出したい衝動を、何とかこらえていた。

 右眼はとっくに紫色に変化している。

 レイラが鋭い目つきで睨んでいると、天使はニヤリと笑い、右手をレイラとアリスに向けてきた。


「ルミナスレイン」


 アリスとレイラに向かって放たれる、無数の光の雨。

 アリスとレイラはその呪文に驚きを隠せずにいた。

 呪文の威力もそうだが、身に覚えのある呪文を唱えられた事により、一瞬固まってしまう。


「ルミナスウインド」


 レイラは光の雨を空に逃がすべく、風魔法を放ち、アリスはレイラの右から、ブロック塀の上に飛び乗って、天使に向かって走りだす。


 天使に攻撃を仕掛けようと、力を溜めながら疾走するアリスだったが、突如、天使の姿が消えた。

 舌打ちをするアリス。


 天使が姿を消すと同時に、レイラも動いた。

 レイラの姿が消え、レイラが走り抜けたであろう道に、火柱があがる。


「ルミナスブレイク」


 レイラが呪文を唱えるのを察知したアリスは、ぐっと腰を深く落として、身構える。

 アリスの目の前に、レイラと天使の姿が目に入る。


 天使は真正面からアリスに、攻撃を仕掛けようとしていた所を、レイラのかかと落としによって封じられる。


 重なる二人の右足。


 睨むレイラと楽しそうな笑みを浮かべる天使。


「ヘルズアタック」


 レイラの後頭部に向かって、全力の呪文を繰り出すアリス。

 レイラはサッと身体を横にずらして、アリスの攻撃をかわし、天使にアリスの攻撃をあてようとする。


 天使はサッと右に、攻撃をかわしたのだが、レイラを見て思わず笑みを浮かべてしまう。

 アリスの攻撃は囮。

 本命は、攻撃をかわした後にできる、僅かな隙をついてのレイラの呪文。


「ルミナスレイン」


 アリスは全力で突っ込んだ為、ブロック塀を突き破り、天使はアリスの攻撃をかわす選択をし、レイラと逆側に逃げた。


 レイラはそれを見越して、真正面に立つ天使に向かって呪文を唱える。

 無数の光の雨が、天使に襲いかかる。

 しかし、天使は上空に向かって思いっきりジャンプして攻撃をかわした。


「残念でした・・くらいなさい!!ヘルズアタック」


 アリスは上空に逃げてくると予測し、天使目掛け、拳を地面に振り抜く。

 ブロック塀を突き破ったアリスは、上空に逃げてくるかもしれないと考え、上空で待ち構えていたのてある。

 アリスを侮っていたのが仇となり、天使は地面に向かって急降下していく。


「テトを傷つけた罰です」


 地面に急降下する天使を、待ち構えていたのは、先ほどからずっと放たれている、無数の光の雨であった。

 レイラはこうなる事を予測して、呪文を唱え続けていたのである。


 天使を襲うレイラの攻撃。


 辺りを砂煙が舞って何も見えなくなった。


 レイラの後ろに飛び降りたアリスは、流石にやったかと天使の方へと顔を向ける。

 全力で叩きこんだ自分の攻撃と馬鹿レイラの攻撃。

 無傷のはずがないと、アリスはニヤリと笑った。


 このレイラは強い。

 しかし、こっちのレイラと同じぐらいなのであれば、カズトとナナが加われば倒せる。

 気はすすまないけどね。


「・・アリス。まだです」


 レイラがアリスに、気をぬくなと注意しながら、腰を深く落として身構える。


「アハ。アハハ。アハハハハハハ!!」


 煙が舞う中で、天使の笑い声が聞こえる。

 アリスとレイラは攻撃に備えて身構え、天使の姿を見て、息を飲んだ。


 黒い翼を広げる天使。

 アレだけの攻撃をうけたはずなのに、無傷である。

 左眼を紫色に染め、銀髪ツインテールで、レイラに似た天使。


「・・あんた一体何者よ」


 アリスの質問に対して返される言葉に、二人は驚愕してしまう。

 右手を腰にあてながら、二人に向かって微笑みかける天使。


「我はレリス。世界に終わりを告げる者」


 そう告げるレリスの黒い羽が、黒い翼へと変化する。

 その翼は、アリスの翼にそっくりであった。


 次回第四章 1 レリス 上


 ※ここまで読んでいただきありがとうございます。

 やっと現実世界でも、物語が進み始めました。

 いやぁながかったです。

 少しでも面白いとっていただけたら幸いです。

 では次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ