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第三章5 魔女の村 上

 魔女の森からボステムまで行く道中に、勇者の剣があるとレイラに聞き、ボステムを目指すカズト達だったのだが、魔女の森に入る前に1人の少女と出会った。


「わわわわ、我は最強魔法のつつつつ、使い手ナナナナ、ナナである」

(最強魔法?この子が?)

「ナナナナ、ナナって凄い名前ね」

「いえ、あれは違うのではないでしょうか」

アリスとレイラの声が聞こえたのか、少女は「はわわわ」と呟きながら顔を両手で隠してしまう。

「・・とりあえず落ちつけ。俺の名はカズトだ」

一定の距離で、相手を怖がらせないように、カズトは自己紹介する。

「私はアリス。コイツのご主人様よ!」

アリスは両手を腰に当て、偉そうに自己紹介する。

「私はレイラ。テトは私の・・旦・那さま・・です」

最後の方だけ顔を横に向け、耳を赤くしながらボソボソ自己紹介した為、私はレイラしか聞こえない。

「フー。カズトさんに、アリスさんに、レイラさんですね。私はナナです」

ナナは深呼吸をし、落ち着いて自己紹介をする。


「ナナは最強魔法の使い手なのか?」

カズトはナナを、怖がらせないように、気をつけながらたずねるが、聞かれたナナは慌てだした。

「ご、ご、ごごめんなさい!嘘ですぅ」

ペコペコペコペコと何度も頭を下げるナナ。

「なんで嘘なんかつくのよ」

アリスが不機嫌そうに聞く。

「す、す、す、すいません。そう言えば戦わずに済むと思ったからです」

「戦うとはどういう意味でしょう?」

首をかしげ、レイラがたずねる。

「あっ、ハイ!私達は魔女の村に住んでいる魔女なんですが、私達を捕まえて売ろうとする人達がいるため、こうやって警戒をしているのです」

「俺たちを盗賊か何かだと思ったから、嘘をついたのか?」

「ご、ごごご、ごめんなさい」

「気にするな。それで疑いは、はれたって事でいいんだよな?」

「ハイ。勇者一行のレイラさんがいらっしゃいますし、悪い事はなさらないかと」

ナナはレイラを見て、カズト達は悪い事をしないと判断してくれたみたいだ。


 ナナが落ち着いた所で、カズトはこの森に来た理由を話す。

それを聞いたナナはしばらく考えた後、カズトに話しかけた。

「カズトさん。魔女の村には掟の為ご案内できませんが、近道ならご案内できます」

魔女の村には特に用がないので、ナナの提案にお礼を言うカズト達だったのだが、ナナが条件をだしてきた。

「あの・・条件というわけではないのですが」

あごの下で、両手をもじもじし始めたナナ。

「お!お願いします!少しの間モンスターの討伐を、手伝っていただけないでしょうか!」

深々とお辞儀するナナ。

「別に構わないよな?」

よな?といいながらアリスとレイラを見る。

アリスもレイラもカズトの質問にうなずいて答える。

パァァァっと明るい表情で、お礼を言うナナ。

こうして、4人はモンスター討伐に行くのであった。


 魔女の森から少し離れた場所で、カズト達は座っていた。

モンスターから隠れているわけではなく、休憩をとりながら作戦を考えていた。

「・・であるから、アリスが中衛、ナナが後衛、俺が前衛で、レイラがナナを守りつつ回復係りだ」

地面にフォーメーションを書きながら、カズトが作戦指示をだす。

(完璧だ。自分の采配は完璧すぎる)

「中衛って何?」

「・・?中衛は中衛だろ?」

「だ・か・ら!どういう意味かって聞いてるの!」

(何を言っているんだこいつは?)

なぜか不機嫌なアリスの為にカズトは図ではなく、直接指示をだす。

「アリスはここに立て。レイラはここ。ナナがそこで、俺がアリスの前に行く。これだ」

カズトが後ろを振り向くと、アリスが文句を言ってきた。

「嫌よ!何であんたより後ろなのよ!カズトは後ろ!」

「剣しか振れない俺が後ろで何をしろと言うのだ・・」

カズトは頭を抱えるのだが、アリスの言い分を、援護する者が現れる・・・・レイラだ。

「・・!!・・・アリスの言う通りです。テトは私と後ろにいればいいのです」

いつもなら、カズトの意見に賛成するレイラなのだが、こういう時だけアリスのかたを何故もつのか、カズトには解らなかった。

「ではテトが後ろに来るのであれば、中衛はナナに行かせましょう」

「えぇぇぇぇ!わ、私ですか!?」

「お前らなぁ」

カズトが再度、頭を抱えていると、カズト達に近づいてくる足音がする。


 額に角を1本生やしたウサギが2羽、姿を現した。

「ち、こんな時に・・あれは敵なんだよな?」

「カズト!敵かどうかは目を見なさい。目が真っ白なのは敵よ」

カズト達に緊張がはしる。

(初めての実戦がラビビットとはやっかいだな)

ラビビットは、すばしっこい為、攻撃が当たりにくい敵で有名だ。

カズトが緊張しながら構えていると、アリスから指示が飛ぶ。

「カズト!何としてでも捕まえるわよ!捕まえて今夜のおかずはラビビットの丸焼きよ」

カズトはラビビット目掛けて剣をふるのだが、素早くかわされる。

(この・・)

1羽のラビビットをカズトが相手していると、アリスから檄が飛ぶ。

「何やってんのよ!しょうがない・・いでよゴン太!」

そう言って右手を地面に置くと魔法陣が形成される。

(召喚魔法!?)

そこに現れたのは・・・手のひらサイズのケルベロスであった。

「か、かかかか可愛い!!」

ナナが目を輝かせ、頭上にハートが飛ぶ。

「全く・・(チラ)戦闘・・(チラ)中に・・(チラ)」

レイラが頬を赤くしながらチラチラゴン太を見る。

(お前らなぁ・・)

結局、2羽をカズト1人で倒した。


 ラビビットの丸焼きを、食べながら休憩していると、アリスがごね始めた。

「あぁぁぁぁスライムソーダ飲みたい」

「言っておくがアレはお酒だから絶対ダメだ」

「お酒って?」

カズトはお酒についてアリス達に解かりやすく説明する。

「ハァ?お酒ってやつな訳ないじゃない。アレは体にいいものなのよ」

「・・・そうなのか」

レイラに確認すると、うなずくレイラ。

「誰が好き好んで体に悪い物をのむのよ!しかも成長の妨げになる物なんて、尚更飲まないわよ」

(確かにそうか・・)

 これ以上はアリスから蹴りが飛んできそうなので、ナナに話しをふる。

「ナナはどうして俺たちに、モンスター討伐を手伝ってほしかったんだ?」

「ハイ。実は・・・私・・実戦経験がなくて・・1人では心細いですし・・」

恥ずかしかったのか、顔を赤くして下を向く。

(・・そういう大事な事は早く言ってくれ)

カズトは心の中でつっこむ。

ナナ同様にカズトも実戦経験をつみたいと考えている。

「よし!それならもっと俺達と実戦経験をつまないとな」

カズトのこの提案に嬉しそうに笑うナナであった。


次回第三章5 魔女の村 中



※やっと主人公のカズトが戦いだしました・・いやぁお待たせいたしました。

これからどうなっていくのか、どうぞお楽しみください。




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