暗器屋さんの荒仕事[1]
「「「ありがとうございました」」」
かなり老けた仙人クラスの男性が店を出ていった。
「今回は傘君初めての仕事だね。」
みんなから店主と呼ばれている黒髪の20歳くらいの好青年が口を開いた。
「え、どんな仕事なんですか?」
傘喰と呼ばれた高校生ぐらいの黒髪の青年が答えた。
「うーん、そうだね。自ら復讐することができない人に代わって復讐するって感じかな?」
「そうなんですか…最初の勤務内容の説明には入ってなかったんですけど?」
「当たり前じゃないですか。傘喰さん、復讐代行サービスは裏系の仕事ですからね。」
傘喰と店主が話をしていると唯一の女子である黒髪ストレートで整った顔立ちの佐々木が話に入ってきた。
「裏系と言うと?」
「まあ、殺し屋とか?誘拐屋とか?そういう感じの?」
「あー、そんな事もこの店でもやってるんですね。」
「ということで!今回の仕事について作戦を立てたいと思いまーす!」
「「は、はい…(テンション高ぇー)」」
店主は暗器の貸し出し、販売よりも代行サービスの方が好きなようだ。しかし他の2人は初めてでついていけてない。
「ターゲットは蓋下三津雄。職業はガネーシャ金融会社の社長。表は普通の金融会社だけど…」
「裏は悪徳金融ですかね?」
「その通り!さすが佐々ちゃん。」
「そういうの最近よくありますねー。」
それぞれが一通り感想を言うと店主が「んんっ」と咳払いをして、続けた。
「えーと、まあ、2人とも察している通り被害者が依頼人だよ。まあ、個人情報なんてどーでも良いからどういう復讐にするかだね。方法は依頼人に任された。」
任された…か。とてもとてもめんどくさいものだ。日常生活で表すと…
母「今夜のごはん何が良い?」
自分「えー何でも良いよー。」
母「はぁ?」
ってなる奴だな。
「大丈夫?傘くーん?聞こえてるー?」
目の前で手を振られ、ようやく気を取り直した。
「ああ、すいません。ぼーっとしてました。」
「疲れてるなら休んで良いよ。給料どうなってるか知らないけどね!」
店主からのなんとも言えない威圧感がヤバイ。
「すいません。大丈夫です。はい。」
「何やっているんですか?2人共。作戦会議でも何でもないじゃないですか。言い出した本人が一番話をずらしてるじゃないですか、2人共!座って下さい!いや、正座です!下がフローリングで痛い?知らないですよっ!」
このまま続くとSAN値がピンチしてしまうからエクストラスキル『次話日続駆』発動!
次回に続きます。すいません。