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田舎の暗器屋さん  作者: ナキ
20/32

暗器屋さんの大掃除

「「「「ありがとうございましたー」」」」

ここは山に囲まれ、緑豊かなThe田舎なThe昔ながらの駄菓子屋さんな見た目をしているお店『中根商店』、今日も数少ない客が店を出ていった。

「店主、今日は何を買ってったんですか?あのお客さん最近よく来ますよね、大体手ぶらで帰りますけど」

僕、傘喰が店主に机にもたれながら尋ねた。

「あのさ、みんな、僕って上司だよね?」

「何ですかいきなり?」

「何よいきなり気持ち悪い」

「はーい?」

店主による急な従業員への問いに対して客が出てから二人でテレビゲームをやっていた佐々木とシオンもゲームを中断してこちらに集まって来た。

先程の問いに答えるとするとまあ、店主はその名の通り、この店最強権力者だから僕達平社員からすれば上司に当たると思う。

「上司だよね?」

「まあ、そうね」

「そですねー」

「じゃあ何で僕が、僕だけが掃除してるのかな!?今日はみんなで大掃除しようって言ってたよね!?言って無かったっけ?ごめんまさか忘れてましたか!?」

この店最強権力者である店主はだらだらしている僕や、楽しそうにテレビゲームしている佐々木とシオンに対して一人黙々と床をモップ掛けしていた。うむ、仕事熱心でよろしい!

「店主、君は進級だ!おめでとう!」

「僕、店主だよ!?これ以上くらいが上がったらどうなっちゃうの?」

「店主改ですね」

「艦〇れ感がすごい!」

「その次は店主改二です」

「ですよねー」

「そのまた次は店主改二甲です」

「まだ続くの!?」

「そのまたまた次は三式店主です」

「艦船の次は戦車!?」

「三式店主の次は…」

「疲れたよ、傘くん…」

傘喰の不毛なボケ(自分で言うのもなんだけど)のコンボの前に店主は雪降る教会で力尽いたように呟いた。というか店主の隣にフランダースな犬が見えてきたんだけど…あれは固有結界ですか?『無限犬製アンリミテッドドッグワークス』ですか?

「あのさ、店主もういい?今良いとこなんだけど」

「そうだそうだー」

こちらに来てずっと不毛な下り(もう一回言うけど自分で言うのもなんだけど)を聞いていたシオンと佐々木が大した話ではないと判断したようだ。

「いや、みんなも一緒に掃除しないかな?」

「「「拒否する!」」」

「…ねぇ、僕は君たちの上司だよね?」

「また何を言ってんの?」

「上司ですね」

「うん、以下同文」

店主は傘喰達にふたたび同じような質問をすると一言言った。

「みんな給料90%カットね」

「私達は権力者に屈しない!絶対にだ!」


数分後

「みんな準備出来たね?大掃除開幕でーすいぇーい!」

エプロンを装備し、右手に埃はたきを左手に充電式掃除機を持った超絶ハイテンションな店主がおり、

「「「いぇーい…」」」

その横に超絶ローテンションな権力に屈した平社員達がいた。

「みんなー!テンションあげていこう!いぇーい!」

「「「いぇーい…」」」

「じゃあ、みんなそれぞれ場所についてね」

「「「はーい」」」

店主の声に反応した傘喰達は窓を拭いたり机を拭いたり床のモップ掛けを再開したりゲームを再開したりしていた。

「シオンちゃん給料カットね」

「なにっ!」

そりゃあそうでしょうよ。なに自然にゲーム再開してんだよ。

「店主さんよぉ、私がどんなにこの店に尽くして来たか分からないの?」

「シオンちゃん…それリストラされる奴が過去の栄光にすがって言うやつだよね…」

「シオンさんすごい見苦しいですよ」

「がはっ!傘喰に『見苦しいです』だとっ!」

シオンはその場で崩れ膝をついた。

「さ、佐々木、佐々木は私を下に見ないよね?ね?佐々木?ね?」

シオンのうむも言わせない程の圧力に佐々木は満面の笑顔で言った。

「大丈夫ですよ、シオンさんは私が養いますから」

「佐々木ぃ!ありがとぉ!私佐々木のお嫁さんになる!」

シオンがシオンちゃんモードですごい勢いで佐々木の富士山並みの胸に飛び込んだ。

飛び付かれている佐々木を見てみると、

「シオンさんが、シオンさんが私のお嫁さんにっ!えへっえへへっえへっ」

なんか…エロリアン佐々木になっていた。

佐々木のモードが異常繁殖してる気がする。

「佐々木」

「シオンさん」

なんか二人共熱を持った目で見つめあってるけど…

「もう結婚しちゃえよ」

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