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黒いモノ
白澤君は私の前に座り、フーッと息を吐くと
「二週間前から、金縛りにあったり変なモノを見るんだ」
「変なもの?」
人ではないのか?私は彼の言い回しに疑問を覚えた。
「うん、モヤみたいな...黒いモノが一人でいる時に」
モヤ?聞いた事がある。生きた人間の邪念が黒い煙のようなモノで現れると
だとしたら、白澤君はそれ程の怨みや憎しみを誰かに抱かれているという事になる。
人気者の彼がそんな風に思われてしまう相手がいるのだろうか?
「誰かと喧嘩でもした?」
「えっ?喧嘩なんてしてないけど...黒いモヤって呪いか何かなの?」
彼は少し青ざめている。
自分を呪っている人がいるかもしれない、そんな事がわかったら怖くてたまらないだろう。
「恨まれるような事をした?」
「そんな事しないよ!」
彼には珍しく少し声を荒げた。
「あっ、ごめん。」
彼はバツが悪そうに謝り
「もしかしたら、疲れてて幻覚でも見たのかもしれない...話聞いてくれてありがとう。」
彼は教室を出ていった。
彼が教室から出る瞬間私は彼の背中に黒いモヤを見た。