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素晴らしきかなこのテスト

作者: 伊藤達也

ことの始まりはなかった。

ただ単に、どうやったら投稿できるかという確認である。


つまりはテスト。


以下テスト。



テストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテストテスト。


さあ、生まれ落ちたこの世界でテストはどう生きるのか。それがテストの最初の悩みであった。

テストは生まれついてこのかた自分がどう生きるのかなど考えたことなどなかった。テストはただのテストである。やりたいことなど、やるべきことなど、思ったことすら一度もない。自分が本当に生き物であるかどうかすら疑わしくも思っていた。

「テスト」

テストは1人呟く。

ため息の様に発せられたテストの言葉は、そのままテストの心情を表している。己を己として知らず、他を他として知らず、なにをどうともできずまま人知れず生涯を終えてしまったテストには、人生をもう一度新しくやり直せると言われたところで何の魅力もありはしなかった。テストがテストである限りは、普遍なる日々は繰り返される。テストの心を占めていたのは「テスト」の一文字だった。


テスト?

テスト、テストテスト。


つまりはそういうことだ。

かの有名なテストの言葉を用いるのなら「テストあるところにテストなし、テストすなわちテストに非ず」といったところだろう。

テストにはこの先テストにおいてテストでしかなく、テストはテストをするしかない。

テストはテストをテストするのだ。


「テスト」

そう言って、テストは歩き出す。テストにはテストでしかないこの道も、テストをテストせねば始まらない。テストにとって幸運であったのは、まだそのテストをテストしていくだけの勇気がテストの中にテストしていたことだろう。

テスト、テストをゆく。言ってみたかっただけだ。


さて、しばらくしてテストがテストの道を歩いていると、テストの生えるテストのテストの方角に少数のテストのグループが見つかった。テストにははじめそれがテストに見えたけれどようくテストを凝らしているうちにテストの様子が見えてきた。

テストはテストに来てから初めてのテストとの遭遇にテスト躍る気持ちと共にどこかテストが不安になった。

テストにはテストがわからない。

過去、テストに言われたテストが、テストのテストをよぎる。

「テスト」

テストはテストのグループに見つからないようにそっとテストの陰にテストをした。

「テスト」

「テスト、テスト」

「テスト?」

「テストテストテスト、テストテスト」

テストのグループからテストが聞こえた。どうやらまだテストはテストたちには気づいていないらしい。

テストたちはテストテストしたようにテストに夢中になっている。

テストはそのテストたちのテストを遠巻きに見ているうちに段々と、テストが知るテストたちのテストが見始め、あぁ、己は本当にテストし、テストとして新しくこのテストでテストしていくのだと思えるようになってきた。

テストにとって良く知るテストたちの姿は、目の前のテストたちとはどこか違ってテストしており、テストのテストはテストし、テストならテストしているようなところでさえ、どこか違ってみえる。

目の前のテストらは、テストのよく知るテストのようであって、テストにとって初めて出会うテストたちだった。

「テスト、テストテスト」

テストはそう自虐的に呟き、少しだけ笑った。その後

テストが笑ったということに驚いた。


テストは、テストに余裕が生まれたのか、目の前のテストたちにテストをしてみようと思った。


テストにとってそれは、とてもテストでテストなことだ。

それでもテストはテストをテストしてテストする。

もしかしたらそこからテストはテストをし、少しずつ変わっていくのかもしれない。


実のところ、それは誰にもわからないことだ。


テストにも、テストたちにも、あのテストにも、これから出会うどのテストにもわからない。

もちろん、私にも。


「テストあるところにテストなし、テストすなわちテストに非ず」


だからこそテストは素晴らしい。

きっとこれはそういうことだ。違ってたとしてもそう思っておけば幾分幸せだ。



あぁ、素晴らしきかなこのテスト




以上でテストを終了する。

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