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89 はじめまして 1ページ目










みなさんこんにちは。今はヴァレンタ家のご領地のお屋敷にいるのですが・・・。趣の違う美人さん達に囲まれて、目の置き場に困っているフィーネリオンです。





みなさん聞いて下さい!3人掛けのソファー中央に可愛らしいシルミアさんが座って、その左隣に少し物憂げな感じの美人さんであるラヴィアーネさま。私達の前には、相変わらず年齢不詳なお義母さんと迫力美人なスターリング侯爵夫人であるオフェリアさまが並んでソファーに座っています。私は、シルミアさんの右側に座っていますよ。



えぇ、とても眼福です。このまま幸せな記憶を維持していたいです。






・・・えっ?商業都市からの移動はどうだったの?って?



そこからの説明となると、いろいろな所がゴリゴリと削られてしまうので、機会があったらお話ししますね!その時の記憶はこちらのお部屋の隅にでも押し詰めて、帝都には持ち帰らないようにします!今の私からは、あの移動中の事はあえて触れないようにしますよ。





「やっぱり、若い子達が揃うと良いわね~。」

「本当だわ。何処かの誰か達も早く結婚しないかしらね~~。」

オフェリアさまとお義母さんが楽しそうにこう言います。



「シルミアも移動で疲れたのでは無くて?明日のお茶会まではゆっくりとしていなさいね?」

「お祖母様、お気遣いありがとうございます。ギリアムお兄様と一緒の移動だったので、移動中はとても楽しかったです。」

お義母さんとシルミアさんの和やかな会話が続いていますが、お話に出ているシルミアさんの双子のお兄さんであるギリアムさんは婚約者のプリシエラさんの相手をしています。

今回ヴァレンタ家で開かれる「お茶会」はギリアムさんとシルミアさん11歳のお茶会なので、近い親族やお知り合いの方を招待したお茶会なんだそうです。お茶会自体は明日開かれるのですが、私はお茶会には参加しないのでシルミアさんに「とっても残念です。」と言われてしまいました。ラヴィアーネさまも「参加しないの?」と言っていますが、こちらに来てある程度の親族の方と挨拶したので、明日はアスラさんと一緒にソールさんを連れてピクニックに行ってみようと思います。



そうそう、ユーレインさまとラヴィアーネさまには本当にお世話になっています。



お義母さんが準備してくれたお部屋はとても素晴らしいお部屋だったのですが、それ以上に私が驚いたのは「ドレス」が当たり前のようにクロゼットに入っていた事です。お義母さんの言葉を信じて何も準備していかなかった私は、ココに来てから毎日のようにドレス着用です。気のせいかも知れませんが、メイドさん達のお顔が輝いていました。お義母さんとオフィリアさまが頷き合っていたのも未だに謎なのですが・・・。



ドレスに悪戦苦闘している私にラヴィアーネさまは「ドレスの裾は少し持ち上げるか、少しだけつま先で蹴るようにして歩くと歩きやすいですよ。」と歩き方のコツを教えてくれました。

ラヴィアーネさまは魔術師として「魔術師の塔」に入っていて、来年、お兄さんであるユーレインさまがスレイプニル候爵さまのご令嬢とご結婚した後に、ご自身の婚約者さんとご結婚なんだそうです。


何よりも驚いたのが、ラヴィアーネさまの婚約者さんは、リヒトさんのお兄さんの2番目のお子さんなんだそうです。・・・確か「歳の離れた兄がいます。」ってリヒトさんに聞いた事があったような・・・?次男さんはお城の文官さんらしいので、ラヴィアーネさまはご結婚なさった後もご夫婦で帝都に留まって、魔術師として「塔」に勤める事にするようです。


よくよく考えてみると、ラヴィアーネ様の婚家であるウルゴーラ候爵家が治めている領地は工業都市のもっと先にあって、帝都から片道1週間くらい掛かります。スターリング侯爵家の治めている商業都市からはもっと遠くなって、片道15日くらい掛かります。ラヴィアーネさまがご結婚後も帝都に留まっている事は、ご家族も安心なのでは?なんて思ってしまいました。



ラヴィアーネさまのお兄さんであるユーレインさまは、スレイプニル候爵さまのご令嬢と来年の2月の新緑祭に合せてご結婚です。商業都市では、領主の跡取り夫婦の結婚はお披露目を兼ねて新緑祭に合せているみたいです。アスラさんはユーレインさまの「従兄」ですから、その時には私も披露宴に参加しなくてはいけないのでしょう。・・・まさか、私の実家の家族は、次期領主夫妻の披露宴参加はありませんよね?





「や~~~~っ!」

お部屋の外、緑が眩しいお庭では、ソールさんがゼーセス義兄さんと遊んでいます。ソールさんとゼーセス義兄さんの手には、私が作った布製の「なんちゃって剣」が握られていて、楽しそうに打ち合い(?)をしています。


この布製の「なんちゃって剣」が以外と人気で、アシュトンさんの末のお子さんも楽しそうに振り回しています。この「なんちゃって剣」制作は、アスラさんとユーレインさまの「模擬剣」での打ち合いを見たソールさんが「そーるも!」と言った事で制作しました。


・・・ソールさん、何処かのラスボスさんみたいにご自身の身長よりも「長い」模擬剣を持つ事を、私は許しませんよ?


足元に纏わり付いていたソールさんに困っていたアスラさんとユーレインさまにはとても感謝されましたが、アシュトンさんが目元を覆っていたのはどうしてなのでしょう?





「そうだ、フィーネリオンさん。少しお願いしたい事があるのだけど、よろしいかしら?」

窓の外を見ていた私に、お義母さんと話をしていたオフェリアさまから声を掛けられました。


「はい、大丈夫です。どの様なご用ですか?」

「えぇ、フィーネリオンさんの腕を見込んでお願いしたいの。」

私がそう答えると、オフェリアさまはラヴィアーネさまを見て言います。



「この子の披露宴の衣装に使うヴェールに刺繍を入れて欲しいの。・・・頼めるかしら?」



オフェリアさまはとても衝撃的な言葉を私に言ってきました。




平民がヴェールを身につける事は、滅多にありません。

前世では結婚式の時に花嫁さんが身に付けていましたが、今世では貴族の披露宴くらいでしか身に付けるヒトはいないのでは?と思います。

ヴェールとなる薄い紗に刺繍を入れるのはとても大変で、刺繍職人でも「難しい」と言われているのです。・・・一針でも間違えたらやり直しですからね。それもあって、貴族の家ではヴェールに刺繍が入っているかいないかで、婚家での「妻」の扱いが決まるみたいなのです。恐ろしい!




「マゼンタ様が2月の園遊会の時に持っていた手巾の刺繍がとても素晴らしかったので、是非にと思ったのだけれど・・・。やはり難しいでしょうか?」

オフェリア様の言葉にハッとしたようにお義母さんを見ます。


「ごめんなさい、フィーナさん。園遊会で、フィーナさんに頂いた手巾はとても好評でしたの。それで今回、私がオフェリア様に提案しましたのよ?フィーナさん、オフェリア様を責めないで下さいね?」

お義母さんは私に申し訳なさそうにこう言いました。



「・・・いえ・・・。あの、・・・あの手巾、使って貰えたのですね・・・。」

お義母さんの言葉になんて言って良いのか分からなかったので、私の口からは何とも言えない言葉が出てしまいました。



「もちろんですわ!フィーナさんに頂いた手巾ですもの!とても素敵なバラの刺繍が入っていたから、見せびらかしたい心を隠して、さり気なく自慢してしまいましたわ!」

お義母さんの言葉に「嬉しさ」よりも「不安感」の方が心に大きく積もっていくのですが、どう言うことなのでしょう?


「はい!私は『お姉様』に頂いたリボンを見せびらかしながら学園生活を送っていますわ!」

シルミアさんが力強くお義母さんに同意しています。


・・・シルミアさん?いつの間にか私の事を「お姉さま」と呼んでいますが、大丈夫なのですか?



「旦那様も嬉しそうにしていましたし、コルネリウスとゼーセスも夜会がある時にフィーナさんからの手巾を持って行っているみたいよ?」



・・・お義母さんの言葉に(嬉しさで)恥ずかしくなって顔が熱くなってきます。



「私の旦那様もカーマイン様の手巾を羨ましそうにしていましたの。だから、私、旦那様に内緒で似たような物を刺繍しようとしたのですが、上手くいかなかったのですわ。」

オフェリアさまの言葉に驚きました。



・・・すみません、オフェリアさま。義両親の手巾への刺繍は、ほぼ「やっつけ」仕事の気紛れ構図なので、私でも同じ物は刺繍できる気がしません。



「・・・私も、結婚を控えているので刺繍をしているのだけれど・・・、基本の構図くらいしか刺せませんの。」

ラヴィアーネさまが恥ずかしそうに言ってきます。シルミアさんも恥ずかしそうに「私も・・・。」と言っています。


「そうね、貴女はもう少し刺繍の構図を覚えた方が良いわね。」

オフェリアさまはラヴィアーネさまに言います。




「こう考えると、フィーナさんはアスライールには勿体ないわね。」

お義母さんの言葉にオフェリアさまが困ったように「そうかも知れませんわね・・・。」と言います。



「いえいえ・・!『私』にアスラさんが勿体ないのですよ!?お義母さん、どうしたのですか!?」

「いいえ、お祖母様!アスラ叔父様とお姉様の組み合わせだからこその『目の保養』ですわ!」

ほぼ同時に発せられた、私の言葉とシルミアさんの言葉に一瞬お部屋の中が静かになりました。



・・・シルミアさん?今なんて・・・?



ラヴィアーネさまの「そうですわ。」の言葉で、お義母さんとオフェリアさまは窓の外を見てから視線を私に戻します。・・・なぜ?


「・・・そうね、他がコルネリウスとゼーセスだから、アスライールが1番『見れる』組み合わせね。」

「確かに、ここで『妖精さん』を逃したら悔しさで涙を流す事になりますものね・・・。それと、マゼンタ様?アスライールさんはどこに出しても問題ないくらい『お顔』は良いと思いますわ。『お顔』は、ですけれど。」

ついさっきまではお膝の上に置いていた扇で口元を隠しながらヒソヒソとお話をしているお義母さんとオフェリアさまに戦慄を覚えます。お2人のお話の内容はあまり良く聞こえてこないのですが、気にしたら負けのような気がしたのでスルーさせて貰いますよ!




「あの、ヴェールのお話なのですが!」

私が思いきって声を出した事によって、お義母さんとオフェリアさまはお話を止めて私を見ます。



「まぁ、やっぱりダメかしら?」

オフェリアさまが少し悲しそうに言います。


「いえ、ラヴィアーネさまの披露宴の衣装がどの様な形なのかが分からないので、衣装を見せて頂いてもよろ「受けて頂けるの!?」・・・・はい。」

私の言葉にオフェリアさまはとても嬉しそうに言います。私の言葉を遮るくらいなので、とても嬉しかったのでしょう。そこまでの期待に応えられるのかが問題ですが、ラヴィアーネさまの披露宴は来年の収穫祭の頃と聞いていますから、修正が入るとしても問題が無いと思います。・・・違うヒトになるかも知れませんしね。


「ありがとうございます。」

ラヴィアーネさまもそう言って軽く会釈しています。



「・・・どうしましょう!?衣装は商業都市だわ!帝都に運んで・・・。あぁ!どうしましょう!?旦那様~~!」

オフェリアさまは急に立ち上がり、候爵さまの元に向かったのか扉の向こうに消えていきました。



「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・お母様・・・。」

残された私達はオフェリアさまの消えた扉を見て無言になってしまいましたが、ただ1人、ラヴィアーネさまはオフェリアさまの行動が恥ずかしかったのか、お顔を両手で覆っています。



「いいな~~。私もお姉様にヴェールの刺繍をお願いします!」

シルミアさんがこう言って私を見るので、私はお義母さんを見ます。


「シルミア、貴女は先に『婚約者』を見つけないといけませんよ?」

「はい。お祖母様のお眼鏡に適った方でしたら、私、安心して嫁げますわ!だから、お姉様にヴェールの刺繍をお願いしたいのです!」

お義母さんとシルミアさんの会話は噛み合っているようなのですが、お2人の会話の「中心」がズレていますよ?



「フィーネリオンさん、本当にありがとうございます。」

恥ずかしさから立ち直ったラヴィアーネさまは私にそう言って、お義母さんに退室の断りを入れてお部屋から出て行きました。








窓の外ではソールさんとアシュトンさんの末っ子さんが元気に走り回っています。



日も高くなってきましたし、休憩をする為に何か差し入れをした方が良いかも知れませんね。私はそう思ってお義母さんに退室の許可を頂いて厨房へ向かいました。














アシュトンの末っ子は「本物」の騎士に大興奮!アスライールの事を誰よりも尊敬の眼差しで見ています。

末っ子は益々「騎士になる!」って思いが強くなるけれど、当の本人であるアスライールに「騎士になるのは大変ですよ?」と言われて、毎日の日課だった木剣の素振りを10回多くした。

フィーナの作った「なんちゃって剣」は弱そうだったから馬鹿にしていたけれど、アスライールとユーレインがこの「なんちゃって剣」をべた褒めしたので、愛剣の内の1本になった。


アスライールとユーレインが「なんちゃって剣」を真面目にべた褒めしたのは、小さなソールが自分達の模擬剣を持とうとしたから。


ソールを前に成人した大の大人2人が真面目に「なんちゃって剣」をべた褒めする光景は、後からジワリとくる面白い光景だったのは言うまでも無く、スターリング家一同を筆頭にヴァレンタ家一同と屋敷の使用人一同が笑いを我慢するのに必死だった。その場にいた誰もがその光景にツッコミを入れる事無く、3人の様子を見ていました。


ネコと「戯れる」フィーネリオンは別の意味で一同に見守られていました。




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