番外編 ちょこちょこちょこれーと!
ブックマーク600件御礼小説となっております。
時季は新緑祭前の2月14日です。(新緑祭は2月の21日から)
「バレンタイン小話」となっておりますので、読まなくてもお話に支障は出ません。
みなさんこんにちは!今日は2月14日です!
そう!みんな大好きショコラの日「バレンタインデー」ですよ!
え?前世の世界と同じイベントがあるって?
まさか!こっちの世界に「バレンタインデー」がある訳無いじゃないですか!
今、私のいるこの世界は、1週間が10日、1月が40日で、1年が10ヶ月の400日なのです。
私が前世の記憶を思い出した時、日にち的には充分足りているのに12月のクリスマスが無い事に本気で絶望しましたよ!
なので、高級なお菓子である「ショコラ」を何が何でも食べたかった私は、無理矢理「こじつけ」で2月の14日に「おとうさん!きょうはショコラの日ですよ!」とお父さんに訴えたのです。
・・・今思えば、とんでもない無茶振りだったと思います。
今、私の目の前にある「加工前」のショコラの塊で「少し良いペン」が買えます。それなのに、小さかった私は綺麗に加工されたショコラを「兄妹分」お父さんに買って貰ったのです。お父さんはお母さんに凄く怒られていたけれど、私はお兄ちゃん達に「魔王を倒した勇者」の如く褒め称えられました。
その時の「罪滅ぼし」と言うわけでは無いのですが、私がお小遣いを貰えるようになった学園の高学年生になった時から、お父さんを筆頭とした家族に手作りのショコラを渡していたのです。もちろん、お店のスタッフさんにもショコラの入ったクッキーを渡していました。
「おかしゃん、なにするでしか?」
ショコラの甘い匂いに誘われたソールさんが、私の足元から期待の籠もった瞳で見上げてきます。
「ソールさん、今日は『ショコラの日』なのでショコラを使ったお菓子を作りますよ!」
私の言葉にソールさんは「しょこら~~」と言いながらピョンピョンと飛び跳ねます。
ここまで喜んでくれるソールさんの期待を裏切る訳にはいきませんね。私は服の袖を捲って気合いを入れますよ。
ソールさんは甘い物が大好きなようなのですが、肝心のアスラさんは甘さを抑えた物の方がお好きなようなのです。その点を踏まえて、私は「ブラウニー」を作りますよ!
まず、メイの粉を篩にかけます。篩にかけておくとダマになりにくいので、私はメイの粉を篩にかける派です。
先にオーブンを温めておきます。そうしたら、準備しておいたボウルにマーガリンと小さく割ったショコラを入れてゆっくりと魔法で溶かして混ぜていきます。この時にマーガリンとショコラをしっかりと混ぜます。
このボウルとは違うボウルに卵と砂糖を混ぜます。この時もボウルを温めて砂糖を溶かします。砂糖のザラザラ感が無くなったら、生クリームを加えてよく混ぜ合わます。
先に合せていたショコラ液に後から作った卵液を何回かに分けて加えて、その都度よく混ぜます。しっかりと混ぜてショコラ液にツヤが出るくらい混ぜたら、先に篩にかけていたメイの粉を加えますよ。この時、ヘラでさっくりと混ぜ合わせていきますよ。しっかりと生地が混ざり合ったら、小さく砕いたショコラも加えて混ぜます。
耐熱皿に生地を流し入れて、温めていたオーブンで焼いていきます。
焼き上がりまで時間があるので、ソールさん用の「生チョコ」を作りましょう。
お鍋に生クリームとミルク、バターを入れて温めます。お鍋が沸騰したらコンロの火を弱めて、お鍋に刻んでおいたショコラを入れます。
ショコラが全部溶けたら小さな器に移して、冷蔵庫に入れて冷やします。器の中のショコラが固まったら完成なので、暫く放置です。
生チョコを作っていたら、丁度ブラウニーも焼き上がったみたいです。オーブンから出して、粗熱を取る為に作業台の上に出します。
・・・どうしましょう。テーブルの反対側に可愛らしいショコラハンターがいます。
「おかしゃん。そーるの?」
お家の中がショコラの甘い匂いでいっぱいだからでしょうか?お目々をキラキラと輝かせて、ソールさんが私に聞いてきます。ソールさんには、ブラウニーが「今日のおやつ」に見えたのでしょう。
「ソールさんの『おやつ』は、こっちですね。」
今日のおやつとして準備していたプリンを冷蔵庫から出してソールさんに出すと、ソールさんは不思議そうにテーブルの上を見ます。
「むぅ?」
ソールさんは私が出したプリンに首を傾げています。ソールさんの目はテーブルの上にも向けられているのですが、その手はプリンをしっかりと握っていますよ。
「とても甘い匂いがします。」
夕方に帰ってきたアスラさんは「ただいま戻りました。」と言った後にこう続けました。
「きょうは『しょこらのひ』なのよ!」
ソールさんはアスラさんの足に抱き付いた状態でそう言います。騎士の制服はとても丈夫なのですが、ソールさんがギュッと握っている所は絶対に皺になっていますよね?後でアイロンを掛けないと!
「・・・ショコラの・・・日?ですか?」
アスラさんは不思議そうに私を見ます。そうですよね、帝国にはそんな日は本当はありませんもの。
「ふふふっ。そうなのです。今日は『ショコラの日』なのですよ?アスラさん。
実は・・・、今日、2月14日は小さかった私が『どうしても』ショコラを食べたくて『今日はショコラの日ですよ!』とお父さんに言って、ショコラを買って貰った日なんです。」
どう思い起こしても、あれ程の『無茶振り』は小さかったからこそ出来たのだと思います。今だったらショコラの値段に驚いて、あんな高級なショコラを買って貰おうだなんて思いません。
「おとしゃん、そーるも!そーるにもしょこら~~~~~~!」
ソールさんは私の話を聞いてなのか、「お父さん」にお強請りしています。
「いや、ソール、待ってくれ、今から買いに行くとなると・・・。」
アスラさんはソールさんの剣幕に若干引きながらも「明日、明日買ってくるから。」と言います。
・・・アスラさん、もちろん私の分も買ってきてくれるのですよね?
そんな事を思ってしまいましたが、アスラさんは帰ってきてから着替えもしていない状態です。
「ソールさん、アスラさんもこう言っています。きっと美味しいショコラを買ってきてくれますよ。」
私の言葉にソールさんはとても嬉しそうに「しょこら~~!」と言いながらゴロ寝スペースのクッションに突撃していきます。ソールさんの表現はとても力強いですね。
アスラさん、帰ってきて早々お疲れ様でした。
流石に夕食の前にショコラを出すとソールさんの夕食に障りが出てしまうので、夕食後にショコラを出します。
「おかしゃん!おいしいの!」
既に2つ目の生ショコラに手を伸ばしているソールさんがいます。私が飲み物の準備をしている間に何が起きたのですか!?
「ソールさん、ショコラは逃げないので、ゆっくり食べましょう?」
「う?」
ソールさんのお口の周りに付いたショコラを拭きながら私がそう言うと、私の言葉にソールさんはキョトンとしてしまいました。
「そーる、たべる!」
ソールさんはスプーンを高く掲げて、キリッと宣言します。ソールさんが高らかに言っている内容はアレですが、その様子はとても可愛らしいです。
「・・・ソールさん、今日は2つだけですよ?」
「ぴぃ!?」
ソールさんは私の言葉に驚いていますが、ショコラを食べ過ぎると眠れなくなってしまうのでこれ以上は出しませんよ?
「アスラさんにはこっちです。お口に合えば良いのですが・・・。どうぞ。」
アスラさんには切り分けたブラウニーを渡します。
「ありがとうございます。」
アスラさんはそう言ってブラウニーを口に運びます。
「・・・!美味しいです。」
一口食べたアスラさんは私にそう言って来ました。
「不思議です。私の知っているショコラを使った菓子は、もっと甘い物です。かと言って、ショコラかどうかと言われると、確かにショコラの味がします。」
アスラさんはそう言ってブラウニーをペロリと食べてしまいました。アスラさんの様子を見ていたソールさんがブラウニーを気にしていますが、アスラさんの手元にはもうありません。
「ソールさん。」
私はブラウニーを小さくスプーンで掬ってソールさんの口元に差し出します。スプーンに乗っているブラウニーを見て、ソールさんはパクリとブラウニーをお口に入れます。
「!!!・・・・・甘くないでし・・・・。」
眉間に皺を寄せて、ムニムニとお口を動かしているソールさんの様子がとても可愛らしかったので、私とアスラさんは笑ってしまいました。ソールさんのお口直しはホットミルクです。
ソールさんは自分の手元に残っていた生ショコラを食べ終わると眠たそうにしていたので、アスラさんと一緒にお風呂に入ってそのまま「おやすみなさい」と夢の世界に旅立ちました。
ソールさんが眠った後、コッソリと準備しておいたトリュフをアスラさんに渡します。
アスラさんは驚いたようにしていましたが、私の「お仕事お疲れ様です。」の言葉に瞬きした後、少し照れたように「ありがとうございます」と言ってトリュフの入った箱を受け取ってくれました。
・・・アスラさん、私はそのお顔だけで良い夢が見られそうですよ。ごちそうさまです。
次の日にアスラさんが買ってきたショコラは、私がお父さんに「おねだり」した綺麗に加工されたショコラ・・・、では無くて、何故か「無加工」のショコラでした。その不思議さに、私は「?」と首を傾げてしまったのですが、アスラさんとソールさんは私を見て逆に首を傾げています。
・・・アスラさん?帝都にはとっても有名な「ショコラ屋さん」があってですね?そこのショコラは小さな子から大人まで、幅広い層に大人気なのですよ?イケメンなアスラさんがそのお店にショコラを買いに行ったなら、きっと店員さんが「おまけ」を付けてくれると思うのです。
ほら、帝都内の見回りの時にそのショコラ屋さんの前を通りますよね?ネタは挙がっているのですよ?
アスラさん、まだ遅くありません!・・・・今から買いに行きませんか?
・・・うぅ・・・。あの有名店のショコラを買ってきて貰えると思っていたのに・・・。
アスライールが「無加工」のショコラを買ってきたのは、「加工済みのショコラ」よりも「フィーネリオンが加工したショコラ」の方が美味しかったから。ソールも同じ意見。
アスライールの買ってきた「無加工のショコラ」は、フィーネリオンが怪我をしてヴァレンタ家に一時的に移ったので暫く放置されますが、リンカーラやアメリアが遊びに来るようになって利用されます。
なので、アスライールの思惑通りにショコラを口にする事は出来ませんでした。(でもフィーネリオンは、作ったお菓子はアスラアイールの分を残しているので、帰ってきてからソールに見つからないように食べています。)
そもそもアスライールとソールは、フィーネリオンの説明を聞いて「ショコラの日」を「ショコラを食べる日」と思っています。お互いに間違いに気付いていない。フィーネリオンの家族もアスライール達と同じように思っているので、フィーネリオンは「バレンタインチョコ」の説明に失敗しています。
アスライールもフィーネリオンが作ってくれたブラウニーが美味しかったので、また作って貰いたいと「無加工」のショコラを選ぶくらい気に入っています。ブラウニーはフィーネリオンが「アスラさん用です」と言ったので、2日に渡って食後に出ました(ソールは生ショコラ)。ブラウニーはソールが狙ってこないので、アスライールが安心して食べられる唯一のショコラとなりました。(トリュフはショコラハンターソールの魔の手に掛かりました。)
ほぼ1月後にフィーネリオンの実家から「お菓子の詰め合わせ」が送られてきて、それがフィーネリオンの家族からの「ショコラの日のお返し」と気付いた(!)アスライールは、一生懸命考えて「果物の詰め合わせ」をフィーネリオンに渡します。フィーネリオンは果物も好きなので、とても喜びました。
ブックマーク600件、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。




