表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/163

87 ひさしぶりの、のその後ろでは・・・ 1ページ目







皆さん初めまして、フィーネリオンの伯母のニリアです。





結婚して帝都に移った姪のフィーナが、今週の初めから私達の経営している宿を家族で利用していたのですが、昨日、商業都市の隣にある「ヴァレンタ伯爵領」に向かって行きました。



フィーナの「夫」であるアスライールさんと初めて会ったのは、今年の初めでした。

その時にはアスライールさんの事をあまり良く思っていなかったのですが、今年初めの「アノ」騒動を経て見つけたフィーナの「夫」を、今では好感が持てそうです。彼は私達の持っていた「貴族」の心象を悉く変えてしまいましたからね。ソール君も可愛いから、3人揃うと目の保養になったのよ。


平民から貴族に嫁ぐなんて本来ならあり得ない事だけれど、フィーナも楽しそうだし、あちらの家族にも大事にして貰っているようだから本当に良かったわ。




出発の朝、アスライールさんとソール君はいつもと変わらない量の朝食を食べていました。周りに座る食堂の利用客も2人に触発されてか、いつもの朝食より品数が出ていました。よく食べてくれる2人だったので、腕の振るい甲斐が本当にありました。フィーナは2人を見習いなさい。


フィーナ達は殆ど毎日、朝と夜は食堂を利用してくれていたのですが、その度にテーブルにたくさんの料理を運んでいました。注文をした料理は全て綺麗に完食してくれていたので、昨日の支払いの時に滞在中の食事の金額を見て、改めてフィーナ達が「食べていた」のを実感しました。



宿の帳簿を付けているライと食堂の帳簿を付けているカイが何度も計算をして、最後に接客をしていたジェイも計算をしていたわ。ダンに金額を確認して貰っていたから、あの金額で間違いは無いのでしょう。

途中、何回か食材を切らしそうになった時はあったけれど、事前にネリアがフィーナにある程度の事を聞いてくれていたから食材は多めに仕入れていたし、足りない材料は違う食材で補えたので良かったです。


何て言うか、本当によく食べるヒト達だったので、ダンも調理従業員も嬉しそうにしていました。







フィーナは妹ネリアの娘で、この辺りではとても有名な子でした。


金色の髪の毛に紫の瞳なんて、私の周りではあの子以外には見た事がありません。何よりも、少しの情報で私達が考えた事よりも「より良い」案を出してくるのです。ネリアも賢かったけれど、それに輪を掛けたフィーナの賢さに私達大人は驚きました。私の両親は「あの子は何処かのお嬢様なのではないか?」と言っていたけれど、ネリアのフィーナ出産の時は両親も一緒にいたと記憶しているのだけど?


ネリアの所は、上のリューイも色素の薄い髪の色をしているし、下のジスリニアとスバルだって似たような色でしょう?ティアーナは魔力過多の薬の副作用で濃い髪色だけれど、ラルフと殆ど変わらない色だわ。ネリアの所の子供達は基本的に色素が薄いのよ。瞳の色の「紫」だって、色々なお客様を相手にしていると偶に見かけるわよ?


先に産まれたのが私の子供だったので、両親の「色合い」の基準が偏ってしまったのかしら?




フィーナが小さい時に作った焼き菓子はとても美味しくて、今ではこのお店でも販売しています。

砂糖の量が少なくても、バターがたくさん使われているので値段は落とせないのですが、宿のカウンターに並べておくとその日の内に売り切れるくらいには好評なんです。


それ以外にも、「果物がたくさん入っているケーキは女の人も好きなんじゃない?」と言われて、フィーナに渡された「ぱうんどけーき」はとても美味しかったから、ダンと相談して月に2回お店で出すようにしたの。でも、どういった経路で情報が回ったのか、女の人のお客様が「ぱうんどけーき」を目的にして本当に来たのよ!今では「持ち帰り」だけでなくて、店内でも食べられるように常設しているけれど、あの時は本当にダンと一緒に驚いたわ。



フィーナは「ごはん」も提案してきたけれど、これはダンが難色を出したわ。

「メイの実」自体は簡単に手に入れる事が出来るのだけれど、ごはんは作り方がとても特殊で、ごはんを「炊く」となると従業員1人がその鍋に付きっきりになってしまうでしょう?そうなると従業員を増やさないといけないから、反対だったみたい。

それでこの話は1度流れたのだけれど、フィーナは自分でごはんを炊いていたのか、お昼にミュー商店の従業員が来ると「ごはんは無いの?」と聞いてくるので、周りのお客さんも気になってしまったのでしょう。

ある日、「その『ごはん』って言うのは何なんだ?」と食堂のお客さんがミュー商店の従業員に聞いているのをカイが聞いていたようで、ダンに言っていました。ダンは少し考えたようにして、次の日に「お試し」としてごはんをお昼の時間に提供したのが、このお店での「ごはん」提供の始まりだったわ。


この商業都市では、食事の時間を削って動いているヒトも少なくはありません。誰もが「食事より商談優先」ですからね。ごはんの利点は「腹持ちが良い」事と「おにぎり」にすると中に具を入れて「持ち運び」が出来る事でしょう。その事から商業都市中の食堂が「ごはん」を提供するようになったのです。えぇ、私達も驚く早さで「ごはん」は商業都市に広まって行きましたよ。・・・初めに「ごはん」の案を出したフィーナは、ごはんがこんな事になっているなんて知らないでしょう。


食堂の登録元である「生活ギルド」には私が作ったフィーナの口座があります。毎月、ギルドからは「ごはん」の使用料が振り込まれているので、今回のフィーナ達の滞在費に充てました。本当は、フィーナの披露宴の時の費用に充てて貰おうと思ったのですが、フィーナの旦那様が「貴族」の方で、きちんとした職業の方だったのでどうしようかと思っていたのです。ネリアにもこの口座の存在は秘密にしていたので、今回初めて打ち明けました。


「これは、ニリアの頑張りだわ」とネリアに言われ、隣りに座っていたラルフにも「良かったら、これから産まれてくるライ君の子供や、カイ君の家族に使って欲しい」と言われ、2人に「フィーナの為にありがとう」と言われて、少ししんみりとしてしまいました。なので、この口座の事はこれからもフィーナには秘密にしておきます。




少し変わった考えを持つフィーナだけれど、私達には可愛い「姪」です。「フィーナの結婚相手がなかなか見つからないの・・・」と言うネリアの相談を何回も受けていたけれど、それよりもリューイの結婚相手を探す方が先じゃ無い?大丈夫なの?


ラルフに任せていたら、多分結婚できないと思うわよ?





・・・まぁ、リューイだから大丈夫でしょう。





フィーナ達が、また今度商業都市に帰ってくる時には、こちらにも顔を出して欲しいわ。次に帰って来た時には、ライの子供もいるからきっと賑やかよ。もしかしたら、カイの所にも子供が出来るかも知れないから、楽しみにしてね。



次に商業都市に帰ってくる時には、また利用して貰えると嬉しいわ!












ニリアとダンは、根っからの「商売人」自分達が作れて売れる物は売ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ