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78 しゅっぱつの・・・ 3ページ目








みなさんこんにちは!自然(?)のアトラクションを体感しているフィーネリオンです。





もの凄いスピードで駆け抜けるネコさんは、出発早々に早朝出発の馬車を追い越してしまいました。初めの内はこの早さに驚きましたが、そろそろこの感覚にも慣れて周りの景色を楽しむ余裕が出来てきましたよ!



ネコさんのあまりの早さに「そう言えば、前世の世界で世界最速を誇っていたのが『ネコ科』だったっけ・・・。」何て、ちょっぴり現実逃避もしてしまいました。



手綱は絶対に離しませんよ!




アスラさんの前に座っているソールさんは、とても楽しそうにキャッキャと笑っています。

・・・手綱、キチンと掴んでいますよね?転がり落ちたりしませんよね・・・?



不安はありますが、私からソールさんは見えないのでアスラさんにお任せします。







朝からどれくらいの距離を走ったのでしょう。追い抜いた馬車の数とすれ違った馬車の数はそれなりにあったと思います。・・・まぁ、私が見ている景色は基本的に緑1色と、アスラさんの背中なのですが。




暫くそのままのスピードでしたが、アスラさんが振り返って「そろそろ休憩にしましょう。」と私に言って来ました。アスラさんの指示で、ネコさんのスピードがどんどんと下がっていきます。





そうして、今。

目の前に広がるのは、大きな湖です。



「ヒュンベル湖です。こちらで休憩をしましょう。」

アスラさんがそう言って先にネコさんから降ります。


ネコさんが足を止めたのは、帝都と商業都市の間くらいにある湖です。

ヒュンベル湖は帝都近辺では1番大きな湖なんですよ。私達の今いる所の反対側はキチンと整備されていて、領地を持たない貴族さん達が避暑地として別荘(!)を構えている事で有名なのです。

地図上で確認の取れる場所でしたら私にも分かりますよ。エヘン!


先にネコさんから降りたアスラさんが手を差し出してくれたので、ネコさんから降りるのは簡単でした。ソールさんは私の後にアスラさんに下ろして貰っていましたよ。



「ヒュンベル湖ですか!私、初めて来ました!」

商業都市から帝都に向かった時は、このヒュンベル湖を通過したのは日中だった事と、アスラさんとソールさんとの親睦を深める事にいっぱいいっぱいだったので気にも留めていませんでした。



ネコさんは湖近くの木陰で体を休める事にしたようです。



日も高くなっているので、私達もその近くに休憩の為のシートを敷きます。




お昼用に準備したお弁当は「ハンバーガー」です。・・・ほら、毎回サンドイッチだと新鮮味が無いでしょう?たまには変わった形にしないといけませんよね!昨日の内に材料は準備していたので、今日は具材を挟めるだけにしていたのです。一緒におにぎりも準備したので、足りないようでしたらこっちも食べて貰いましょう。


昨日収穫したキュウリも、ソールさんのリクエストがあったので持ってきました。今日の朝に収穫のキュウリは、お家の管理でお世話になる方にお願いしました。



ソールさん、両手にキュウリを握っていますけれど大丈夫ですか?アスラさんもそんなソールさんの事が気になったのか、食事の手は止めないのですがソールさんを見ています。


「ソール、食事はきちんと取りなさい。」

アスラさんのこの言葉にソールさんは「あい。」と言いながらキュウリを手放しません。ソールさんは元々キュウリが気に入っていましたからね。


アスラさんがせっせとソールさんに食事を勧めますが、ソールさんはキュウリが無くなるまで食べ続けました。その後にハンバーガーを食べていたのでお腹いっぱいで満足したのでしょう。日差しが暖かい事と相まって少し眠たそうです。


「後半刻したら出発しましょう。」

アスラさんがそう言ったので、ソールさんに外套を掛けて休ませます。


「早起きもしましたし、ソールさんも疲れていたのでしょう。アスラさんもお疲れ様です。」

昼食の入っていたバスケットを片付けて、木陰で一休みをします。


「いえ、フィーナこそ。疲れたのではありませんか?」

私が差し出したカップを受け取りながらアスラさんがそう言います。


「ふふふっ。実は、最初の内は手綱を握っている事に必死だったので、あまり良く分からないのです。

周りを見る余裕が出てからはそうでも無いのですが、もしかしたら明日は足が痛くてフラフラしてしまうかも知れませんね。」

以前ネコさんに乗る為の特訓をした時も、筋肉痛になりましたからね。アスラさんに笑ってそう言ったら、アスラさんは「それは大変です。」と言って私に「治療をしますか?」と聞いてきたのでそこは「慣れ」で何とかなる(と思う)ので丁重に断らせて頂きましたよ。

ですが、アスラさんは私の両手に出来たアカギレ(手綱を強く握りすぎていたようです)に気付いて治療をしてくれました。





急ぎのお出掛けで無ければ、もっとのんびりとしていたいのですが、そうはいきません。




「そろそろ出発の・・・」


どっしゃーーーーーーん!



アスラさんが出発を促そうとしたその時に、事件は起きました!



何だか良く分からないモノがヒュンベル湖に落ちてきたのです。


とっさの事でしたが、私はアスラさんに庇われる形となっています。

ネコさんも湖の方を威嚇しています。


こんな中でもスヤスヤと眠っているソールさんに驚きますが、何が起きたのか分からないのでそのままでいて貰えたらとても助かります。



「フィーナ、大丈夫ですか?」

アスラさんそう言って私を見ます。


「はい。アスラさんのお陰で大丈夫です。」

湖のそばに陣取っていた私達は盛大に水を被ってしまいました。外套を着たままでよかったです!



あすらさんの視線は湖に向いていましたが、私の言葉にアスラさんも安心したようにしています。ですが、湖に落ちてきた「何か」を見て、何とも言えない表情を浮かべます。



「みゅぃ~~~~~!」

バシャバシャッ!


「みゅいぃい~~~~~~~~!!」

バシャバシャッ!バッシャバッシャ!



湖には何だか「残念」なイキモノが必死に藻掻いています。




「・・・。

フィーナが無事でよかった。そろそろ出発しましょうか。」

アスラさんは、まるで「何も見ていませんよ。」と言わんばかりに湖で溺れかけている「残念なイキモノ」をスルーしようとしています。



アスラさんが、見て見ぬ振りをするだなんて・・・・!



アスラさん!それは高度なスルー技術ですよ!?

一体どこで覚えてきたのですか!?



私の視線が「残念なイキモノ」に釘付けになっていたら、アスラさんはソッと視線をずらそうとしてくれます。一体どこで・・・!驚愕ものですよ!?



「みゅっ~~!」

はっ!視線が合ってしまいました!


「フィーナ。」

アスラさんが咎める様に私の名前を呼びます。その後ろでは「残念なイキモノ」がバッシャバッシャ!と水飛沫をあげながらも期待のこもった目でこちらを見ています・・・。









「みゅっ!」

「みゅっ!」

とても嬉しそうに、アスラさんに濡れた体を押し付ける謎の生き物が目の前にいます。

あぁあ~~~・・・。アスラさんがずぶ濡れに・・・!


「ふしゃ~~~!!」

アスラさんが襲われている!と思ったのでしょうか?ネコさんが謎の生き物を前足で押さえつけます。

アスラさんはネコさんに「よくやった。」と言って、謎の生き物を押さえつけている方とは別の前足を撫でます。



・・・え・・・?



アスラさんが(片方はズブ濡れですが)モフモフに囲ませていますよ?

何て羨ましい・・・!



私はソールさんを抱き上げているので、モフパラのそばには近付かずに様子を見ています。




あの後、私達がココから去ろうとしたら、「みゃ~~~!」[みゃ~~!!」ともの凄い勢いでバッシャバッシャ!とアピールしてきたので、アスラさんが謎の生き物の周囲の水を凍らせて救助(?)したのです。



この謎の生き物は、不思議な事に「嘴」と「翼」を持った獣の姿をしています。



・・・強いて言うなら、前世では「グリフォン」と言われていた姿なのですが・・・?



「・・・!アスラさん。この子、翼を怪我しています!」

私の言葉にアスラさんも怪我の様子を見ようとします。




「結構深い傷です。見たところダグリジュの雛のようですし、何かに襲われた所を逃げてきたのかも知れませんね。」

アスラさんは、そう言って翼周辺に治療の魔法を掛けています。



アスラさんが救助したのはダグリジュという魔獣の雛(大きいです!)なんだそうです。こちらの世界ではグリフォンでは無くて、ダグリジュという名前なのですね・・・。雛さんは先程のやり取りで体力の消耗が激しかったのか(バシャバシャ関係で)、あまり動かなくなってきました。



「・・・フィーナ、私には騎獣の治療はこれ以上無理なので騎士団の方に連絡を入れます。そうなると・・・。」

「大丈夫ですよ。実家の方には到着が1日遅れるかも!って伝えますね。」

アスラさんが申し訳なさそうに言って来ますが、関わってしまった事ですからね。ココで見捨てるなんて、モフモフ好きの私には出来ませんよ!


「ありがとうございます。」

アスラさんはそう言って騎士団の方に連絡していました。



取り敢えず、騎士団の方から騎獣の治療ができる方をこちらに出しててくれた様なので、私は雛さんの体温が下がらない様に暖めていましょう。



ソールさんも雛さんを暖めようと嘴を撫でています。・・・見ていて可愛いので、ソッとしておきましょう。



私は、濡れている雛さんを乾かす為に荷物からタオルを取り出して、せっせとお腹周辺の綿毛を拭きます。

こういう時、私が「火」の魔法を使えて良かったと思います。ある程度、羽毛の所をタオルで拭いていって、濡れたタオルを魔法で乾かして・・・、とコレを何回も繰り返していきます。後は太陽の日差しが水気を飛ばしてくれます。

ネコさんも初めの内は遠巻きに見ていたのですが、気が付いたら雛さんに寄り添ってくれていました。可愛すぎです!



気が付いたらだいぶ日が傾いてきていたので、雛さんが暖まるように近くで火を熾します。

騎士さん達が来たら、何かおもてなしをした方が良いのでしょうか?アスラさんに聞いておきましょう!
















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