表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/163

77 しゅっぱつの、の後ろでは・・・


今回は少し短いです。








みなさんこんにちは、リヒトです。




最近は日差しも強くなり、ますます暑くなってきました。



長かった社交の期間も終わり奥方様がご領地へとお帰りになってからは、このヴァレンタ家の帝都邸宅も華やかさが陰に隠れたように感じます。



先日ご領地よりお戻りになった当主様の元にアスライール様が持って来たフィーネリオン様手製の不思議な菓子に、使用人一同が感心したのは記憶に新しい事となっております。


「キラキラして宝石みたい!」

その菓子を見て帝都邸宅に残ったメイド達がそう言っていましたが、確かにそういった表現での説明が当てはまる不思議な見た目の菓子でした。


帝都邸宅の料理人達も驚いていましたから、どういった調理法なのでしょう?

長く帝都に居ますが、こういった菓子類は始めてみました。

フィーネリオン様の作る食べ物は、時々とても菓子類に見えない物もあるので、ただただ驚きます。



それとも、商業都市では普通なのでしょうか?

・・・いえ、商業都市を治めているスターリング公爵夫人が知らないようなので、フィーネリオン様の創作菓子なのでしょうね・・・。



こちらの菓子を見て、当主様が興奮したように奥方様に連絡していました。

・・・これらは日保ちしないとアスライール様に言われていましたが、当主様は何とか奥方様の所に送れないかと思案していましたが、帝都からご領地まではどれだけ急いでも3日は掛かります。奥方様は「その気持ちだけで、私は幸せですわ。」と当主様に言っていたようです。・・・どこまでも仲の良いお2人で良かったです。


ただ、続いた言葉が「フィーナさんはコチラに来た時に作ってくれるかしら?」だったようなので、(私が勝手にですが)奥方様によってフィーネリオン様にこの「ぜりー」を作って貰おうと、何かしらの準備がされている事を推測しています。






それと、話は変わるのですが・・・。



基本的にアスライール様は帝都邸宅に滞在していないので、アスライール様の「常識」が騎士団寄りになっていた事に気付くのが遅れてしまいました。


・・・まぁ、この2年間で「アスライール様の完全な一人暮らしは無理」と言う事は私達使用人一同だけで無く、ヴァレンタ家の皆様にも認知されています。

・・・もしかしたら、フィーネリオン様にも認知されているのでしょうか?






アスライール様も長く騎士団にいるという訳では無いのですが・・・。

やはり12歳から親元を離れ、騎士学校に入ったのが問題だったのでしょうか・・・?



騎獣用の鞍の事もそうですが、女性との2人乗りは「ルシェ」が一般的です。


ルシェは大人しく、乗手との意思疎通もしやすいので、貴族に好まれる騎獣となっています。女性であっても、大人しいルシェであれば安心して1人でも乗る事の出来る扱いやすい騎獣だと言われています。一部の貴族令嬢の中には「教養」としてルシェに乗る方もいらっしゃいます。


他にも騎獣はいますが、間違っても気紛れで攻撃性の強いカリャン型の騎獣や、忠誠心は強いけれど乗手を選ぶフェンダ型の騎獣などは「騎獣するのが初めて」という女性には全く向いていませんからね!?本当に理解できていますか?


「フィーナは、ねこに慣れているから大丈夫ですよ。」

事の経緯を聞いて衝撃を受けていた私にそう言って来たアスライール様は、会話中に私と視線を合わせようとしませんでした。どうやらアスライール様も動揺を隠しきれなかったようです。


事の重要性を感知した私は、アスライール様に「出発までに2人乗り用の鞍を準備しますね。一般的な。」と言った事で、私とアスライール様の会話は終了したのです。




事は当主様夫妻が(浮かれる程)可愛がっているフィーネリオン様に関する事です。私はアスライール様を見送った後、直ぐに家宰であるギース様にこの事を報告しました。



話の流れをギース様に報告した所、ギース様に「良い報告です。後は此方で何とかしましょう。」と褒められ、特に気にせず仕事に戻りました。



多分、この判断は(私の)仕事として間違っていなかったと思うのですが・・・。後々、アスライール様には本気の謝罪をしたいと思う程に後悔しました。




・・・まさか、まさかあんなにも本気の鞍が出来上がってくるとは思わなかったのです・・・!



高位貴族御用達である、ガーブ=ヴィサンテ工房で「ねこ」専用の鞍を特注で準備するなんて、誰が考えるでしょうか?

良く考えてください!?確かにアスライール様は高位貴族であるヴァレンタ家の御子息ですが、子爵位を持っている以上はきちんと身分差をわきまえないと・・・。


・・・えっ?息子夫婦への贈り物だから気にするなって?

いえ、その言葉は、アスライール様の自宅改装の時に入れた家具類の時にも言っていましたよね?あちらだってガーブ=ダージリア工房の高級家具でしたよ・・・?あぁ、あちらは「結婚祝い」でしたか、そうでしたか・・・。



・・・当主様、まさかと思いますが・・・、奥方様がフィーネリオン様に騎獣用の衣装を贈った事が悔しかったのですか?





まさかですよね!?












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ