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51 ピカピカの・・・ 2ページ目







今日は朝から久しぶりの太陽が顔を出しています。一昨日から穏やかに降っていた雨も今日はお休みです。


先日「ハンの支柱を立てよう」と思ったその次の日に、お仕事から帰って来たアスラさんと一緒に支柱を立てたのですが、うまくツルが絡まってくれる事を祈るばかりです。今日はソールさんがお城に行く日だったので(そういう日があったのですね!)、アスラさんが出勤の時に一緒にお城に行っています。なので、私はアスラさんやソールさんと一緒だとなかなか入れないお店や、可愛い小物を扱っている雑貨屋さんを中心にお店を回ろうと商店街に来ています。



「おや?今日は1人かい?」

いつもお野菜を買っているお店の奥さんに声を掛けられます。


「そうなのです。今日はアスラさんとソールさんが一緒に出ているので、今日はいろいろなお店を見て回ろうと思っているのです。」


「そうかい。ここ最近は雨だったからね、珍しく晴れている今日は買い物日和だ!楽しんで行っておいで。」

お店の奥さんに「後で帰りに寄りますね。」と言ってお店から離れます。





最初は雑貨屋さんに向かいます。


通信用の魔石があっても、一般のヒトが個人で持つには高級品です。なので、この世界では手紙の需要が大きいのです。識字率の高いこの国では、親しいヒトや家族に手紙を送る事は普通に行われています。なので、便箋やメッセージカード、封筒は生活の必需品と言っても良いくらいなのです。


これ等は贈りにも選ばれますし、手紙を書く為のペンも人気が高いのです。



雑貨屋さんの扉を開けたら、そこはメルヘンなお店でした。


私の実家も雑貨屋でしたが、日用品を扱っていましたからこんなにカラフルではありませんでした。

少しだけこういった雑貨も扱っていましたが、店舗丸ごとになるとこんなに可愛らしくなるのですね。ニアちゃんとティアちゃんに何か送ってみようかな。絶対に気に行って貰えそうです。後、お兄ちゃんにサンプルみたいなのを何個か送りましょう。スバル君は・・・、ノートかな?便箋は私の所に使われそうなので、自分の為に使って貰える物にしましょう。


店内には他にもお客さんが居て、楽しそうに商品を選んでいます。


私も店内をいろいろ見て兄ちゃんには手帳を、今年学院を卒業するニアちゃんと学園を卒業するティアちゃんに、可愛いらしいガラスペンをデザイン違いで選びました。スバル君にはノートを選びます。後、お兄ちゃんにはサンプル用に香りの付いた匂い袋も送りましょう。私用にもノートと便箋を何種類か購入しました。


少し気になったのは、黒板があった事です。

アスラさんの予定や、私がしたい事なんかを書いておくのに便利かな?って思ったのですが、それなりに大きいので躊躇いが出ます。迷いましたが、今回は止めておきましょう。お家用にメモ帳を買っておこうかな?







次に向かったのは手芸用のお店です。


ボタンやリボン、可愛い物から実用的な物まで扱っています。

こちらの世界では、服を自分で繕う事の方が多いです。既製品もあるのですが、サイズ直しは結局自分なので、生地を買って自分で作る方が経済的です。・・・まぁ、男のヒトの一人暮らしならば、既製品を買う方が多いのかも知れません。私は実家に居た時にニアちゃんと一緒に、ニリアさんから裁縫の手ほどきを受けました。なので、普段着る洋服くらいならば作る事が出来ますよ。


アスラさんもソールさんも、生地の薄い服を着る時に事件が起きるので、こちら様式では無くて前世の私の作り方でシャツを作ってみようと思います。

・・・職人さんの作る服に慣れているアスラさんが満足できるのかは、謎ですが・・・。



それでもダメな時には、諦めましょう。お洋服は消耗品です。




先日、雨の中はしゃいだソールさんが外套に穴を開けてしまったので、補修用の布と糸を手に取ります。ソールさんには予備用にもう1着あっても良いかなと思ったので、お家にあるのとは違う色の物を選び手に取ります。洋服もこれから作るとなると気温の高い時期になると思うので、パステルカラーの水色と緑、白い生地を買います。それ以外にも、ボタンと飾り紐、リボンと糸を買ってお店を出ます。



途中、何軒かお店を覗いて見ましたが特に欲しい物は無かったので、夜ご飯用にお買い物をして帰ろうといつものお店を目指します。





途中で空が曇ってきたので「雨が降るのかな?」と思いながら着ていた外套の前合わせを締めます。


いつものお店に着いて、お店に並んでいる野菜を見て夜の献立を決めようと思ったのですが、結構しっかりと雨が降ってきてしまいました。今はお店の軒下に居るのですが、あまり長居はしない方が良いかもしれません。


「あぁ~。降ってきちまった。」お店の主人がそう言って空を見ます。


「買い物は楽しめたのかい?」


「はい。結構たくさん見て回れたので、楽しかったです。」

お店の奥さんに話しかけられたので私も答えます。


「この時期は雨ばっかりだから、洗濯物が乾かなくて嫌になるね!」

奥さんが私の隣に立って空を見ます。私も空を見て「そうですね」と返しますが、主婦の皆さんの悩みは一緒なんだなぁ何て思ってしまいました。


「そうそう、この間の配達の時にボウアも買ってくれたんだって?旦那が珍しいから仕入れたみたいなんだけど、店先に並べてもどうやって食べたら良いのか分からなくて、配達に任せたんだけど結局売れ残っちゃってね・・・。もし良かったら残っているボウアを買ってくれないかい?もちろん安くしておくからさ!」

奥さんが旦那さんを小突きながら私にそう言って来ました。


確かにボウアは珍しいですよね。商業都市でも滅多に見る事はありません。


「籠1つ分ですか・・・。」


「やっぱり多いかい?」


安く買う事は問題ないのですが、何ぶん量が多いです・・・。



ハッと閃きます!




「いえ、全部頂きます!」

そうです!我が家にはアスラさんがいますから、ボウアを冷凍保存する事が出来るのではないでしょうか?

そうしたらアメリアさんにお裾分けも出来ますね!


「大丈夫なのかい?」

奥さんは私にそう言って来ましたが、先程買った物は外套の下に背負っているナップサックに入っていますし、手に持っているのはソールさん用の予備の外套が入っている手提げカバンです。籠が1つ増えるくらいならば、お家まで問題無く運べそうです。


「はい!大丈夫です!それと、こちらのジラも一緒に買います!」

ジラはスナップエンドウみたいなお野菜で、私は好きです。

もう少しすると黄色いジラがお店に並ぶようになるのですが、こちらはトウモロコシみたいな感じの味がするのです。始めは驚きましたが、食べ慣れた今では私の好きなお野菜です。


「ありがとう!ボウアの分はオマケしておくからね!本当に、無理言ってごめんね~。」

奥さんはそう言って籠にボウアと少し多めのジラを入れてくれます。明らかに多いボウアが殆どタダだなんて太っ腹過ぎです!



雨脚が強くなって来たので、帰りが遅くならないようにお店を離れます。





いつも通りの道を歩いて帰路に付いていますが、ふと視界の端に小さな子供が目に入りました。




この辺りでは見た事の無い、青銀の髪をした女の子が道の端で遊んでいます。

楽しそうにキャッキャはしゃいでいる様子は可愛らしいのですが、この雨の中1人でいるのは不自然です。


周りを見ても保護者の様な方はいませんし、簡素なワンピースを着ているのでこの雨の中では寒そうです。



空を見ると日が沈むまではまだ時間があるのですが、雨雲が掛かっているので薄暗くなって来ています。




「1人なの?」

私が近付くまで気が付かなかったのか、私が声を掛けたら驚いたように振り返ります。


「うん。」

そう答えた女の子は、そのまま水たまりに飛び込んで楽しそうにしています。


「お家は近いの?」

私がそう聞くと、女の子は周りを見て「うん」と答えてくれたけど、近くにこんな子がいるって聞いていませんよ?引っ越して来たのでしょうか?


雨に濡れている女の子は、気にならないのかクルクル回って楽しそうです。



「お家のヒトが心配しているかも知れないから、雨が強くなる前に帰った方が良いですよ?」


「だいじょうぶ!」


私の言葉に元気に返事を返してくれていますが、少し心配です。

ぐるっと周囲を見ますが、私もフードを被っているので視界が広いわけではありません。もしかしたら、本当にこの辺りのお家の子なのかも知れないので、これ以上は言わない方が良いのかも知れません。


それでも・・・。



「そうなのですね。それならば、これを着て雨に濡れないようにしてください。」

既に雨に濡れているのであまり効果は無いと思うのですが、ソールさん用に買った外套を女の子に渡します。

女の子は「???」といった感じで外套を見ていたので、外套を広げてフードを被せます。前合わせのボタンを締めて私が満足したので「暗くなる前にお家に帰ってくださいね」と声を掛けて女の子から離れます。


「それでは・・・。」とお別れの声を掛けようとしたら、女の子が「ありがとう!」と言って手を振って商店街の方では無く、住宅街の方に走っていきました。


「気を付けて!」と私も手を振りますが、女の子はクルクル回りながら楽しそうに帰って行きました。

足元が石畳なので転ばないか心配しましたが、バランス感覚がよい子なのかも知れませんので、私もお家に向かって歩き出します。




お家に帰ったら、アスラさんとソールさんが帰っていたことに驚きました。あれ?そんな時間でしたっけ?そう思ってアスラさんを見ます。


着替えていないので帰って来たばかりなのでしょうか?そう思って「ただいま帰りました。」と声を掛けたら、アスラさんは「あぁ・・・、出掛けていたのですね・・・。」と言って安堵した様に私を玄関から室内にエスコート?してくれます。



「いえ、帰宅したらフィーナの姿が見えなかったので、心配しました。」

アスラさんはそう言いますが・・・。



外套を脱いだ私のスカートにソールさんがしがみ付いています。



アスラさん、帰ってきて私がいない事もたまにはありますよ?なので、しがみ付いて離れないソールさんをどうにかして欲しいのです・・・!



・・・えぇ!もう少しこのままですか!?


ご飯の準備が遅れますよ?それでも良いのでしたら、ソファーに座ってお話ししませんか?






「ふふふっ。今日は不思議な子にお会いしたのです。」お話する事はたくさんありますよ!














アスライールはソールと一緒だったので、普段よりも2刻早く帰って来ています。フィーネリオンの帰宅があと少し遅かったら探しに行くところでした。そして、外出して楽しそうに会話をしているフィーネリオンに「帰宅した時に出迎えて欲しい」とは言え無かった。

ご飯は我慢できるので張り付いたソールを引き剥がさないで、暫く放置します。会話は楽しみたい。


アスライールがフィーネリオンにお願いされたボウアの冷凍作業は、1本1本冷凍すると言う主婦に優しい仕上がりでした。

これに味を占めたフィーネリオンの「お願い」によって、アスライールは冷凍技術を磨きます。



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