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44 わかくさの・・・ 1ページ目








みなさんこんにちは!お元気でしたか?私、フィーネリオンは元気ですよ!




新緑祭が終わって、アスラさん達・・・。騎士の皆さんはようやく一息吐けるようになったそうです。



1個師団は12の部隊に分かれていて、それを2~3部隊ずつ纏めてお休みを取るようになったみたいです。アスラさんは、34日と35日の日にマルっと2日分のお休みが出来ました。



折角なので、アスラさんにはゆっくり休んでもらおうと思ったのですが「チムリスを見に行きましょう。」とアスラさんに言われたので驚きました。憶えていたのですね!



「良い機会です。本来ならば今月の初めに見に行くと言っていたのに、ずっと先延ばしになっていましたから・・・。」

さらにアスラさんが続けて言って来ます。



「いえいえ。アスラさんはずっとお仕事でしたから、その日はゆっくりとしましょう?だいたい、私から言わせて貰うと、アスラさんは働き過ぎです!

なので、その2日間はゆっくりと休んで、ソールさんの相手をする日にしましょう。」

私がそう言うと、ソファーでクッションをモフっていたソールさんが「なぁに?」と言って近付いてきます。


「ね?ソールさんもアスラさんと一緒に居たいですよね?」

ソールさんにそう聞いてみたら「あいっ!」と元気なお声で返事を頂きました。


これにはアスラさんも困ったようにしています。



「もし、良ければですが、お弁当を持って公園に行きませんか?」

ただお家に居るよりかは気分転換になりますよね?










そして、アスラさんがお休みの34日が来ました。



「すみません。私達も一緒にと誘って頂いたのですが、本当に良かったのですか?」

先日の新緑祭でお花を売っていた、少年ヒースさんとその妹さんであるリリーナさんも一緒にピクニックです。



実はこちらのお2人、男爵家のご令息ご令嬢だった様ですが、いろいろな事があって残念ながらご実家は取り潰しとなってしまったようです。

後日判明したのですが、お2人の事は工業都市で「捜索願」が出されていたみたいなのです。依頼人のリックさんに連絡をしたらお迎えに来てくれるようなので、その方がいらっしゃるまでは騎士団で「保護」をしているという形の扱いとなっているようです。もしかしたら、ヒースさんが足に怪我をしているのでその扱いとなったのかも知れません。


ヒースさんはまだ若いので、骨折している足の治療は自然治癒に任せる事にしたそうです。「捻挫は癖になりやすい。」と前世でも言われていましたがこちらでも同じ考えで、捻挫は治療魔法で治してしまうみたいです。

騎士団で保護されているのならば安心なのでお任せする事が出来るのですが、ずっと建物の中に居るのは気が滅入ってしまうのではないかと思ってお呼びしました。この後、帝都に残るのか工業都市に帰るのか分かりませんが、せっかく帝都に来ているのに嫌な思い出だけ残っていたら残念ですよね?


それで今日、お2人を騎士団までお迎えに行ってから公園に来たのです。



ソールさんはアスラさんに張り付いてお2人を見ていましたが、「お花を売っていた方ですよ。」と言ったら、ちょっぴり傍に行くようになりました。




公園にはそれなりのヒトが居て驚きました。


「周りに迷惑を掛けないように出来るのならば、騎獣を連れて行っても大丈夫なのよ。」とご近所さんから情報を仕入れているので、ヒースさんをお連れするのにネコさん同伴です。あっ!ネコさんには荷物も一緒に運んで貰っていますよ。

ネコさんは訓練を受けている騎獣さんなので、アスラさん以外の方を乗せても大丈夫みたいです。

ただ、「アスラさんの命令があれば」ですけれど・・・。私やソールさんは問題なく乗せてくれるみたいなのですが、好き嫌いがあるのかアスラさんの同僚の方に対しては選り好みするようです。


日差しも強くなって来ているので、木陰にシートを広げます。

(こちらにピクニックシートはありませんので、テント用の布をそれっぽく仕上げた物です。)


ソールさんは1番乗りでシートの上に上がります。

ネコさんに運んで貰った荷物にクッションや膝掛けがあるので、それもシートの上に置きます。



「さぁ!後はゴロゴロしましょう!」

私のこの言葉に皆さんポカンとしていますが、ソールさんはクッションを抱えて満足そうです。



「フィーナ・・・?」

アスラさんが私に何か言いたそうですが、その先が続いて出てきません。



「あ、あの?」

ヒースさんもリリーナさんも私を見ています。



「ふふふっ。実は、私もノープランで・・・、何の計画もしていないのです。」

ちょっと楽しくなって来た私は、何冊か持ってきたノートを出してヒースさんとリリーナさんに渡します。


お2人とも「???」とノートを捲ります。

ノートの内容を見たヒースさんが、驚いたように私を見ました。



「お2人は、まだ10歳と6歳、でしたよね?。本来ならば学園に通っていたのかな?と思ったので、これから学園に戻った時に使って貰えればと思って、勝手ながら授業ノートを作ってみました。私も学園の授業は大分前の記憶なので、図書館の教材を見ての作成なので役立てばいいのですが「あのっ!」

私が話している時にヒースさんが言葉を遮ります。



「あの、とても嬉しいのですが、私は学園を辞めているので・・・。」

ヒースさんの言葉尻が小さくなっていきます。


「あれ?そうなのですか?それなら、もう一回学園に入学したらどうでしょう?」

私がそう言うと、ヒースさんは「えっ・・?」っと言います。リリーナさんも私を見ています。




「?学園は、申請があれば帝国の領民なら誰でも入れますよ?」

あれ?違ったっけ?そう思ってアスラさんを見ます。


「フィーナの言うとおり、学園は申請があれば入り直しが出来ますよ。1度退学しても、退学理由によっては1年以内の申請で同じ学年から復学できる筈です。」

私の視線に気付いたのでしょう、アスラさんがヒースさんとリリーナさんに説明をしてくれます。



「復学」制度があるなんて驚きました。私もアスラさんの説明を聞いてビックリです!




「・・・それにしても、いつの間に準備していたのですか?」

アスラさんが私の作ったノートを開いて中を見ています。


「はわわ・・・。公園に行きましょう。と言った次の日からです。お買い物ついでに図書館に行って本を借りて来たのです。」

ノートは私の手製なので恥ずかしいので、あまり広げないで欲しいです。



ノート作成の合間に、ニアちゃんに「おかずレシピ」を書いたノートを送った事を伝えました。

その他に何種類かお菓子のレシピも書いたので、ソレを使って(これから出来るであろう)恋人さんの胃袋を掴んで下さい!


その時に「4月にアスラさんが長期のお休みを頂けるみたいなので、その時に帰るかも」って伝えたら「決まったら連絡をちょうだいっ!」って言われました。

「もちろんです。」と伝えた所で、ナゼか焦った二アちゃんによって通信は切られてしまいました。


・・・どうしたのでしょう?




「もし・・・。もしもですが・・・、復学できるのならば、私は学院に行けますか?」

ヒースさんのその言葉に意識が戻されますが、ヒースさんはアスラさんを窺うように見ています。


学院への入学条件は「学園を卒業している事」が前提ですからね。

その他に入学金とかお金が掛かりますが、成績優秀者であれば補助金や奨学金・・・。やり方によってはいろいろあります。


「進学の意思があるなら行けると思いますよ。貴方方の頑張り次第です。」

アスラさんはそう言って持っていたノートをヒースさんに渡します。


「お兄さま、私、頑張ります。」

リリーナさんがそう言ってノートを見ています。

貴族であるお2人は、幼い頃から家庭教師が付いていたと思うので大丈夫でしょう。それに、そのノートにはそこまでの内容は書いていませんから、何だか申し訳ない気持ちになります。


それでも、コレが「これから先」を考えるきっかけになったのであれば良いと思います。



ソールさんがネコさんのお腹に幸せそうに埋まっていますが、私も仲間に入りたいです。

この日差しで無ければ、とても良い「もふもふ」ですよね。




・・・今日も良い天気です。














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