42 おまつりは、のその後ろでは・・・
子供に対する「虐待」表現があります。
苦手な方は気を付けて下さい。
やっほー!久し振り!みんな大好きルゥだよ!
えっ!知らないって?
そんな事ないよ!もぅ!忘れんぼさんっ!
・・・まぁ、その事は置いといて!
私ね・・・、私の所属している旅団のみんなと、帝都に居る友達に会いに来たの!
帝都の新緑祭はヒトもたくさんいるし・・・、知ってた?帝都の新緑祭には出店があるんだよ!他の都市とかも見習って欲しいよね!唐揚げうまーーっ!
そんな事でお祭りを楽しんでいたんだけれど、私達ちょっとやらかしちゃったのよ・・・。
友達に会いに帝都に来たのに、その友達の家が何処にあるのか、みんな知らないの!笑っちゃうよね~!
取りあえず、宿は宿泊できないから(新緑祭期間で満室だって!)帝都の冒険者ギルドで宿泊場所を確保したんだけど、私達の旅団は13人いるのに1部屋に放り込まれたの!私、女の子だよ!他にも女の子が2人いるけど、この扱いは酷くない!?
・・・はい。泊まれる所が出来たので、満足です。隊長、分かっていますよ?だから、その振り上げた腕は私の頭以外に下ろして下さい~。・・・そんなんだから、お嫁さんがこなっ!!!いった~い!
えっ!うそうそっ!素敵な隊長にお嫁さんが来ないのが不思議ダネッ!っって、やめて~!みんなも見てないで、助けて!
何だかんだでお祭りを楽しんでいるけれど、やっぱり帝都は広いな~。
帝都は建物も大きいし、気取ったヒトも多い!ちょっと、ララ!男のヒトばっかり見てないで、あの子の事を探してよ!
・・・っえ?私の両手に握られているのは何だって?
見てわかるでしょう?ベズウィーの串焼きだよ?肉厚で食べ応え満点!
・・・私はこれから大きくなるから良いのよ!ララの胸よりも大きくなるんだから、食べてて良いの!
それにしても、ヒト多いね~。あんなに目立つ子なのに見つけられそうな気がしないよ~。
妹ちゃんにシッカリと聞いてくれば良かった!!
そんな感じで、新緑祭を過ごしていたんだけど・・・。
新緑祭も終わりに近付いてきた時、帝都のギルドにあたし達が受ける事の出来る依頼があるか確認に行ったんだけど、そこで懐かしい顔を見つけたんだ!
「あれ?ねぇ、アレってローラントじゃない?」
ララがそう言って私の腕を引いてきた。
「ホントだ!どうしたんだろう?」
ララの見ている先には、ずっと前に一緒に活動していたローラントがギルド職員と話をしていたの。
「・・・何だか、取り込み中ね。」
ララのその言葉に頷きながら、ローラントの様子を見てみた。
ローラントはちょっと良い所のお坊ちゃんで、どうして冒険者をしているのかが分からない謎のヒトなの。
お金があって生活していけるなら、冒険者になんてならなくても良いと思うのよ。私は。
最初に会った時は違う旅団に居たんだけど、すっごいギスギスした旅団だったのを憶えてる!
あそこの隊長の態度は、あたしがそれまで会った中では「1番サイテー」だった。
かろうじて、他のヒト達がマトモだったから良いけど・・・。
暫くたってその旅団が「解散した」って聞いた時にはあんまり驚かなかったなぁ・・・。
あたしのいる旅団は商業都市に拠点を構えて活動しているんだよ。でも、前は他の旅団と同じで拠点は無かったみたい。
今は先代隊長のジジッタさんが仕事の依頼を個人やギルドから取ってきて、そこに私達が振り分けられる。って言う感じでやっているんだけど、時々変な依頼があったりするから楽しく活動しているよ!
本業は「冒険者」のハズなんだけれど、基本的に長期の依頼は「護衛」くらいしか受けてないなぁ・・・。
そんなある日、私達の拠点に転がり込んできたのがローラントだったの。
所属していた旅団が解散したから、って言うのもあるんだろうけれど・・・。
「少しの間だけ、旅団に入れてくれ!」
そう言って私達の旅団に期間限定で入っていたんだよね。
取りあえず書いて貰った「入団希望書」書いてあった年齢に先代隊長が驚いていた。
後ろからコッソリと覘いてみたら「15歳」って書いてあったから、その年齢にあたしも驚いた!
だって、あたしよりも年下だったんだよ!
「ダメだよ、年齢詐称しちゃ!」って言ったら、ローラントはムッとした様にギルドカードを見せてきた。
その時に、みんなで見たけれど年齢の所は「15歳」って書いてあったから、何回も顔とギルドカードを見比べちゃったよ!?
その後、暫くはあたし達と一緒に居たんだけど、2年くらい前に帝都に移っちゃったんだよね~。
そんな事を思いながらローラントを見ていたんだけど、不意にローラントがこっちを見た。
驚いた様にこっちを見ているけれど、後ろに何かあるのかな?
ララと一緒に後ろを見てみたけれど、何も無いよ?
もう一回ローラントの方を見たら、近くに来ていたからビックリした!
「どうして、帝都に来ているんだ!?・・・いや、久し振りだな。」
久し振りに見たローラントは、大きくなっていた。
あたしとララは小さい方だから、圧迫感が凄くてちょっと引いちゃったけれど、気にして無いみたいだからいいよね。
「帝都には友達に会いに来たんだよ。ローラントも元気そうだね!」
そう挨拶して相席を勧めたけれど、ローラントは「用事があって・・・。」と言ってカウンターに行こうとして立ち止まった。
・・・?
ララと一緒に「?」を浮かべていたら
「今、暇か?」
振り向いたローラントは、私達にそう言って来た。
取りあえず、隊長達に連絡したら「怪我をしないように気を付けること。」と言われただけだった・・・。
みんな、お酒を飲んでたもんね。
ヘス姉さんなんて、ジョッキでグイグイ飲むから酔っ払いの最終段階になってたよ・・・。
あたしとララ、弓使いのホープの3人がローラントと合流となったんだけど・・・。
目の前にはキラキラの王子様みたいなヒトがいて、ローラントと仲良さそうに話しているじゃない!
周りの男達の顔面偏差値の高さに、ウットリとしているララは使い物にならなさそう。
ホープも「帝国騎士団」の騎士と、上位旅団のヒト達に驚いてしまっているからヤバいかも。
ここはあたしが頑張らないと!
騎士は1個師団が動くみたいで、かなり大規模な内容みたい。
そこに、あたし達は滅多に会えない様な上位冒険者が居るんだから、壮観だよね!
取りあえず、騎士団の方である程度の場所を絞っているみたいだけど、相手は何をやったんだろう。
ココからチラッと見える指示書を見ても、結構規模が大きい感じがするよ?
しかも副師団長(?)って呼ばれていたヒトが、それぞれの隊長を集めていたから本格的に潰しに入っていくのかも・・・。
知ってる?冒険者の上位に居るヒトや、兵士団で上位に居るヒトも「騎士には勝てるか分からない。」って言うんだよ?
確認しようにも普通に生活していたら、騎士の戦っている所を見れる機会なんてあまりないから良く分からないんだけど、年1回行われる「武術大会」くらいかも、騎士が戦っている姿を見れるのは・・・。
・・・まぁ、「一般の部」と「騎士の部」があるから、何となくは解っているんだけどね。
ララがウットリと見ていた騎士は、どうやら「既婚者」みたい。ララが笑顔で舌打ちしてた。
ホープが怯えているから、止めてあげて。
そのキラキラした騎士は会話の内容に驚いているみたいだけど、何かあったのかなぁ?ローラントに断りを入れて副師団長って呼ばれるヒトの所に向かって行っちゃった。
暫く遣り取りをして、いくつか対象を絞ったみたい。
最終的に絞られた個所は5カ所。1ヶ所は「確実」みたい。
どうやら、関係先は全て回るみたいだから「裏」を取るのに時間が掛かっているのかな?
さっき「弓」「投擲」を扱うヒト達に集合が掛かったから、そろそろ本格的に動くのかも。ホープ、頑張れ!
あたし、魔法は全然ダメで武器を持ったんだ。あたし達の部隊の最大火力はヘス姉さんの魔法だけど、ララもすっごい魔法を使うんだよ!ホープよりも先に呼ばれていたから、何かしらの連絡があっても良いと思うんだけど・・・?
そう思っていたら、中央広場の方から「ドーーーーーン」って音が聞こえて来た。
花火だ!
綺麗だな~。なんて思っていたら、騎士たちの方に動きがあった。
帝都の外れの屋敷、商業区近くの商人のお家、高級住宅地にある貴族の屋敷。それ以外にも2か所、部隊は5つに分かれてそれぞれに動く事になったの。
騎士団は貴族の屋敷を中心に割り振られていて、魔術師はそっちに言ったみたい。
商業区には騎士団と兵士団。帝都外れには騎士団と冒険者。それ以外の所には騎士団の部隊が向かうようになってた。
あたしはキラキラした騎士と一緒に帝都外れに向かったんだけど、ビックリしたのがこの部隊に居る騎士のヒト達ほとんどが騎獣持ちだったの!
騎獣は専門の所で調教済みの騎獣を買うのが一般的だけど、ココに居る騎獣は野生の魔獣を調教した騎獣だった!だって、一体一体に「個体識別」の魔道具が付いてないんだもん!
魔獣は戦って調伏しなきゃ騎獣にならないから、大変なんだよ?あたし達も何回も魔獣と戦っているけれど、調伏出来た事は一回も無いんだ。
ジッと、騎獣を見てしまう・・・。いいなぁ。
・・・って、今はこっちに集中!
到着した場所からは、「いかにも貴族!」っていうお屋敷が見えるんだけれど・・・。
このお屋敷、おっきいな~。
思わず「ほえ~。」って声に出ちゃったけれど、周りに居た冒険者組は同じ様に思っていたみたい。
あたしは「程よい」広さのお家で良いかなぁ・・・。掃除とか大変そうだもんね。
とりあえず指示された場所に向かうと、そこにローラントが居た。
「おっきいお屋敷だね~。」
あたしの言葉にローラントも「あぁ。」って返事をしてくれる。
「何処かの貴族の屋敷みたいだからな。」
ローラントもこのお屋敷を見てそういった。・・・コレが貴族さまには普通の広さなのかな?
表門の方でこのお屋敷の持ち主と交渉をしているんだけど、交渉に応じて貰えたらあたし達は何もしなくて良いんだよね?
「交渉は成立しなかったようです。」
傍に居た騎士さんがそう言った事によって、お屋敷への突入準備をするんだけれど・・・。
騎乗した騎士が2階を見ている。
不意に2階の一室が光った。
・・・それが「合図」だったんだと思う。
その騎乗した騎士は、塀を飛び越えて反対側から2階にあるテラスに跳躍していた。騎獣ってすごい!
あたしも裏門を破って中に入る。ナゼか凍っていた壁から窓をぶち壊して、お屋敷の中に入って行く。
門と出入り口は騎士のヒト達が抑えているから、あたしは真っ直ぐ屋敷の中に入って2階に続く階段を探していたんだけど。途中武器を持っている男達に会ったけど、弱い弱い!ただ剣を振り回していても、あたしには当たらないよ!ヒョイヒョイッと振り回されている剣を避けながら屋敷の中を進んでいくと、作戦の中で聞いた階段が見えてきたから、纏わり付く男達は騎士さんと他の冒険者に任せて階段を駆け上がったの。
結構「簡単」なお仕事だと思っていたけれど、2階であたしが見たのは異常な光景で驚いたよ!
階段を上って手前の部屋から扉を開けて行くと、この屋敷には不釣り合いの「貧相」な子供が居たの。
眠っている時間だったからか、反応は凄く鈍かった。充分にご飯を食べていないからなのか、扉を開けたあたしを見ても驚かなかった。それどころか、反応も無かったの!小さい子供もいたのに!とりあえず、指示通りに中に居る人数を確認して、扉を開けたままにして隣の部屋に向かう。
その隣の部屋にはたくさんの女のヒト達が居た。みんな扉が開いた事に怯えて、こっちを見た。あたしが「助けに来たよ~。」って言ったら、初めは状況が把握でき無いのか泣き始めたヒトも居た。
「扉は開けとくけど、今は危ないから外に出ないでね。」って言ったら、弱くだけれど「はい」って返事が返って来た。あと、生地の薄いネグリジェ(?)を着ていたから、取りあえず服に着替えて貰おうとしたんだけど「着る物はコレ以外無いんです。」って言われて驚いた。えっ!それが普段着なの!?そんな恰好でいたら、痴女だよ!?それに、そんな格好で過ごしていたら、絶対に風邪をひくって!
とりあえず、外に居る騎士さんに連絡して服を準備して貰う事にした。
同じように他の部屋の確認をしているヒトも、この屋敷に居るヒト達の異常な状況に怒っているみたい。
でも、同じようにこの屋敷にいるヒトの中でも、取り分け「男のヒト」の扱いが雑で年齢が上がるほど酷いみたい。
何部屋か確認してようやく角の部屋に着いた。
前までと同じようにドアの鍵をチョイチョイってゴニョゴニョして鍵を開けて中を確認したんだけど、この部屋は少し難しかった!
扉を開けたら、他の部屋と違って続きの部屋に寝室があるみたいだったから、誰かの部屋なのかな?って思いながら奥の部屋にはいったんだけど・・・。
悪趣味ってこういった事を言うのかも。
ココに居たのは可愛い女の子3人だったんだけど、ソレは服じゃないよね?さっきのネグリジェ(?)の方が布面積があったよ!?
風邪ひくからちゃんとした寝間着を着ようね!?
「とりあえず着替えよっか?」そう促したあたしは偉いと思う。
ココには着替えの服があったから着替えて貰ったけれど、あたしにああいった服に対する興味が無いから何とも言えないんだけど・・・。
趣味の悪い服しかなくて「どうしてなの!?」って心から思っちゃったよ!!
とりあえず、あたし達はこの場所に居たヒト達を確認する為に、2階のホールに皆を誘導したんだ。
歩けないくらい衰弱している男の子や、怪我をしている男のヒトが居たけれど、力仕事が得意な冒険者が集まっているからそこまで時間はかからないでホールに着いた。
そこにはヒトがたくさんいて、階下からはまだ怒号が響いている。階段は騎士さん達が守っているから大丈夫だと思う。・・・騎獣も居るしね。
「お兄さま!」
あたしと一緒に来ていた女の子がそう言って走り出した。
女の子の向かった先には救護の騎士隊員がいて、怪我しているヒト達を治療をしていた。
「それにしても・・・。」
この2階ホールには子供から大人までたくさんのヒトがいて、みんな「何が起きたのか分からない」と言った感じで呆然としている。思わずあたしの手を握っている女の子を見たら「もう、いいの?」と言われて、意味が分からなくて首を傾げたら女の子が「おうちに帰りたいの・・・。」と言って泣き始めちゃった。
「不安は伝染する」ってあたしの友達が言ってた。
周りに居たヒト達も不安がっちゃって、ザワザワして来た。
騎士の皆も「これ以上ココに留まるのは危険」って判断したのか、凍っているホールの窓を割って(!!)ココに居るヒト達を外に繋がる階段から出るように誘導していったんだ。
あの、キラキラしたヒト上級魔法使いだ!「氷」の魔法なんて初めて見た!
その「魔法」を見て、大人達は大人しくなっちゃった。大きな窓だけじゃなく、壁も凍っているから怖いよね。氷漬けにされたら大変だもん。さっ。後ろがつっかえているから、怪我人以外はサッサと足を動かす!それにしても、この大きさの窓は一体いくらするんだろうね?値段も気になるよ!
その後は本当に一気にいろんな事があった。
出入り口は、この騒ぎに乗じて屋敷を出ようとしたヒト達で溢れてて凄い事になってた!
この屋敷の持ち主家族が騎士達によって生家に「護送」されたみたいだけど、そのヒトの家族達は迎え入れてくれるのかな?
この屋敷に居た使用人達は、程度の差はあるけれど1度収容されてから「審査」されて刑罰が決まるみたい。
あたしが振り返って見た(かつては)綺麗だったお屋敷は結構「悲惨」な状態になっていた。
外に出た事によって、このお屋敷に居たこのヒト達は少しずつ状況が分かって来たんだと思う。
騎士さん達によって保護された後は、騎士団に戻って聞き取りがあるって聞いたから、それが終わったら帰れるヒトもいるんじゃないかなぁ?
あたし達が解放したヒト達が全員では無いけれど、さっきまでの不安そうな顔から安堵した様子になっていった。
周りの大人が落ち着けば、子供も安心するんだろうね。
あたしの両手をそれぞれ掴んでいる女の子も、あの生気の無かった子供達もどこかソワソワしているんだもん。
「ふわ~~!!」
あの後、騎士団に戻るのに怪我をしていたり衰弱していたヒトを運んで来たんだけど、騎士団に帰ってきたら結構良い時間になっていて、騎士さん達は希望者に食事の提供もしてくれたの!さすが、お城で雇われている料理人の作るご飯は一味違う!思わず「うま~~!」って言っちゃったもん。
「お代わりはご自由にどうぞ」って言われたから、頑張って食べたよ!
帰りは緊張が解けたせいか、あくびを連発をしているあたしにホープが苦笑いしてる。
それにしても眠い~~!お腹がいっぱいになったから、眠くて仕方が無い!
ララも眠そうにしているから、ツッコミが来ないのね。
「ルゥちゃん!?」
あれ?眠た過ぎて、あの子の声が聞こえる・・・。
「ルゥちゃんもララちゃんも、ホープ君もどうしたのですか?ここは、騎士団ですよ!?」
「・・・ねぇ、ルゥ。幻聴が聞こえるわ。」
ララがそう言って来た。やっぱり幻聴だよね!
「ララにも聞こえるんだ。・・・よかった~・・・。」
あたしもそう返して「あれ?」って思った。ララも不思議そうにあたしを見てくる。
「あぁ・・、すみませんフィーナさん。お2人とも半分寝ているのでって痛っ!!」
ホープが後ろに居る「誰か」と話しているのを聞いて思いっきり振り返った。
・・・ごめんホープ。あたしの肘が当たったのは偶然だよ?
「フィーナちゃん!」
そこに居たのは、あたしの友達。フィーナちゃんだった。
「お久しぶりです!みなさん、ココは騎士団ですよ?どうしたのですか?何かあったのですか?」
そう言って首を傾げているあたしの友達は、やっぱり可愛い。
隣に居るララやホープもそれには賛同してくれると思うの。
「ちょっと用事があってココに居たんだけど、今帰る所なんだよ。」
あたしがそう言うと
「そうなのですね。何かあったのかな?と思ったのですが、お元気そうで良かったです。」
フィーナちゃんはふわふわしているからあたしの「癒し」だったのに、結婚して帝都に行っちゃったから会いに来たんだけど・・・。
フラフラとフィーナちゃんに近付いて行く様は「危ないヒト」扱いだったのかな。
「めーーーーーーーっ!!!」
おおっと!何だろう?そう思って声のした方、目線を下に下げたら幼児が居た。
何この子!可愛い!
ララもホープもその子を見ていた。
「ソールさん、みなさんは私のお友達なんですよ?」
フィーナちゃんのその言葉に、その子は「ともだち?」と言ってあたしを見て「ちがうよ?」って続けていた・・・。
「えぇっ!?そうなのですか!」
フィーナちゃんはそう言って驚いているけど、否定して!あたし達は「友達」だよね?
「あいっ。」
その子はシッカリと頷いている。
軽くショックを受けているあたしが居るんだけど・・・。
「ふふふっ。ごめんなさい、ソールさんは初対面のみんなを警戒しているようです。ソールさんは、少し人見知りなんです。」
そう言って幼児にあたし達を紹介しているその姿は・・・。
「フィーナ、何だか『お母さん』みたいね?」
あたしが思った事をララも思ったみたいでそう言っていた。
「あっ、そうなんです。今はアスラさん・・・、私の旦那様とソールさんの3人で暮らしているんですよ。」
・・・なんですって!
「あっ、ソールさんはアスラさんの『養子』なんです。」
フィーナちゃんはあたし達が言おうとした事が分かったのかそう続けてきた。
「そう言えば、帰る所を引き留めてしまいました。お詫びに、良かったらどうぞ。」
そう言って渡されたのは、焼き菓子!
フィーナちゃんの作る焼き菓子は絶品なんだよ~。
フィーナちゃんと思い掛けない所で再会したから機嫌良く宿に戻ったんだけど、そこであたし達を待っていたのは「労い」では無くて、(飲み過ぎて)「屍」となっていた旅団のみんなだった・・・。
あたし達は無言で頷き合ってフィーナちゃんに「皆さんで食べて下さい」って貰った焼き菓子を3等分で分けた。
余った分は「ジジッタさんにあげよう」って満場一致で決まったから、焼き菓子は個人の荷物にシッカリとしまったんだ。
眠る前にみんなを近くにあるベットに放り込んだんだけど、あたし達が起きた後もみんなはベットから動けなくて、お世話をしていたら新緑祭は終わってた。
・・・あれ?あたし達、何しに帝都に来ていたんだっけ?
そんな事を思いながら商業都市に帰って来たんだけど・・・。
「・・・それで、これか。」
帰ってすぐにジジッタさんに呼ばれたから帝都での事を説明したんだけど、頭を抱えて項垂れているんだよね。ジジッタさんの手には帝国騎士団の封蝋がされている手紙が握られている。いや~。騎士と連携する依頼を受けるなんて、滅多に無いもんね。
・・・そう、その手紙には「報酬」の金額が書いてあったんだけど、驚いた!「金貨」よりも上の「大金貨」での支払いだった事と、支払いが既にされていた事に「さすが騎士、仕事が早いわ~」何て思っちゃった。
お茶受けは、もちろんフィーナちゃんに貰った焼き菓子だよ!
・・・あれ?そう言えば、結局フィーナちゃんのお家の場所聞いてないよ~!
妹ちゃーーーーん!
21話目の最後に出ていた冒険者さんのお話でした。
「商業都市に帰って来るのが待てないから、帝都に会いに来ちゃったよ!」って言うお話・・・のハズ。




