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2 はじまりの2ページ目






・・・よし。お昼はお母さんに任せて、今日の夜はモリモリ食べれる野菜の肉巻きにしましょう!



皆さん、こんにちは。もしかしたら「おはよう」「こんばんは」のどれかかも知れませんが、絶賛現実逃避中のフィーネリオンです。




騎士さまから渡された令状は、読んだ後にそっと封筒に戻してみたのですが、どうやったら封筒の中身である令状を見る前の時間に戻れるのか切実に教えて欲しいです。こんな時こそ、唸れ!私の前世の記憶!



・・・


・・・・・




時間逆行には、学習机が欲しいようです。



分かってはいましたが、そんな物は作れる気がしません。それに、前世の私も見ていただけでしたからね。多分、本気で作っちゃダメな物なんだと思います。



うんうん唸りながら、色々考えていたのですが・・・




「内容は、確認していただけましたか?」



現実逃避していたので、不意にかけられた言葉に接客中だった事を思い出しましたよ。おぉっと!そうでした。イケメンさんは声までイケメンでしたよ。



内容自体は3回くらい読み反したので、読むだけだったら問題ありません。


問題は2枚目に書いてあった内容でした。



[ なお、この令状を受け取る者は、

  

・ 如何なる例外が起きようと、迎えの者と共に速やかに帝都へ向かう事とする。

・ 帝都にて皇帝ジークニィルとの接見が行われるので、その際に陳情を行う事とする。

  

  ただし身内に不幸があり、喪に服していると迎えの者が判断した場合、領主または領主に準ずる者の許可書を得た上で登城の時期を延ばす事を認める。

  許可書を発行した者は、迎えの者の滞在できる場所の確保と発行した許可書を速やかに城へ送る事を命ず。


  それ以外、本人不在の場合は一家の家長、及びそれに準ずる者が登城する事を命じる。


                     帝国宰相 メルリード=ディル=フォン   ]




この文面を見て「なんて上から目線!オレ様か!」何て思ってしまったのは、やっぱり秘密です。



最初の所は、まぁ仕方がないと思いますが・・・


2番目なんて、皇帝陛下様に「精霊様のお守りなんてしたくないんですけれど?」って直接言えってことでしょうし、1番最後の所なんて、ある意味死刑宣告並みにキツイ内容ですよ!つまり、「皇帝さまが呼んでいるのに居ないなんて、どうなってるんだ?おい、お前家族だろう?説明しろよ?」って事でしょう?



ゆっくりと息を吐いて正面に座る騎士さまを見ると、書いてある内容を知っているのか困ったような表情でこちらを見ていました。



「内容は確認いたしましたが、内容が内容ですので一度父に相談しようと思うのですが、よろしいですか?」


私の口から出てくる言葉は、きっと予想通りだったのでしょう。



「先ほど、父君には別の令状を渡したので、大丈夫だとは思うのですが・・・。」



まさか、そんな先手を打たれているとは・・・!


さすがオレ様の参謀。既に裏(お父さん)にも手を回していただなんて、準備が良すぎます・・・!



「この商業都市から帝都まででしたら、出発が少し伸びても問題はありません。ですので、良かったらフィーネリオン嬢と父君とで一度話をしてみてください。明日また来ますので、その時に返事を頂きたいと思います。」



「・・・・え?」

心の中でお顔も見た事のない高貴な方達を上手に褒めていたので、続いた言葉に思わず声が出てしまいました。



「滞在先なのですが・・・、実は東区には初めて来たので、どこか良い宿泊所を知っていたら教えて欲しいのですが・・・。」



綺麗なお顔で困ったように言ってきた内容にビックリしてしまいましたが、それよりも・・・。



「良いのですか?宰相閣下の令状には[速やかに帝都へ向かえ]とかいてありますよ?のんびりして本当に大丈夫なのですか!?」


ビックリして少し大きめの声が出てしまいました。自分もビックリ!



「その事ですか。そちらでしたら大丈夫ですよ。ここよりもずっと遠くの東の町や北の方に行った方達と違って、ここ商業都市でしたら定期運行している馬車で帝都に向かっても3日で付きます。なので、少し出発が遅れても大丈夫ですよ。安心してください。」

目の前の騎士さまは先ほどお出しした紅茶を、隣に座っている幼児さんに渡しながら答えてくれました。



騎士さまの心遣いに感動したいのですが・・・。




なんて事でしょう、自分以外にも、この(悪魔のような)令状を受け取る人が居ただなんて・・・。私が驚きの言葉に衝撃を受けたのと同時に、幼児さんが一口飲んで騎士さまにカップを戻しました。もしかしたら、苦かったのでしょうか?



「申し訳ありません。紅茶が少し苦いのかもしれませんので、こちらのミルクと砂糖を入れてみてはどうでしょう?」

と思って声をかけたのです。騎士さまは「お気遣いありがとうございます」と言って紅茶に砂糖とミルクを入れます。幼児さんも今度は美味しそうに紅茶を飲んでくれました。




「『あしゅらいーる』のことはきらい?でしか?」

「・・・っごふ!」

・・・あれ?何だかが幼児さんから不思議な言葉を掛けられましたよ?その内容が斜め上のお言葉過ぎて、正面で咽ている騎士さまに手巾を渡すのが遅れてしまいました。すみません。



「・・・ありがとうございます。

 ソール、あまり変な事は言わないでくれ。フィーネリオン嬢が困ってしまうだろう?」

騎士さまは手巾を受け取って手を拭きながら、隣の幼児さんの言った事を注意しています。



「だって、『あしゅらいーる』のことを『しゅき』になったら、いっしょにきてくれるって『すおん』がいっていたでし・・・。」

しょんぼりと言葉を発した幼児さんは、「ソール」さんと言うのですね。今のしょんぼりしている姿が可愛らし過ぎて、なぜ今ここに「カメラ」が無いのかを抗議したいくらいです・・・。



脳内保存にも限度があるのですよ!



(前世でも見た事ありませんが)いまだ見ぬカメラの開発者(予定)にひっそりと心の中で憤っていた私と「スウォン・・・。アイツ、なんて事を教えてくれたんだ・・・!」現実に向き合える人物に憤っていた騎士さまは気付いていなかったのです。




今も昔も、旅立ちには大きな「障害」が付いているという事に・・・。



その人物が、まさか身近にいたなんて・・・。











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