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30 どきどきの・・・ 3ページ目







ドキドキしながらアスラさんとソールさんと一緒に、ご近所さんにあいさつに向かいます。




両隣りのお家の方やお向さんに布巾セットを配ってみたら、皆さん喜んでくれたのでホッとしました。


どうやら、帝都でも昔はこうした「あいさつ回り」が普通だった様なのですが、最近はあまりこういった事をしない人が増えてきたようです。


私の前世でも単身の引越しの時にあいさつをしない人が多かったような気がします。

確かに、女の人が1人暮らしをしていたら周りにそれを知られたくない人もいますし、防犯を兼ねて「やらない方が良い」と言われる場合もありますからね。

転勤族の人も1年居るか居ないかの場合は、家族での移動でなければあいさつは面倒くさいですよね。



家の裏側のお家の人も「いまどき珍しいなぁ。」何て言っていましたから、帝都での「粗品配り」はやっぱり珍しかったのかもしれません。



皆さんアスラさんに抱えられて眠っているソールさんを「可愛いお子さんですね」と言います。そうでしょう!大人しく眠っているソールさんは可愛らし過ぎて仕方がありません。

どうやら皆さんはアスラさんが男手一つで子供を育てていると思っていたようです。アスラさんが「再婚ではありませんよ。」と言ったら「奥さんが来てくれて良かったな!」と言われていました。


・・・ソールさんはアスラさんの「養子」という扱いになっているようですが、精霊さまに対する扱いとしてはどうなのでしょう?問題ないのでしょうか?






・・・そうそう、残念な事にこちらの世界に「カメラ」はありませんでした。

義両親に魔道具屋さんに連れて行って貰った時に確認したのですが、店員さんも「どういった原理でそうなるのですか?」と逆に説明を求められてしまったのです。

その原理を必死に思い出したのですが、取りあえずパーツの材料確保からしないといけない様です。



その時に通信用の魔道具を買って貰ったのですが、私はその値段を見なかった事にしますよ。


何かあった時にスグに使えるようにって「腕輪の装飾品」タイプの通信機でしたが、お貴族さまの買い物はコワイ!って心底思いました。私がビックリするお値段でしたよ。


腕輪にチェーンタイプで付ける物を選んで頂いたのですが、これがまた高級品です。

通信をしたい人との魔石をそのチェーンに付けておけば、相手と対の魔石に魔力を込めるだけでお話ができます。魔力は掛かりますが、複数の魔石に魔力を込めるとその相手全員とお話ができるようになります。「携帯電話」「スマホ」扱いで良いのでしょうか?それとも、トランシーバー?


我が家にも通信機はありましたが、お家に固定で置くタイプだったので「固定電話」扱いで良いのかな?と思います。


そう言われてみれば、アスラさんの腕輪にも同じように魔石が付いていました。


後で、馬車に乗っていた時にお家に居たご両親と連絡が出来たのでは?と聞いたら「馬車が動いている時はお互いの位置が定まらないので、相手に繋がりにくいのです。」と言われました。停車中なども魔獣や魔物対策の魔力感知の魔道具が作動しているから通信が制限されるようです。

アスラさんは最初から帝都に付いたら「いつも通り」ご実家に帰る予定だったので、商業都市から出発する時に「これから帰ります。」の連絡もしなかったそうです。



・・・さすがアスラさんです。お義母さんが怒るのも分かる気がします。



「とりあえず、どちらかに向かう時とお家へ帰る時の連絡は出発前にしましょう?」

と私が言うとアスラさんは「善処します。」と返事をしてくれました。


でも、アスラさんのご実家に滞在していた時は、朝は「行ってらっしゃい」と私達が見送るのでアスラさんは「行ってきます」とお屋敷を出ます。

お仕事から帰ってくる時も「今から帰ります」の連絡を頂いていましたから、アスラさんは「やればできる子」だと私は信じています。



今、私の腕輪には「アスラさん」「お義父さん」「お義母さん」「スターリング候」の4個の魔石が付いています。スターリング候からは何故か魔石を頂けました。アスラさんも「まぁ、一応後見人ですから。」と言っていますが、私から連絡する事は無いと思われますよ?


お家の通信機用に魔石を購入したので、今度お母さんに送ろうと思います。






「1度、家に荷物を置いてから商店街に行ったほうが良さそうですね。」

アスラさんが私を見てそう言います。


「そうですね。ふふっ。たくさん頂いてしまいました。」

何軒かのお家から「引っ越したばかりなら、家で作った野菜を持って行って!」とたくさんの野菜を頂いたので、私が持っているバスケットは野菜でいっぱいです。









「アスラさん。少し気になっていたのですが、この入口門の横にある建物?は何でしょう?」


お家の敷地の入り口を入ってすぐ横に用途不明の建造物があります。

少し離れた別の場所にある小屋は、外で作業する時に使う日曜大工や園芸などの用具を入れる所でした。

こちらの建物(?)は囲いと屋根があるだけなので、入口にこういったスペースを見た事が無い私は「???」状態です。朝からずっと気になっていたのですが、アスラさんも業者さんもご近所さんも気にならないのかお家の一部に組み込まれているみたいです。


「フィーナは、どういった場所だと思いますか?」

アスラさんは私に聞いてきます。



「むむっ!質問に質問で返すのは反則ですよ!・・・でも、そうですねぇ。洗濯物を干したりする場所でしょうか?それとも、何かの作業をする時に使う場所ですかね?」

アスラさんのまさかの返しに驚きましたが、考えてみれば「普通の」一戸建てのお家は前世込みで初めてです。前世の私はマンション暮らしだったので今回、私の実家が店舗付きとは言え一戸建ての建物と言う事に感動したものです。



「すみません。・・・ですが、そうですね。それも良いかもしれませんね。」

私の答えにアスラさんは相槌をうってくれます。



・・・?

特に決まっていなかったのですか?




「・・・・ところで、フィーナは動物は好きですか?」

聞き辛そうにアスラさんが私に聞いてきます。



・・・唐突に話題が変わりましたよ?アスラさん・・・。



「動物ですか?私の家では生き物を飼う事が出来ませんでしたが、動物は好きですよ。」

もふもふした動物であれば結構いけると思うのです。アスラさんならば「チムリスを飼っても良いですよ」って言ってくれそうな予感がします。どうでしょうか?


「・・・そうですね、カリャンとかはどうでしょう?大丈夫そうですか?」

アスラさんは具体的に動物の種類を言っていますが、何かあるのでしょうか?


「ええっと、カリャンですか?友達の家にいた子ぐらいしか分かりませんが、私は大丈夫ですよ?」

・・・!もしかしたら、どなたからか譲って貰えるのでしょうか?そうなると、チムリス専用のケージが必要になりますね。




「・・・・大きいのは、大丈夫ですか?」

アスラさんはとても言い辛そうに私に聞いてきます。


「・・・?大きいのですか?大人のカリャンですか?大丈夫ですよ?」

何てことでしょう!大きく育ったカリャンはどなたの所にも迎えられず、ずっと残っていたのでしょうか?そうですよね、どのお家も家族の一員として迎えるならば小さい生後1年くらいの子カリャンを好みますからね。


小さい時からモフモフの居る生活に憧れていた私に言わせてもらえば、何て残酷な現実なのでしょう!

・・・少し涙が出てきそうです。




「・・・いえ、そういった大きさでは無くてですね・・・。

こう、この場所に入るくらいの大きさなのです。」


アスラさんはその建物を見て言ってきますが、その建物にだったらたくさん入れますよね?

もふもふパラダイスですよ?




「・・・騎獣なので、このスペースが必要なのです。」

アスラさんは少し躊躇ったように言って来ます。




ほうほう、「きじゅう」ですか。変わったお名前ですね。



・・・



・・・・



「って!まさか『騎獣』ですか!?」


「えぇ・・。女性はあまり騎獣を好かないと聞きます。騎士団の獣舎に預ける事も出来ますから、この場所はフィーナが好きに使ってください。」


驚きにアスラさんを見ます。私の反応を見ていたアスラさんは「やっぱり気付いていませんでしたね。」と言って少し楽しそうです。


「その話の切り出しと説明では、私には理解できませんよ!」

と反論してみましたが、アスラさんは「そのようですね。」と私を見て困ったように言います。



・・・悔しい!何だか「気付かない私の方が悪い」みたいな感じになっていますよ!



・・・そう言えば、アスラさんは「騎獣での遠乗りが趣味」って言っていたような気がします。



「その子は噛んだり引っ掻いたりするのですか?」

私が確認するようにアスラさんに聞きます。


「いえ、私が命じなければ人に跳びかかる事はありません。基本的には大きなカリャンだと思って貰えれば大丈夫です。」

アスラさんは私にそう返してくれます。



「・・・もしかして、以前はココに居たのではないですか?それならば、その子もココがお家だと思っていますよ。せっかく綺麗にして貰ったのですから、お家に連れて来ても良いと思います。私なら大丈夫です!

問題ありません。一緒に暮らせますよ!」



もふもふ!


もふもふパラダイス!


私のもふもふ生活が見えてきましたよ!後は、アスラさんに私のチムリスを飼っても良いか聞かないといけませんね!




「フィーナは騎獣が一緒の敷地に居ても大丈夫ですか?」

アスラさんは心配そうに聞いてきます。


「アスラさんは心配しすぎですよ?まだ一緒に暮らしていないから分かりませんが、お家の門から不審者が覗いて真っ先に騎獣が見えたら驚いて帰って行きそうじゃないですか?」

私の言葉はアスラさんには意外だったのでしょう。


ココのお庭で日向ぼっこをしている大きいカリャンは「可愛い」要素しかありませんが、仮にも騎獣ですからね。防犯の意味合いではある意味最強だと思うのです。




「・・・明日、帰ってくる時に連れて来てみます。ですが、無理そうでしたら騎士団に預けられますから無理はしないで下さいね。」


そう言ってアスラさんは「そろそろ陽が落ちてくる時間ですから、商店街の方に行きましょう。」と言ってバスケットの中に入っている野菜を置きにお家に入って行きました。


・・・「ルシェ」は何となく「騎獣」って分かっていましたが、騎獣はただ大きいだけで「カリャン」「フェンダ」と呼び方が変わるわけではないのですね。

だから、「騎獣」で一括りなのですね。



・・・・もしかしたら、大きいチムリスもいるのでしょうか?


後で聞いてみましょう。














・・・実は、個人宅に置くタイプの通信機も結構いいお値段がします。


フィーネリオンのお家が商家なので「当たり前」の様に置いてありますが、同じ商家でも置いていない所はたくさんあります。

そういった場合、通信機を使いたい人は公衆電話扱いで魔石とお金を持って「通信機貸して下さい」とお店にきます。



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