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はじめまして。初投稿となります。
完結目指して頑張ります!
みなさん、はじめまして。フィーネリオンです。
私の家は商業都市の東区にある、日用品から少し特殊なアイテムを扱う雑貨屋なのです。
今日もいつも通りの朝が来て、いつも通りに家族の朝食が終わりました。そして、「今日の昼食は何にしましょうかね」何て思いながらお母さんと今日1日の予定を確認していたのです。
そんな時に店舗の方から(店舗と住居は扉で区切られているのです)、私にお客さんが来たって従業員のファニーが興奮気味に走って伝えに来ました。
最初は何事かと思ったのですが、店舗ブースに行ってその「お客さん」を見て私もビックリしましたよ。
扉をくぐったその先には、フード付きの外套を着ていますが、何と帝国騎士団の騎士さまがいらっしゃったのです。
・・・不思議なのは、傍らに可愛らしい幼児が居た事でしょうか?
取りあえず、お話を聞こうと2階にある小応接間に案内したのですが、途中すれ違った従業員にお客様用のお飲み物を頼みながら内心ビクビクしていたのは秘密です。その間の従業員や家族、来ていたお客さんの視線が本当に突き刺さるかと思いました。
・・・私、何かしましたかね・・・?
帝都に騎士団の本部があるのですが、騎士さまも休暇の時に商業都市まで足を延ばす事があると聞いた事があります。でも、そんな時は私服だったりラフな格好でいらっしゃるようなのですが・・・。チラッと確認した騎士様は、とても立派な「騎士服」を着ています。今回「お客様」である騎士様が騎士服での来店ですので、お店に来ていた皆さんには「何かあったのか?」とガッツリと関心を持って頂けたみたいです。
私の住んでいる商業都市は、帝国と言って大陸の南側に位置する剣王様の建国した国なんです。
帝都からは馬車で3日、単騎であれば朝の開門の時に出立すればその日の夕方の閉門までに間に合うみたいですが、私はこの商業都市から出た事が無いので良く分かりません。
私のおじいさんの時代に北の獣人さん達の共和国と戦争がありました。最終的には東の神聖国の仲裁によって停戦となったのですが、今でも北の共和国との国境沿いにある辺境伯領は騎士団による駐留警備が行われています。
この国には帝国騎士団の他に、兵士団と言うのがあります。兵士団はお給料もそこそこで誰でも入る事が出来るので家を継げない次男や三男と言った人たちが入団しているみたいです。ここ商業都市では家が何かしらの商売をしている人が多いので、他の地域から赴任(?)してくる人も多いのです。
兵士団は、主に都市や町、村などの治安を守るために設立されています。身近に治安維持をしているので、小さな男の子の憧れの的です。
その反対なのが、騎士団です。騎士学校を卒業すると騎士に叙任されるのですが、騎士学校に入学して卒業するまでに大半の生徒が脱落して退学していくので、騎士になるのは本当に一握りになるんだそうです。なので、騎士になるという事は本当に凄い事なのですよ!
騎士さまの中には、年若い少女から大人の女性までファンが付く方もいるみたいです。(・・・アイドルか!)
日本だったら、プロとアマチュアくらいの差があるみたいなのです。
まぁ、それ以外にも冒険者といった人たちがいるので、この世界は本当にファンタジーな世界なのです。
・・・今回は冒険者についての、説明を省きますね。
私のいる商業都市はどちらかと言うと帝都に近いのですが、騎士さま周辺の事は良く分かりません。今でも騎士団の異動がある時期くらいしか接点は無いのです。
さっきもチラッと言葉にしましたが、辺境伯領への騎士団駐留交代時期になると物資調達をする為、この商業都市を通って辺境伯領に向かうようになります。帰りもここを通って家族や恋人にお土産を買って帝都に向かうので、その時期になると朝から晩までチムリスの様に動かなければいけないので大変です。
チムリスはハムスターみたいな姿であまり大きくなくて、鳴かないので良くペットとして飼われているのです。とってもかわいいのですよ。お父さん、チムリス買ってくれないかなぁ・・・。
カリャンは猫に似ているのですが、尻尾が2つにわかれているのです。猫又みたい。
フェンダは犬に似ていて、人にとても従順です。賢いので、地区の警備をする兵士の所にたくさんいます。
・・・・不思議に思いませんか?
ここは、「地球」と呼ばれる惑星ではありません。
「日本」と呼ばれる国も、ありません。
それでも、私の記憶の中には「地球」と呼ばれる惑星も「日本」と呼ばれる国も存在しているのです。
最初にその事に気がついたのは、5歳の生誕祭の日でした。私のいる商業都市では、生まれた年の1年後から数えて5年目になるとその年に生まれた子供が領主さまのお屋敷(お城みたいだった!)に集められてお祝いをします。個人的に誕生日を祝う家庭もあるみたいですが、大抵は1年に1度の生誕祭の日にみんながお祝いをする様になっています。
その時に魔力測定(!)があってその結果で学園に行くか、魔術師の塔(!)に行くかを決めるそうです。
余程の事がなければ、みんな何かしらの魔力属性があるみたいなのでワクワクしながら測定の順番を待っていたのです。
その時、噂になったのが領主さまのご令嬢でした。
その前の年に令息であるお兄さんが3種類の魔力を確認されていたのに、妹である令嬢は5種類の反応が出たのです。これには領主さま夫婦も鑑定の役人さんもビックリして生誕祭のお祝いの雰囲気ではなくなってしまったので、私たちの測定は違う日に行われたのです。
その時に「あれ?何かゲームみたい」って何気なく思ったのが、この記憶との付き合いの始まりです。
ちなみに、後日測った私の魔力測定結果は「火」と「風」2種類の属性でした。下位属性2種類だったけど、お父さんもお母さんも喜んでくれたので私的には嬉しかったです。
魔力属性は、火・水・風・土の4種類が下位属性。炎・氷・雷の3種類が上位属性となります。特殊なのは、闇・光の2種類。闇と光は他の国でも珍しいみたいです。
その後、領主さまの娘であるラヴィアーネ様は、特殊属性「闇」上位属性「氷」含む5種類の属性保持者と言う事で帝都の中央学園で学びながら魔術師の塔で魔力の訓練をする様になったと聞きました。
その後は大きな事件もなくのんびりした毎日を過ごしていたのですが、私が13歳の時に帝国からの伝令書が各都市に配られ、そこから町や村へと皇帝様のお触れが騎士によって配られていったのです。
その時は「学生だった」と言う事と、周りにいる皆がどちらかと言うと商人寄りの考え方をしているので(商業都市と言われるくらいなので・・・)その時はそのお触れについて気にしていなかったのです。
商業都市以外では、その伝令によって様々な思惑を持った人たちが帝都に向かっていただなんて、考えもしませんでした。
確かに後から思えば「あの時は主要道路を通る馬車やヒトの量が多かった・・・、ような気もしますよ?」といった感じの思い出しかなかったのです。あの年はお手伝いをたくさんした記憶もありますが、それよりも「臨時収入がたくさんあった」と言う思い出の方が強いかも知れません。懐も暖かかったから、妹や弟にお菓子を作ったりしたっけ。懐かしいなぁ。
17歳になった今、お父さんの目を盗んでお母さんと一緒に「そろそろ結婚相手でも探そうかしらねぇ」何て話しをしていたのです。
今日ものんびりと「お昼は何にしようかなぁ」何て考えていたのに、突然の来訪者によってそんな日常が変わってしまうなんて考えもしませんでした・・・。
お店の開店と同時に現れた変わったお客様から渡された、高級な紙を使った封筒に帝国の封蝋が捺してある1通の令状を「見なかった事に出来ないかなぁ・・・」なんてソッと思いながら、雑貨を扱う商店である我がミュー商店のお客さんには似つかわしくない綺麗な顔のイケメンな騎士様と、小さな可愛らしい幼児と言う何とも言えない2人組から渡された(おそらく前世の私だったら触りなれていた)上質の紙でできた令状によって、私の平穏な日常が変わっていくのでした・・・。
〔 ミュー商店店主ラルフの娘フィーネリオンに帝国騎士アスライールと共に精霊の成長の手助けをする事を命ずる
帝国皇帝 ジークニィル=ランス=カイゼルラント 〕
そろそろ結婚相手でも探そうと思っていたのに、どうしてこうなった!