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第7話 エルフの少女

今回は戦闘シーンが入るので少しグタグタになってるかも知れません

「よっと、あれ?足が痛くない」

「ジャンプのスキルは、使用中足腰も強化してくれるみたいだね」


ジャンプのスキルで高低差を飛び越えて、着地したのはいいが、着地した時の事を考えて無かったので助かった。

一応スキルを発動しておいて正解だったな。

それにしてもクラル、見ただけで分かるって凄いな。

尚、この集落に来るまでの移動中の戦闘で知ったんだがクラルは剣の中でも会話出来るらしい。

剣の中から周りを確認出来ると聞いた時から出来るのかなと考えてたが、会話が出来るのは有難い。

戦闘中のアドバイスは重要だからな。


「シュウジ!あそこ、エルフの女の子と亜人の赤ちゃんが魔物に襲われそうになってる!」


クラルが指差した(様なイメージが頭に入ってきた)方向を見てみると、確かに見た目12歳程度の明るい青髪で耳が尖った少女がライオンか何かの亜人らしき赤ん坊を背に庇って戦っているっぽい。だが、魔物が群がっており今まさにゴブリンらしき奴に殴られそうになっている。


「このままじゃ間に合ってくれ!ニードルシールド!」


俺はその少女の前にニードルシールドを出現させる。

少女を殴ろうとしたゴブリンは棘の付いた盾を勢い良く殴り、かなり痛そうにしている。

他の魔物達も突然現れた盾を警戒して、少女から一旦距離を取った。

ニードルシールドは結構なひびが入ったので消してしまったけどな。

その隙を突いて少女の近くに駆け寄る。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。貴方は誰ですか?」

「俺は修司、大塚 修司だ」

「ここは危ないからそこの赤ちゃんと一緒に早く逃げて」

「剣が喋った!もしかして噂になってる勇者様!?」


やっぱり噂になってるのか。

もう3日も立っているし、国中に回ってる事を覚悟しないとな。

さて、ここは安心して逃す為に正攻法で行こう。


「まあそんな所だ。魔物も今は警戒してるけど、すぐ襲って来るだろうしそこの赤ん坊を連れて逃げるんだ!」

「嫌です!」

「な、なんで!」


この状況で逃げないってどうかしてるぞ。

死にたいのか!?


「少しでも多くの人に逃げて欲しいから私も戦う!」


今彼女の目には決意が篭っている。

父親との約束は硬いんだろうな。

因みに、俺は一人ではないんだが。

まあ実質戦えるのは1人か。


「でもその亜人の赤ん坊はどうするんだ?」

「守りながら戦います!」


そっちの方が危険だろうと思うが、この状況で言っても聞かないだろうな。

赤ん坊も状況が分からないからか表情が笑顔だ。

赤ん坊の癖に凄く肝が据わってるな。


「仕方ない。クラル、剣から出てタイミングを見て赤ん坊を避難させくれ」

「大丈夫なのシュウジ?」

「全力じゃあ無くともなんとかするさ。赤ん坊を戦闘に巻き込むよりはマシだと思うしな」

「了解、無茶はよしてよね」


クラルが剣から出てきて赤ちゃんを抱き抱える。


「この人が、勇者の武器の精霊さんなのかな?」

「ああ、クラルって言うんだ。そう言えば君、名前は?」

「私はリフェル=アラトニスです」

「じゃあ取り敢えずだがよろしくな、リフェル」


リフェルにパーティ申請を送ると直ぐに認証してくれた。

パーティを組むと組んだ相手のステータスなどを見る事が出来るらしい。

便利だなこうゆうの。

情報コマンドじゃ魔物やアイテムの事は分かるけど人間とかは情報が出て来ないんだよな。

やはりリフェルはエルフらしく、LV8だが俺よりも最大MPが高い(他の項目も多少抜かれてるのもあるがMPが一番目立って高い)。

しかし残りMPが0に近いぞ!

武器も防具だがも持ってないし、魔法なる物を使って戦ってたんだろうか?


「パーティに入れたが君も無茶は絶対しないでくれよ」

「わ、分かりました」


さて、こうなった事だし、使って無いショートブレードを渡すか。

後はこの前買った回復薬類の中にMPポーションなる物があった気がする。

確か固定回復のと割合回復ってのがあったな。

なお、ポーションにはMP回復の他にHPやSPの回復が出来る物をを所持している(SPの物は他の二つよりも高めだった)。


「そう言えば装備を持ってない様だし、取り敢えずこれを使ってくれ。後これもな」


ディメンションバッグからショートブレードと、割合回復のMPポーションの入った瓶数本を取り出しリフェルに渡す。


「剣は使えるか?」

「はい、ありがとうございます。何方も使わせて貰います」


リフェルが渡したMPポーションの瓶を開け、一気に飲んだ。

後、今気が付いたのだがこの辺の地面が濡れている。まぁ気にしても仕方ないか。

そうこうしてる間になんか黒と紫の狼が吠えており、仲間を集めたのか、さっきよりも数が増えている。

下手に襲うより仲間を呼んだ方が得策と考えたのだろうか?

そして数が集まったからか、俺達に向かってきた。


「く、数が増えてるな。来るぞ!クラルは出来るだけ早く赤ちゃんを避難させてくれ」

「此処から北に向かえばここら辺の人が避難している所があるから」

「了解!取り敢えず魔物をお願いね」

「じゃあ私から行きます!」


するとリフェルは左手を前に出して、少しだけ間を空けて叫んだ。


「初級水属性魔法 ウォーターカッター!」


次の瞬間、リフェルの左手から、水の刃が出てきて魔物を切り裂いた。

さっき魔法って言ってたなよな!?やっぱりこの世界には魔法があるのか!

そしてやはりリフェルのMPが少し減っている。

魔法はMPを消費するらしい。


「俺達も行くぞ、エナジースラッシュ!」


スキルでさっきのゴブリンを切り裂いた。

ここにいる魔物はあった事のない魔物ばかりだ。

本当色々な種類がいて、情報コマンドをいちいち見ているが面倒になって来た。

敵の種類は分からないが、スキルを混ぜながら戦って行くしかないか。


「クラルは俺達の後ろに行け。リフェル、クラルを守りながら行くぞ」

「分かりました。取り敢えず状況を整える為に、魔物達から隙を作ります。初級水属性魔法 アクアショット!」


リフェルが左手から勢い良く水を放出して、魔物に当てていく。

倒せてはいないようだが怯んでいるようだ。

この隙にクラルが赤ちゃんを連れて、俺達がカバー出来る範囲で後ろに下がる。

しかし、地面が濡れていたのはこの子がこんな魔法で戦ってたからなんだろうな。

防具や武器無しで良くやったよ本当にさ。


「勇者様、あのエビルウルフは出来るだけ早く対処して下さい。戦いぎ長引くと増援を呼んだり、厄介な攻撃をして来ます」

「確かにそれは面倒だな」


じゃあ一番近いエビルウルフってやつから行くか!

走って近づきエナジースラッシュで斬りつけ倒す。


「GAAAAA」

「おっと、危ないな!」


一体は倒したが、他のエビルウルフが爪で攻撃して来た。

なんとか避けたが、この数はやはり面倒だな。


「ここは私が行きます! 〈私の中に流れし魔力よ。水の力を得て渦を巻き敵を巻き込め!〉 中級水属性魔法 アクアトルネード!」


おお、なんか詠唱らしき物をしてから水で出来た小さな竜巻が近くにいた結構な数の魔物を巻き込む。

ボールでモンスターを捕獲するアニメの宝石と真珠の時期の、水を吐き出すペンギンの技をイメージすると分かりやすい。

しかしこうも便利だと俺も魔法を使いたいな。

初級以外は詠唱が必要そうだけどそれでも便利だ。

なんか連続でダメージが入ってるぽいな。


「さらに行きますよー 〈私の中に流れし魔力よ。水の力を得て敵を貫く槍となれ!〉 中級水属性魔法 ウォーターアロー!」


おー、さっき渦に巻き込まれた魔物達が一ヶ所に集められて、そこに少し太めの水で出来た槍が飛んで行き魔物達を貫いていく。

お、経験値が入った。やっぱりパーティを組むと仲間が倒した魔物の経験値がこっちにも入るんだな。

しかし結構巻き込んだのにまだクラルと赤ちゃんを逃がすには数が多い。

仕方がない。危険だけどあれを使ってみるか。


「すいません勇者様、魔力が減って来たので追加でマジックポーションを下さいませんか?」


色々使いまくってたからな。

追加のポーションをこっちにくる魔物のを蹴ってからリフェルに渡す。


「これでいいか?」

「はい、すいません」


リフェルが瓶を開けて飲んだのを確認してから話しかける。


「なんとかクラル達を逃がす為に大技を出す。30秒程時間を稼げるか?」


リフェルが魔物のと応戦しながら何かを見てるようだ。

多分自分のステータスを確認しているのかな。


「なんかレベルアップがもう上がってます!しかも上昇幅も上がってる!はい、これなら多分出来ます!」


さっきの魔法の二連発で倒した魔物の経験値で勇者の補正もあってかレベルアップしたのだろう。

やっぱりこの世界の人から見たら結構破格なんだろうな。


「じゃあ頼んだぞ!朔望斬り!」


スキルを発動し、力を貯め始める。


「〈私の中に流れし魔力よ。水の力を得て敵陣に雨を降らせよ〉 中級水属性魔法 マジックレイン!」


リフェルが魔法で自分達より前に雨雲を作り雨を降らせる。

でもなんで雨?どうやって魔物の足止めをするんだ?


「さらに 初級水属性魔法 アクアショット!」


ん、今度は魔物に当てるんじゃなくて水を撒いているようだ。

雨が降っているからかレベルが上がったからかは分からないが、さっきよりも水が増えているようにも感じる。


「仕上げです!〈私の中に流れし魔力よ。変化の力を得て水に敵の動きを阻害する力を与えよ!〉中級変質魔法 チェンジイノベーション!」


雨雲が消え、さっきから撒かれていた水が取りもちのようになっている。

この為の水か!中々面白い事をするな!

即興取りもちに絡まなかった魔物はリフェルが相手している。

これなら力を溜められる。

く、リフェルが行った方とは違う方向から魔物か2匹迫ってくる。


「く、ニードルシールド!」


ニードルシールドを発動して一体をなんとか凌げたが、もう一匹はどうする!?他にジャンプのスキルも使えるだろうけど、朔望斬りは溜めてる間は攻撃が出来ないし、移動も制限されてしまう。

あと少しで最大だ。今打つのは避けたい。

は、さっきジャンプのスキルは足腰を強化してくれるって言ってたな。

いま考えた事が出来るかはまだ分からない。

最悪フェゼマジーアーマーの防御力を一気に上げよう。

魔物も迫ってるし、今はやるしかない。


「うぉぉぉぉ、ジャンプ!」



この上に跳ぶ力を目の前の魔物に向けようとしてみる。

すると上に跳ぶのでは無く、蹴りの様な感じになり魔物を結構蹴飛ばせた。

上手くいってよかったよかった。

武器での攻撃じゃあ無かったらなんとか攻撃出来そうだ。

こうも応用出来るならやっぱりこれからも色々試して行こう。


「リフェル、離れてろ!いっっっけー」


最大の朔望斬りが発動し、一気に魔物の数が減った。

うん、これは状況を見て使えば有能なスキルだよな。


「クラル行け!」

「うん、頑張ってね!」


クラルがそう言って赤ちゃんを連れて後ろに走っていく。

後は俺達よりも後ろに魔物が行かない様にするだけだな。

改めて張り切るとするか。



私は沢山の魔物と戦いながらさっきまでの事を考えていた。

少し前までこの集落は何事も無く平和だった筈だ。

集落のみんなはごく普通に生活をしていて、私もいつもの様に日課である魔法の修練をしていた。

なのに日常は突然壊された。


「リフェル、早くみんなを避難させるんだ!」


声の方を見るとお父さんと集落の男の人達が武器を持ち、形相を変えてこっちに向かってくる。

普段そんなに表情を変える事が無いお父さんまでが、焦っているのを見て何か大変な事が起きている事を察した。


「何があったのお父さん!?」

「大量の魔物がこの集落に迫って来てるんだ!」

「大量の魔物!?」


この集落には時々魔物が襲ってくる事はある。

でもそれは数えられる程の数だった。

それなのにいきなり大量の魔物が襲ってくる。

信じたく無い事だった。

確かにお父さんはレベルもステータスも高い。

でも他の人達ははっきり言ってそこまで強く無い。精々LV4言って居ればいい方だ。

だったらまだ私が戦った方が危険が無い。


「お父さん、私も戦う!」

「ダメだ!お前は避難するんだ」

「なんでお父さん!私が戦った方がまだ……」

「これは命令だ!集落の中に魔物が入るかも知れないからな!みんなを安全に避難させるんだ!」

「わ、分かりました」


お父さんは普段こんな口調では無いし、命令なんか滅多にしない。

私は仕方なく避難所と集落で決まっている所に走り出した。



暫く走っていると他の集落の人達が数名が避難のため移動していて、その中に亜人の赤ちゃんを抱いた亜人女性などもいた。


そこに合流しようとしたら、魔物が現れて亜人女性を攻撃し、赤ちゃんをさらっていこうとしていた。

周りの人もどうにかしようとしているが、これは部が悪い。

魔物が少しずつ集落に入って来ているのかな?

大丈夫だよねお父さん。

とにかくみんなを逃がして赤ちゃんを助けなきゃ!


「皆さんは逃げて!私が赤ちゃんを助けますから!」

「お、お願いね。呉々も気を付けて!」


私が魔法を使えて戦う力がある事は集落ではそれなりに知られてるからすんなりと逃げる事を選んでくれた。

さて、そうは言っても修練をしていたせいで、魔力があと4割を切っている。

武器も無いから長期戦は恐らく無理だと思う。

今思えばお父さんと一緒に戦っても長くは持たなかったんだろうな。

だから逃げろと言ったんだろうけど、安全に避難させろって言ってたしなんとかしてみよう。

先ずは赤ちゃんを魔物から離した方が良さそう。


「初級水属性魔法 ウォーターカッター!」


魔法で赤ちゃんをさらおうとした魔物は体制を変えて避けたが、隙が出来て赤ちゃんを救出する。

それにしてもこの赤ちゃん。こんな状況で泣かないなんて凄いな。


「GUUU、GAAA」

「おっと、危ないよ」


体制を取り直した魔物が爪で攻撃しようとしてたのを辛うじてかわす。

うー、詠唱してる場合じゃ無かったから詠唱の要らない初級魔法でどうにかしたけどやっぱり決定打にはならないか。

この魔物、本に書いてあったけどエビルウルフって言って他の魔物を読んだりするんだっけ?

早く倒さないと危険らしいから一気に決めよう。

そう思うのがもう少し早ければあんな事になってなかった。

「〈私の中の魔……〉ってきゃ」


詠唱をしようとした時に他の魔物が襲ってきた。

しかも少しずつだけどドンドン集まってくる。

ここから先はよく覚えてないけど、赤ちゃんを守ろうと必死になって魔法を出してるうちに魔力が無くなってしまった。

そしてまものの攻撃が迫りもうだめだ!って時に、声が聞こえた。


「間に合ってくれ!ニードルシールド!」


突然盾が現れてそのお陰で私は今も生きている。


その後に盾を出した人が勇者様と知って、少し我儘を言って今赤ちゃんを逃がして一緒に戦っている。



ってなんでこんな事考えてるんだろう。

大分楽になったとはいえ戦闘中なのに。


「数が減ってきたな。あと少しだ」

「はい!早く終わらせましょう」


勇者様のその言葉に励まされる。

早くここを済ませてお父さん達の救援に行きたいな。

そんな余裕のせいで迫る危険に気付けなかった。

勇者様に後ろからいきなり飛びかかって来たホブゴブリンの禍々しいオーラを纏った武器での一撃が迫ってたのだ。


ホブゴブリンは、ゴブリンを大きくした感じの魔物だ。大型の包丁みたいなのを持っているかなり危険度が高い魔物の一体だ。その理由が知性がある程度あり、ある大技を持っている点にある。

それは防御無視の攻撃。いや正確には魔法でのステータス上昇や鎧などの防御力を無視して、強力な一撃を与える事の出来る攻撃で素の威力も高い。

例え勇者様でもまともに当たったら無事では済まないかも知れない!


勇者様は気付いてない!このままじゃもう当たってしまう。


私は何も出来ないの?私を助けてくれた人を助けられないの?嫌だ、絶対に嫌だ!

ここまで力が欲しいと思ったのは初めてかも知れない。


「ゆ、勇者様!後ろ!」

「え?」


勇者様は急いで後ろを確認し状況を把握しようとしています。

しかし現実は無情でその一撃は勇者様の体に……

補足:その内本編で説明するつもりですが、大量発生した魔物達は一定の仲間意識と連帯感があります。

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