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第6話 お楽しみ

よし、防具を買った事だし付けてみるか。


「更衣室ってあるのか?」

「あるぞ、そこだ」


オッちゃんが指指した方に更衣室があり、中に入る。

普通に洋服の要領で着れば良いのかな。

中に鏡があり、少し身嗜みを整えてから更衣室から出る。


「付け方はこれで良いのか?」

「合っているぞ。中々似合ってるな」

「うん、カッコイイ」


うん、似合ってはいるようだし、軽めでかなり動きやすい。


「さっき言っていたディフェンスエンチャントってのはどうやるんだ?」

「鎧に魔力を流すイメージをしてみろ」


言われた通り集中してイメージしてみる。

ん、なんか流せる量がコントロール出来てきた。

流せるMPの最大量はかなり高く、今の俺のMPを全部流しても1/5にも満たない程度だ。まあ俺のレベルはLV4しかないしな。

取り敢えず試しに少し魔力を流してみる。

お、全体的に防御力が上がったが明らかに金属部分が布の部分より固くなっている。

とは言っても布の部分も結構固くなっているし、少量の魔力でここまでなら金貨2枚でも安く感じてしまう。

今更だがこの世界の人はMPとは言わないんだな。

後でクラルにでも聞くか。


「どうだ?凄いだろう!金属って普通に鎧にしたらディフェンスエンチャントは不可能なんだが、皮や布を多めに合わせて、金属の種類とかも色々試行錯誤した末に可能にしたんだ!さらにマジックウエイトも出来るお陰で流し込める魔力の最大量がかなり多いのも売りだな。でもまウエイトはそんな使う事は無いだろうけどな」

「これはいい買い物をしたな」

「そうだ!ついでだ坊主。餞別、持って来きな」


そう言ってアクセサリーらしき物を渡してきた。半透明な素材に宝石が付いている。


「貰っていいのか?」

「おう。坊主は色々面白いもんを見せてくれたしな。その代わり、またこの王都に来る時には武器を買って行ってくれよ」

「勿論だ」


このオッちゃんにはエルピスソードとかの仮もあるしな。王都に来た時は此処に寄ることにするか。


「所でこのアクセサリーは何なんだ?」

「それはな、知り合いのスキルを元に作った物でそれに付いている宝石に魔力を流して武器に付けることで、攻撃力を増加させる事ができるんだ。そのオリジナルのスキルよりは劣化してるんだがな」

「便利だな。付けるとこは何処でもいいのか?」

「何処でも大丈夫だが、持ち手に付けるのが基本だな。あと、それは長時間使うと壊れてしまうから此処ぞという時に使ってくれ。魔力の入れすぎにも注意な」

「分かった。有効に使わさせてもらう」

「じゃあそろそろ移動する?」


武器解析もやったしな。他にこの店でやる事は無いか。


「そうだな。色々ありがとなオッちゃん」

「おう、また来いよな」


防具も買ったし、次は何をを買うとするかな。



「こんな所かな」

「色々買ったね」


武器を出て俺たちは、調味料や食材、ちょっとした調理器具、その他旅に必要な物や回復薬類を買い揃えて、少し遅めだが折角なので昼飯も食べてきた。

因みにクラルは食べていない。

食べることは普通に出来るし味覚もあるようだが食べる必要は無いらしい。

掛った金額は、結構な量を買ってさらに食事代込みで銀貨20枚程度で揃えられている。

食料は暫く購入しなくて良いぐらい買い込んでみた。

しかしディメンションバッグは使いやすいな。

かなりの量があるのに重く感じない。

ここまで便利だと、他のはぐれの異世界人のアイテムが何か気になるな。


「そう言えば、武器解析でスキルは手に入ったの?」

「手に入ったぞ。エルピスソードのを除けば4つ程だがな」


かなりの数の剣があったが、その殆どは、ステータスアップだった。どうやらスキルが手に入るのはかなり稀らしいな。

ステータスアップは全体的に腕力や脚力が多めだった。


「今日は色々あって疲れたから今日は休みたいな」

「いいんじゃない。明日は戦う練習もしたいから王都の出口に近い宿を探そうよ」

「そうだな」


それで、1人小銅貨10枚で泊まれる場所を見つけたのでそこに部屋を取った。

クラルは剣の中で寝るらしいので1人部屋だ(精霊は寝る必要も無いらしいが)。

部屋は二階にあって、中は質素だが割と広いしベッドまである。


「もう疲れた。動きたくない」

「それ、仮にも勇者が言うセリフ?」

「別にいいだろ。こちとら朝から色々合ってつかれてるんだ」


気が付いたら異世界に連れてこられて、魔物と命の奪い合いをして、挙句勇者に選ばれるって何なんだよ今日は。

一般的な日本人、しかもオタクな高校生がする事じゃないよな。

夢であって欲しいな本当に。

目が覚めたらおれの部屋のベッドに寝ているとかは……流石に無いか。

そう言えば、元の世界の瑠奈や俺の家族はどうなってるのか。

異世界物でよくある、時間が止まってるとかか?それとも時間がそのまま動いていて、俺を探してるとかか?

それだったら嫌だな。

もし帰る方法を見つけて帰っても俺が死んでることになってるのは勘弁して欲しい。


「じゃあこの国以外の言葉を覚えてみる?」

「確かに今使える言語はこの国のだけだしな。勉強用の本も買ったしやってみようかな」


それから夕御飯の時間まで、この国の隣の国の言語をクラルにも手伝って貰って勉強した。

割と面白かったしクラルの教え方も上手だったのか簡単なものであれば読める様になった。

後、『異世界語習得』がLV2になって、勉強していないエルフ語とドワーフ語なるものを話せる様になったけどこれは蛇足か?



「中々な味だったな」

「私は食べて無いのに同意を求めないでよ」


夕御飯は一階の食堂らしき所で食べた。

出されたのはパンと卵のスープの様なもので、以外といけた。

ゴロツキみたいなのがこの宿には今日他に泊まっているようで、物珍しそうにこっちを見ていた。

クラルは剣の中でも周りを確認出来るらしく、また俺と会話も可能で、ゴロツキに対しての文句を食事中にブツブツ言っていた。


「じゃあ俺はそろそろ寝ようかな」

「え、もう寝るの?」

「さっきも言ったけど朝から色々あって疲れたんだ」


出来るならもう今すぐにでも休みたい。


「分かった、私がちゃんと部屋は見張ってるから、ゆっくり休むといいよ」

「じゃあおやすみ」

「おやすみ」


この時クラルはとっても笑顔なのに、背筋が凍る表情で言っていたのだが、その理由を考えることもなく俺は眠りについた。



ん、外が明るいな。

もう朝なのか?

あんまり疲れが取れてないけど起きるか。

そう思って目を開けて周りを見渡すとそこには………


「どんな状況だよこれ!?」

「泥棒っぽいのが鍵を開けて入って来たから捕まえたの!」


昨日の夕御飯の時に見たゴロツキみたいなのが、所々ボロボロで縄に巻かれて捕まっていた。

しかもなんかクラルを見て怯えている。


「どうゆう事だ?くわしく説明してくれないか?」

「えっとね、シュウジが寝て暫くして、何と無く剣からでてみたんだけどね。その時に人の声が聞こえてたんだ。それから鍵が空いて、この人が入って来たんだけど、私を見て逃げようとしたから取り敢えず昨日買った縄で縛って置いたの」

「なんなんだよこの子は。確かに俺は昨日の夕御飯であんたに目を付けて、この部屋に入って盗みをしようとした!だけど入ったらこの子があんたの上に乗っていていたんだ。それでこっちに気が付いて


「よくも折角のお楽しみ中なのに邪魔してくれたわね」


って言って逃げようとする俺を捕まえて縄で縛って攻撃して来たんだ!」

「お前たち何してるんだよ!」


え、要するに盗みをしようと部屋にゴロツキが入ったら、クラルに見つかって縄で拘束されて、拘束ついでにクラルにボコボコにされたと。

かなりボロボロだがどれだけ攻撃したんだ?

盗みをしようとしたんだから許すつもりは無いが、ここまでする必要も無いと思う。

とゆうよりここまでする程のクラルのお楽しみってなんなんだろうか?

気にしたら負けか。


「じゃあこいつは宿の人に任せて朝食を食べるか」

「そうだね」


ゴロツキを宿の人に任せてオレ達は朝食を食べた。

オムレツの様な物とパンが出てきたな。

因みに後で知った事だがゴロツキは空き巣などの常習犯で、尻尾をやっと掴めて今までの分を含めて、重めの罪を課せられたらしいな。


「さて、レベル上げとスキルの効果確かめを兼ねて魔物狩りをするか」

「ねぇ、今日から移動を始める?」

「移動か、この辺には何があるんだ?」

「歩いて3日ぐらいの所に集落があるみたいだよ」

「じゃあそこを目指して行くか」



それから、魔物と戦いながら3日目に突入している。

夜はクラルが見張ってくれるから夜はバッチリ寝れるのは有難かった。

しかし毎晩の様に感じた嫌な気配は何なんだったんだ?

気配を感じるのもどうかと思うが、気配がした時にすぐ起きて周りを確認したりしたんだ。

でもいつも剣から出てきてるクラルしかクラルしか確認出来なかった。

まあ何かあったらクラルが俺を起こすなりなんなりするだろうし気にしなくていいか。

さて、それは置いといてせっかくなのでここで俺の今の状況を整理してみるか。

今の俺はLV12に上がっていている。

勇者の補正も合って全体的にステータスが高くなってきている。

ここまでで、森で遭遇したもの以外に4種類の魔物に出会っている。

カラーラットマンという、鼠の様な奴が色違いで赤、青、緑の三体(どうやら色が違うと別種扱いらしい)、また蛇の様な奴で、ベノムスネークと言うのに遭遇している。

ベノムスネークはその名の通り毒を吐いてきた。

しかも情報コマンドによると、防御力の低下を含んだ麻痺毒だ。

ベノムスネークの亡骸は、解体してディメンションバッグにしまって、毒は瓶に入れてしまった。

カラーラットマン達は、死体に菌とかも付いているらしく、その場で腐らない様に処理して置いた。

スキルは入手出来ず、いずれもステータスアップだった。


次に武器解析で出たスキルについてだが、これも確認済みだ。

一つ目は忍刀の様な物から出た(剣でなくとも刀でも武器解析出来るようだ)、『バックスラッシュ』で、これは対象の背後に回り、斬りつけるものだった。

瞬間移動の様に移動する為使い道は多い。

だが身長の低い相手には効果が薄く、威力は少し低めだ。


二つ目は日本刀の様なのから出た『朔望斬り』、このスキルはインターバルタイム(再使用までの時間)はそこまでの長さでは無く、貯める事で威力と攻撃範囲を上昇出来るらしく、30秒程で最大になる。

最大までて貯めればかなりの広範囲でさらには高威力だが、貯めてる最中に攻撃出来ず、移動も制限されるので使い所を考えるものだな。


三つ目は『エナジースラッシュ』、剣の刀身にオーラを纏わせ斬りつけるという、シンプルなものだが使用SPも少なめでインターバルタイムも早く使いやすい。

暫くメインで使って行くことになるであろうスキルだ。


四つ目は赤い魔物の素材で出来た剣から出てきた『Sドレインスラッシュ』で、使用SPは少なめだがインターバルタイムが長く、威力も控えめだ。

だが、このスキルの利点は、攻撃した相手のSPに比例して、SPを吸収出来る点である。

魔物にもMPやSPは存在するらしく、長期戦に向いたスキルと言える。


さて、粗方習得して使っスキルは分かって来たが、『ホーリジャッジメント』はクラルに使用を止められた。

クラル曰く


「なんかそれを使ったらシュウジがシュウジでなくなっちゃいそう」


らしく、どんな物かは分からなかった。

大体今の分かる事はこんな所か。

そう言えば周りが少し五月蝿いな。


「なぁクラル、そろそろ集落に着くのか?」

「そうだよ。でもなんか集落の方から騒がしい音がするね」

「行ってみよう」


なんでだろう、嫌な予感がする。

特に何も無いといいんだが。


「シュウジ!あれ見て!」


そして嫌な事にその予感は直ぐに正解と分かった。

ここは高低差があり、ここから集落を一望出来た。

そこから見えた景色は沢山の魔物が、集落の人間と思われる人々を襲っている光景だった。


「何なんだよあれ!?なんであんな沢山の魔物が!?」

「これは多分魔王の誕生の予兆として起こる魔物の大量発生!」

「魔物の大量発生!?」

「そう、魔王は魔物の最終進化体ってことは知ってるよね」

「ああ」


ギルドで言ってたなそんな事。


「そんな存在の魔王は、誕生が近づくと大量の魔力を生み出すの。その魔力が、何処かで溜まってしまうとその魔力を元に魔物が大量に生まれてしまうの」


魔王は生まれる前から迷惑な存在だな。


「これで俺が関わらないとどうなる?」

「ここは王都が近いから王都から騎士とかが来るかもしれないけど、多分来る前に壊滅ね。状況を見るにまだ大量発生が始まって直ぐ位だろうけど」


どうする?この魔物の大群と戦うか?

危険の方が大きい。

だけど後悔したくない。

これを見てしまったら流石に逃げるという選択は取れない。

この集落の人々を救えるかも知れない力を持ってるからな。

厨二病みたいだが、この際気にしない。


「クラル、俺はこの状況に首を突っ込もうと思う。ここで逃げたら男じゃないからな」

「シュウジ……よし行こう」


そう言ってクラルは剣の中に入る。


「行くぜ、ジャンプ!」


俺は『ジャンプ』のスキルで、高低差を飛び越え戦場に身を投じた。

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