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The sword is mightier than the magic  作者: 櫻井 瑠璃子
the first chapter
11/20

蒼炎の契約者

「ルーク君、緊張している?」

「いえ、昨日と比べると緊張してないですね」


《エターナル》待合室でネーヴェはニコニコ笑顔でルークに聞いた。


「そっか、よかった。ガチガチに緊張してたらどうしようって思ってたから…」

「師匠とネーヴェさんの二人が本気で僕を殺しに来るのと比べればこの緊張なんて安いものですよ」

「もールーク君ったら酷いなー」


しばらく談笑していると実況の声が聞こえてきた。どうやら、入場する時がきたみたいだ。


「ルーク君」


闘技場の出入り口付近でネーヴェはルークに声をかけた。


「一緒に頑張ろうね」

「それは『頑張ってね』の間違いじゃないですか?」

「あはは、そうだね」


ネーヴェは笑うとこれも雪をモチーフにしたヴェールで顔を隠し、闘技場に入って行った。

ルークもフードを被りそれに続いた。


『さあ!お次は二年前に結成してからずっと最強の名を欲しいままにしているギルド!《エターナル》だぁ!今回はなな何と!ギルド幹部『氷の姫君』とあの『聖炎の覇者』の弟子!『蒼炎の契約者』が出場だぁ!』


実況の熱のこもった声に観客席から歓声が上がる。

ネーヴェは観客席に手を振って登場したがルークはどうすればいいかわからず何もしないで登場することにした。


しばらくしたら観客の興奮が収まったのか静かになってきた。

闘技場にいるものは皆、それに合わせて闘志をみなぎらせる。


『さあ!魔闘演武、《エターナル》vs.《フェニックス》の始まりだーッ!!』


実況の叫び声を合図に《フェニックス》の強者たちは地を蹴り、ネーヴェとルークに攻撃してきた。


「咲け………【薔薇の涙(ローズ・ティア)】」


ネーヴェは攻撃を回避し、祈るように手を前に組み、手から一粒の小さな氷を落とした。

氷が地面に触れた途端、氷の粒は人一人が乗れるほどの氷の薔薇になり、ネーヴェを上に乗せたまま茎を伸ばしていった。


『おーと、これは!!『氷の姫君』、まさかの高みの見物か!?』


実況やその場にいたものはネーヴェの行動に驚いたがルークだけは驚かず、魔武器である双銃を構えて近くに居る者から撃っていった。


『『蒼炎の契約者』は、それに構わずバンバン撃ってくる!まさに独壇場だ!!』


最初の一人はその攻撃に気づかず、無防備に撃たれて気絶したが、他の者は躱したり、防御する。


ルークは冷静に状況を分析しながら移動し、相手の死角に入ったり、隙を見つけて撃って行く。



『今、この状況についていけるものはいるか!?俺様は全くついていけねーぜ!!魔闘演武開始から早数十分、生き残ってるのは今だ高みの見物をしている『氷の姫君』と無傷の『蒼炎の契約者』、あとはギルド《フェニックス》のS、SSランクの猛者どもだけだぁ!!』


実況の言う通り、闘技場にはネーヴェとルーク、それに《フェニックス》のSSランクの人間、またはSSランクに近いSランクの人間しかいなかった。開始早々、倒されたものはすでに転移で移動されていた。

《フェニックス》の面々は体の何処かに傷を負っており、人によってはもう動けないんじゃないかと思うほど息切れしているものもいる。


『さすが『聖炎の覇者』の弟子!!その実力は伊達じゃない!!』


そんな実況を無視してルークは目の前の相手を見る。

《フェニックス》のメンバーのほとんどはルークの弾をくらい傷を負っているが中にはくらっていない者もいた。

その人物はまだまだ余裕そうで腕を組んでいた。

ルークはその態度に少しイラっときたが、挑発には乗らず他の敵を一掃してから相手にすることにした。


「バースト…【フレイムショット】」


ルークは双銃を構えると今までと違う種類の弾を撃った。

その炎の弾は紅の軌跡を描き被弾すると爆発した。

相手はそれを予想せず、普通の防御をしていたので爆発の衝撃で吹っ飛んだ。


「【土壁】!!」


それを見た仲間はすかさず土の防御魔法で爆発を防いだ。


「まだまだ…カンピオフォルマ、ウルフ!!」


ルークは10発全ての弾がばらけるように撃った。

炎の弾は途中で膨れ上がり狼の形に変化した。


『『蒼炎の契約者』が撃った弾が狼に変わった!?これは凄い!!だが《フェニックス》も炎の狼に負けてはいられない!!』


炎の狼は弾丸と同じ速度で相手に迫る。


「集え!我の前を塞ぎし炎を薙ぎ払え!!【水の竜巻】!!」


恐らくSランクの者であろう人は迫る狼から逃げずに手のひらに小さな水の竜巻を作り、狼に向かって投げた。


結果的に言うと狼を退けることは出来なかったが、弱らせることは出来た。


「狼に気を取られすぎだ」


だが、ルークはその内に背後に周りこみ銃で頭を殴った。


「がはっ!!」


距離を取ろうとしたがその前にルークの銃が当たり、抵抗することなく倒れた。


「背中がガラ空きだぜ『蒼炎の契約者』様!」


いつの間にか男がルークの後ろにおり、ハンマーを振りかざす。


「甘い」


ルークは殴っていない方の銃を男に向け、撃った。

至近距離、しかも無防備で撃たれた男は面白いほど飛んだ。

男は最後の抵抗で立とうとしたが、それも虚しく倒れた。


『オオォ!《フェニックス》SSランク『バーサーカー』のギルを倒した!!もう『蒼炎の契約者』の無双を止めることは出来ないのか!!?』


「集え!光の精霊たちよ!!」


凛とした声が会場内に響いた。


「我、求むるは悪を破壊する絶対の力!天の光の力を今ここに!!」


『この声は《フェニックス》補佐の『妖精女王(ティターニア)』!?急遽参戦!?』


実況はこのことを把握していなかったようで驚きの声が漏れる。

ティターニアはそんなことに構わず詠唱を続ける。


「輝やけ!!【光妖精の鉄槌】!!」


ルークは集まり、巨大化していく魔力に途中で止めるのは危険だと判断した。

ネーヴェは咄嗟に防御魔法を発動した。


「【五芒星】!!」


ルークにも防御魔法を発動しようとしたがそれよりも早く双銃の銃口が五回火を吹く。

星を描くように撃たれた弾はそのまま飛んでいかず、ルークの前に留まりティターニアの攻撃を受け止める。


「………くぅ…ッ!!」


ルークは苦しい声を上げながらもどうにか防ぎきった。


「【ランス】」


迎撃体制に移行しようとした時、闘技場は闘志の熱を冷ますように温度が急激に低下した。


「今回はこの辺でどうですか?」


温度を低下させた張本人は緊張感がない言葉でいった。


「…フンッ!…この状況じゃ逆転は無いからな……降参だ」


ティターニアは自分の周りにある氷の槍を見て降参した。


『今回の魔闘演武も《エターナル》の勝利だー!』


数拍の間があってから地響きとも取れる歓声が上がった。

ネーヴェは全ての氷を破片に変えてルークの元に降り立つ。


「お疲れ様でした」


ネーヴェはルークを労い、ともに闘技場を後にした。



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