第二王子のお騒がせ騒動
「ムリムリムリムリ!!嫌だって!そんなの、ボク、ムリっ....!」
「お黙んなさい、ガータムーア!ウジウジしてないで、さっさと王座に就きなさい!」
「だーかーらー!ボクにはムリだって!兄上が死んだからってボクが王様になるなんて、ムリがあるよ!」
「大丈夫ですわ!優秀な部下をお付けしますから!」
「そーいう問題じゃなくて!弟達とか従兄弟とか、優秀なのたくさんいるじゃないか!」
第二王子のガータムーア。
もう一人は公爵の孫娘であり、ガータムーアの幼なじみのマルシェミー。
周りの制止を顧みず戦の前線で死んだ第一王子に代わり、第二王子に王座が回ってきた。
しかし、活発で優秀な第一王子に劣等感を抱き続けて、王族らしくない内気で自信のない王子に育った。
そんな彼を唯一引っ張っていけるのが公爵家のマルシェミーで、宰相を始めとする名だたる人達に懇願されてマルシェミーはガータムーアを説得している。
「わたくしの言うことが聞けませんの!?わたくし直々に、こうして国臣を代表してお願いしてますのに!」
「ミィがボクに頭を下げたことがあったかい?!」
「昨日までは散々宰相達の旋毛を見たでしょう?だから、わたくしは頭を下げる必要はないですわ」
マルシェミーはふふんと自慢気に豊満な胸を反らした。
「ムゥアがいっちばん高いとこにある椅子に座るだけでめんどくさいゴタゴタが収まるの!早く、宰相達のところに行きなさい!」
「ボ、ボクは王様になりたいんじゃない!静かなところでのんびりと過ごしたいんだ!」
「口を慎みなさい、ガータムーア。あなたの立場でそんなことをしようと思うなら実績を残しなさいよ」
「何もしないで、とかじゃないよ?ちゃんと農夫達に混じって働く。それぐらいの覚悟はあるんだ」
「泥まみれになるのに?」
「そうだよ!」
「あなた、嵐の日に外出したことあるの?肌が焼ける日にだって休んじゃいけないわ。干ばつが続いたら食べるものだってないかもしれない。飢えを知らないわたくし達は想像もできないわ。あなた、それでもやるの?」
「そ、それは....」
「泣きついたって、王位を捨てたあなたに誰も手を差し伸べないわ。プライドも捨てなきゃいけないときだって出てくる。あなたにできる?」
「ボ、ボクは....」
「ガータムーア!!」
「はい!」
「しゃきっとなさい!自信がない、体力だって普通、頭だって精々"良"くらいよ?そんなあなたに何ができるの!!」
「み、ミィに従うこと!」
「はい、宰相の所に行く!」
「はい!!」
ガータムーアは脱兎のごとく部屋を出ていった。
マルシェミーがほっとするのも束の間、今度はマルシェミーが宰相達にガータムーアとの婚姻を迫られた。
読了ありがとうございます!
ガータムーアみたいな人、いますよね!