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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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5

「ブロ兄様!!」




 王宮へとオーロを連れ帰った私がまず真っ先に何をしたかと言えば、お兄様の元へと特攻することだった。




 私には二人のお兄様と、二人のお姉様が居る。

 二番目のお兄様は騎士として活躍しておられる。茶色の髪と、藍色の瞳を持ち、とても整った顔立ちをしている。見た目はどちらかというとワイルド系というか、初対面の人には恐れられることも珍しくないと聞く。



 実際に今の奥さんと出会った時も最初は怯えられていたといっていたもの。私が沢山アドバイスをして、結果として結婚まで至ったのだから良い仕事をしたと自分では思っている。




 ブロ兄様は私が急に話しかけて突撃してきたので、驚いた表情だった。

 無理もない。




 私は基本的に表に出る気は全然なくて、魔法研究などのために引きこもってばかりだった。

 王宮内でも王族の住まうエリアにしか出没しなくて、それもあって第三王女である私の顔を知らない人もそれなりに多い。

 ブロ兄様は驚いた顔をした後、近くの騎士に声をかけて私の元へとすぐに駆け寄ってくる。



「ヴィオ、どうした? こんなところで話しかけてくるなんて珍しい。もしかして何かあったのか?」


 ブロ兄様は強面だけど、兄妹たちには凄く優しい人だ。私のことも凄く大切にしてくれている。

 人が周りに沢山居る場で私が話しかけてきて、驚いたんだろうな。でもこれは狙い通りなのだ。





「あのね、ブロ兄様。私の友人が大変なの。だから、私頑張ることにしたから、手伝ってくれる?」



 此処で周りに印象付けたいのは、オーロが私にとって大切な友達だということ。そして表にほとんど立つことのない第三王女の私がこうして動くだけのことが起こったということ。

 騎士達の間では噂にはなるでしょうね。




「もちろん」



 大きく頷いたブロ兄様には、私の思惑などバレバレだろう。




「その後ろにいる方が、お前の友人か?」

「ええ。私の大切な友人であるオウロイア・アスールファ。ほら、ブロ兄様は私が文通をしていたことは知っているでしょう? それが彼女だったの」

「ああ、なるほど」



 ブロ兄様はあまり考えることは得意じゃない。どちらかというと、力づくで問題は解決するタイプではある。ただし、頭が働かないというわけじゃない。ちゃんと私がどういう意図をもってこんなことをしているか分かってくれている。




 それに私は家族に、文通友達の話はしていた。だから受け入れやすいのだろう。わざわざオーロの家名まで此処で言ったのは、彼女の傍には王族である私が居るというのを示すため。



 オーロの名前が聞こえたであろう周りの者達が反応を示しているのが分かった。

 社交界ではオーロの元夫が好き勝手なことを言っているらしいので、そのことであろう。……考えると苛立ってきたわ。どうして私の大事な友人がそんな風に貶められないといけないのかしら?



 私は王族という立場であり、なおかつ恵まれた環境にあったため悪評はあまりたっていない。社交界に出ない私のことを悪く言う人は居なくはないけれど、お父様達が動いて広まることはなかった。

 ……自分のことじゃなくて、友達のことを悪く言われることがこんなに嫌なことだなんて思ってもいなかった。




「ヴィオ、顔が怖くなっている。目的は別だろう?」

「あ、そうね。ありがとう。ブロ兄様。オーロとは文通はしていたけれど、会ったのは初めてだったの。でも私はオーロのことを大好きになったの」



 私がブロ兄様にそう口にしていると、オーロは照れた様子だ。うん、可愛いわ。年上の友達に可愛いというのはおかしな話かもしれないけれど、素直にそう思った。

 オーロの元夫はどうしてオーロのような素晴らしい妻を得たのに、ああなのだろうか。




「だから私はオーロの味方をするの。ブロ兄様も、オーロに何かあったらよろしくね?」

「ああ。分かった」




 ブロ兄様は私よりも社交界に出ているので、オーロのことは知っているだろう。だけど嫌な顔一つせずに笑って頷いてくれた。

 私の大切な友達のことを否定せずに受け入れてくれることが嬉しい。周りに反対されても私はオーロの状況をどうにかするつもりだったけれど、味方は幾らでもいてくれた方がいい。

 オーロは終始、恐縮した様子だった。



 これから私の友達として生きていくのだから、早く慣れてくれるといいなぁと思った。




「ま、まさか第二王子殿下と挨拶をするなんてびっくりしたわ」

「ブロ兄様だけじゃないわ」

「え?」

「これから王宮を巡って、オーロが私の友達なんだって紹介していくから」



 私がそう言って笑ったら、オーロは顔を青ざめさせていた。でもこういうことは思い立ったが吉日で行動した方がいいもの。

 そういうわけで私はオーロを連れて王宮内を歩き回るのだった。


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