エスちゃん、サンちゃん、アニちゃん、ありがとう♡
申・鳥・戌の章、更新いたしました。
「大講義室の覆われた仮囲いで今日、何があってたの?」
当番で晩ご飯の料理をしていたエスターテが、帰って来たメリーナに奥から話しかける。
「エスちゃん、聞いてよ!大屋根の設置を手伝わされてたのよ~」
「メリー以外の生徒会のメンバーはお昼から職員たちや教諭たちの仕事の代役を務めてたのよ」
「え、そうなの?」
「大屋根の設置があってたのね。メリーは立て替えを手伝ってるとだけ生徒会長に言われたてたわ。急に招集するもんだから、みんな不満そうだったわよ」
「やっぱり、「夜明けの爪」のせいでじゃないかな?」
メリーナの問いかけにエスターテは料理をテーブルに持ってきながら答える。
「他の街もこんな感じなの?流石に私の里は遠いから大丈夫だと思っているけど、あなたの家は大丈夫なの?」
「あれ?そうだよね。どんな具合なんだろう?うちは放任主義だからな~」
そんな会話を続けながら二人は晩ご飯を食べ始めていた。
「学長、お呼びですか?」
新学期まであと半月ほどとなった午前中、メリーナは学長室の扉をノックしていた。
「メリーナ、入って来てきなさい」
いつもの声ではない学長の重苦しい声にメリーナは入室するなり問いかけた。
「学長、また何かありました?」
「今朝方、卒業生から報告が入ってね。お前にまず話しておこうと思って来てもらったんだ」
「私にですか?」
ポーラ学長は真剣な眼差しでメリーナを見つめると口を開いた。
「落ち着いて聞くんだよ。お前の出身の「セゴクメドウ」が「夜明けの爪」に街が内部から浸食され事実上占拠された状態になったそうだ。街ごと乗っ取られたんだよ」
「えっ!街のみんなは?」
驚くメリーナにポーラは苦しそうに告げる。
「街に残っている者は全員、洗脳され「夜明けの爪」の構成員にされているそうだ」
「私の家族は?」
「浸食されている間に街を離れていれば良いのですが・・最近連絡は来ましたか?」
メリーナは少し考えこむと暗い表情で答えた。
「学園の長期休業中に帰省出来なくなったって伝えたままです。そういえば返事はなかったです」
「そうかい。で、どうする?私はお前になら帰省の特別申請を許可しても良いと考えているんだが。と言うよりはむしろ卒業生メンバーと合流して事態の解決に協力してもらえないかとも考えているんだが」
ポーラ学長の言葉にメリーナの決意はすでに固まっていた。
「わたしに行かせてください」
「あら早いのね。もう晩ご飯の用意をしてるの?」
部屋に帰って来たエスターテが、奥で当番の晩ご飯を料理をしていたメリーナに話しかける。
「おかえりエスちゃん。荷造りしないといけなくなったから早めに料理していたの」
「荷造り?何で、何か有ったの?」
「実は・・」
メリーナが今日の学長室での話をエスターテに告げると、エスターテは「学長室に行ってくる」と飛び出して行った。
翌朝、メリーナとエスターテはサンテラの半身でもある赤いたてがみの黒馬にまたがり、サンテラとアニラを随伴して学園の門をくぐる。
「エスちゃん、サンちゃん、アニちゃん、ありがとう♡」
こうしてメリーナたちの「セゴクメドウ」の街への旅が始まった。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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