これからは、ず~と一緒よ♡
未の章、最終話、更新いたしました。
サンテラが厩舎と馬車停の間を行き来し仕事をこなしていると突然、馴染みのある声が誰もいないはずの馬車停より聞こえてくる。
「お前が幽閉される事なく働いてる姿に驚いたが、本部より最後にじかに確認せよとの命令が下ったよ」
サンテラは手に持っていた木製の水桶を地面に置くと、何かを悟ったように言葉を返した。
「アニラか・・、粛清にきたのか・・」
「その前に最後の確認だ。自死を選んでないという事は解除済みか?サンテラどこまで喋った」
「喋れるわけがないだろう。まだ魔法学園の叡智をもってしても呪印は解除されてないよ」
「半端な解除なのだな・・ならば、用は終わった。お別れだな・・」
「ただでは、この命やらんよ。最後まであがなわせてもらおう。フュージョン!」
サンテラは厩舎にいた己の半身の赤いたてがみの黒馬と融合し巨大な半人半馬の槍闘士の姿になり、情報調査用魔法を発してアニラを認識しようとする。アニラはその身体を魔力を伴った風で覆い、二人の魔力が厩舎と馬車停を覆いたその時・・。
「侵入者発見!」
その叫びと共に学園を巡回警備していたエスターテが聖気をみなぎらせ、アニラの声と風の渦巻く位置に合わせ飛び込み蹴りを放っていた。
「ぐっ」
サンテラに意識が向けられていたアニラは、もろに風の障壁を貫いたエスターテの蹴りを食らう。
「やっぱり、スイーツの店の・・」
エスターテの聖気によって術が無効化されアニラはその姿をエスターテにも認識されるようになっていた。
「あんた、赤毛の隣にいた・・。邪魔しないでくれよ。サンテラを処分すれば、この学園にはもう用がなくなるから」
アニラは、少し困ったような表情を見せエスターテをにらむ。
「駄目よ。サンちゃんを処分なんかしたらメリーが悲しむ」
エスターテは、そう言うとサンテラの前に立ち構えをとる。
「ならば、容赦はしない」
そう言うと、アニラは獣人化し巨大な羊の姿へと変化していった。
「サンちゃーん!」
三人の戦闘が始まるや否や、さらにメリーナが大声を上げて闘いの渦の中心に飛び込んできた。
「くっ、お前は仕事中だったはずだが・・」
メリーナの想定外の出現にアニラは唇をかむ。
「私は、メリーナにテイムを上書きされる事で自死を免れた。主であるメリーナと私は繋がっている」
サンテラの言葉にアニラは状況が腑に落ちてはいるが更に問いかける。
「その娘はテイムを上書き出来る程の能力の持ち主なのか?」
「信じられないだろうが、ご覧の通りだ」
サンテラの言葉にアニラは獣人化を解くとメリーナに向かって話しかける。
「メリーナ。私も長く共に居たサンテラを・・だが、あがなえない。これ以上は言葉にすることはかなわない」
苦しそうにアニラはメリーナに告げた。
「・・辛かったのよね、・・試してみるね。メリーチェンジ!」
メリーナはそう叫ぶとアニラに変身し、そのままアニラに抱き着き匂いを嗅ぐ。
そして二人は黒い光に包まれるとやがて光は消え、メリーナは元の「特徴的な可愛い小鼻にサクランボの様な唇、絹のように滑らかな長いブロンドヘア、アクアマリンの様な青い瞳」のメリーナに戻り、笑いながら優しくぐったりとしたアニラを抱き寄せ耳元でささやいた。
「アニちゃんよろしくね。これからは、ず~と一緒よ♡」
地下迷宮、「夜明けの爪」本部では、一人の女性がひざまずき報告を述べていた。
「十二魔将、ビシンのアニラまでもがアルカディア魔法学園に虜囚されたとの事です」
「アニラも虜囚だと・・。メリーナ・フレヴァリ、確かにただ者ではない様ですね」
「どの様にいたしましょうか?」
「異端の者ならば招き入れるのも良いかと思いましたが・・、異端である事を拒むのであればやむを得ないですね。処分しなさい、貴方なら可能でしょう」
「はっ。たしかに承知いたしました」
そう言うと、この場から女性の姿が消え、この広い地の底に再び静寂が訪れていた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




