わぁ~♡、鼻がとろけそうないい香りです♡
未の章、更新いたしました。
学園都市の臨時運営理事会が行われていた。
「今回、市政の統括責任者として私はあの場所に居た。あの場に居た首長やギルド長は確かに見知った者達だった。彼等が全て「夜明けの爪」の構成員だったとはとても思えない。成りすましなどではなかったのか?」
市政の統括責任者のヴィクター・ロングが苦々しい口調で意見する。
「成りすましだった者もたしかにいたが、残念ながら本物の首長やギルド長だった者もかなりの数にのぼった」
ポーラ・プティ学長が答えるとヴィクターが驚きながら聞き返す。
「本人だったのですか?」
「脅された、騙された、など言い訳をしているし、それぞれの自治体からは首長やギルド長の解放を要求されているよ」
「応じるのですか?」
「応じるしかあるまいよ。それぞれ自治権を持った自治体の本物の首長やギルド長なのだからね」
「馬鹿なあいつ等は間違いなく構成員として戦っていた。私の目の前でだ!」
ヴィクターはこぶしで机をたたき、運営理事会のメンバー全員に訴える。
「確かに身柄引渡請求が各自治体から届いております」
書記官が声をだす。
「つまりかなりの街が住民も気づかぬうちに、静かに「夜明けの爪」に乗っ取られているという事を我々は新たに認識すべきだという事だ」
ヴィクターの言葉を受けて、静まりかえる理事会メンバーにむけてポーラ・プティ学長が宣言する。
「事態は急を要する。我がアルカディア魔法学園全卒業生に対して各自治体への調査クエストを学園依頼として通達いたします」
会議が終了して理事会メンバーが退室し最後に会議室からポーラ・プティ学長が退室すると、一人の赤髪の癖毛のショートヘア、濃いピンクの瞳、口元から小さな牙のある女学生が会議室の前の廊下で少し退屈な表情で待機していた。
「待たせたわね。報告の話は帰りの馬車でしましょう」
ポーラは優しい笑顔でその学生、メリーナと共に馬車へと向かって行った。
学長とメリーナが乗り込んだ馬車の先頭の輓馬は赤いたてがみの黒馬だった。
「サンちゃん、お疲れ様♡」
メリーナが優しくの赤いたてがみをなでると黒馬が念話で答える。
(気安くたてがみを触らせてやるのはアンタだけなんだからね!)
そう言いながらも、サンちゃんは嬉しそうに尾をふっていた。
「まさか、メリーナにテイムされて従魔の様になるなんて予想もしていなかったよ」
学長がしみじみと口にする。
「私だってまさかこんな事になるとは思ってもいませんでした」
「仕える相手が入れ替わってしまうなんて、私の長年の経験でも聞いた事もないよ」
メリーナは少し心配そうに学長に尋ねる。
「彼女のテイムはやはり取れないのですか?」
「元々なされていたテイムが恐ろしく強力だったからね。精神が壊れてしまわなかっただけマシなんだよ」
「そうなんですか・・」
「はい、今日の仕事のご褒美だよ。会議中に御者に買いに行かせていたんだよ」
学長は白い甘い香りがする箱を御者から受け取るとメリーナに手渡した。
「わぁ~♡、鼻がとろけそうないい香りです♡」
メリーナが小鼻をヒクヒクさせていると、学長は自慢げに笑いながら答える。
「街一番のお店のスイーツだよ」
「寮に帰ったらエスちゃんと食べますね。あっ、サンちゃんにもおすそ分けするね」
その声に、馬車の外から嬉しそうな鳴き声が聞こえてくる。
「で、本題だが。情報調査用魔法で今日の臨時運営理事会メンバーに怪しそうな人物は見つかったかい?」
学長が身体を寄せて小声で尋ねる。
「それが・・、半分近くが情報を偽装し隠蔽しようとしていました」
すまなそうな表情で報告するメリーナに、ポーラ・プティ学長は思わず天を仰いでしまっていた。
お読みいただきありがとうございました。未の章より更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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