森林浴のような匂いがしてました♡
更新いたしました。
「今日の献立は何だろうね♡」
「からだが温まる料理が有ると好いよね」
メリーナとエスターテは学生食堂の配膳カウンターに並んでいた。
「うわ~、シチューだ♡」
満面の笑みを見せるメリーナに配膳係の女性が優しくつぶやく。
「少し大盛にしとくよ」
「ありがとう♡」
全寮制の魔法学園では朝晩は寮内での自炊が基本で、講義がある日の昼食は学生食堂が解放されており、学生たちにとって厳しい学園生活の束の間のいこいのひと時だった。
「失礼いたします。生徒会用の備品、受け取りにまいりました」
放課後、体育委員長になったメリーナは備品の受け取りを命じられ台車を持参して学長室を訪れていた。
「これを生徒会長室に運んでちょうだい」
ポーラ・プティ学長はそう言うと、少し微笑みながらメリーナに手招きをした。
「え、なんですか?」
学長は左手首の袖をまくり上げると身に着けている中央に魔石が宝飾された白銀のブレスレットをメリーナにかざした。
「箱の中身は、この教師用のブレスレットだよ。特注品だからまずは生徒会役員及び委員長分だけだけどね」
「うわ~キレイ♡私の分もあるんですか?」
「もちろんあるよ。つけてみるかい?」
「はい♡」
メリーナは早速左腕にブレスレットを着用してみる。
「あ、魔石の色が赤に変わりました」
「カチューシャと同じだよ属性によって色が変化し、闘いに応じて形状も変化する。チェンジしてみるかい?」
学長が笑いながら説明すると、メリーナはうなずき声をだす。
「メリーチェンジ!」
メリーナはエスターテに変身すると魔石はオレンジ色となり、さらに魔力を込めるとブレスレットはオレンジ色に輝きナックルダスターへと変化し両手に装備された。
「すごい、凄いです!」
「赤髪の最終形態になったら何になるんだろうね」
「やってみます。・・メリーチェンジ!」
赤髪の癖毛のショートヘア、濃いピンクの瞳、口元から小さな牙のあるメリーナへと変身した。
そして、先程と同様に黒色となった魔石に魔力を込めるとナックルダスターは虹色に輝きやがて、黒い光へと集束していく。・・が、魔石は粉々に砕けブレスレットへ戻って床に落ちてしまった。
「あ、壊れちゃった!」
メリーナはバツの悪そうな顔をしながら学長の方を見つめると、学長は溜息をつきながら自分のブレスレットをメリーナに手渡す。
「これは、更に特注品だよ。もう一度やり直してみなさい」
「また、壊しちゃうんじゃ」
「それが壊れるって事は、私以上の存在だという事になる。やってみなさい」
学長の真剣な眼差しに、メリーナは意を決し装着して魔力を込めてみる。
再び魔石は虹色に輝きやがて、黒い光へと集束していった。そして、ブレスレットは黒いブレードを持つレイピアへと変化していった。
「ほう、何とか保ってくれたか。この前のカウンセリングを兼ねた魔力の予備調査の推定値を更に超えてきたね。何かやったのかい?」
「多分この前、学長の匂いを嗅がせてもらったからだと・・」
「あっ、カウンセリングの時に密着しすぎてたわね」
「森林浴のような匂いがしてました♡」
明らかに悪気の無いメリーナのすなおな表情を見つめながら、ポーラ・プティはメリーナの吸収能力の上限の無さと才能に、改めて畏怖にも近い複雑な思いを抱いていた。
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