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6 侵入騒動を終えて

 剣術学校侵入事件。この出来事は瞬く間に新聞の記事になり、ニュースになり国中に伝わった。リオンが戦った相手は全員殺してしまったが、ジンたち教師陣は敵を生け捕りにすることに成功したのだ。

 生け捕りした団員を軍は拷問、死刑にしないことを条件に、今回の事件の全貌を吐かせた。とは言っても、末端の団員にそこまで知っていることはなかった。一番重要である依頼主が誰かという点は誰も知らなった。

 ただ、キングスフォード家をよく思わない者が依頼したことは間違いないだろう。その事実から、各地で色々な憶測が立っている。

 まあ、そこらへんのことはリオンたちが知る由もないことだ。

 学校内での変化といえば、ジンに2週間の謹慎を言い渡されたことだ。理由は、殺し屋の標的であるリオンを要求通りに第三演習場に行くよう指示したこと。リオンの存在はキングスフォード家の長男ということもあって、学校側も扱いで難しい存在だ。もし、今回の事件でリオンが死んでしまうようなことがあれば、学校側は責任問題を問われかねない。その可能性を生み出したジンに処罰が下ったわけだ。

 後は、アリサ以外の生徒がリオンを畏怖するような目で見ていることだ。これにはリオンが原因な部分もある。リオンが団長たちを殺した後、ジンの指示通り教室に戻ったのだが、風呂とかに入らなかったので、返り血が身体に付いたままだったのだ。その返り血を浴びたリオンを見たら、リオンが人を殺したということが頭に浮かぶ。まだ人を殺した経験のない学生たちにとっては衝撃的だった。そして、簡単に人を殺してしまうリオンに畏怖したわけだ。

                       ◆

 事件が起きてからの初めての休日。リオンはジンを訪ねるべく、彼の家にと向かっていた。家の住所はアリサから聞いたので間違いないはずだ。

 ジンの家を訪れようと思ったのは、ジンを謹慎にしてしまった原因は自分にあると思い、謝りに行こうと思ったからだ。ジンが行くように指示したというのはあるのだが、仮にジンが行くなと指示をしたとしても、従わずに行っていただろう。それにリオンには、ジンが行かせてくれたようにも感じた。

 つまり、リオンの行動に責任をとってくれたのはジンなのである。

 一応、アリサにも「一緒に行かないか。」と誘ったのだが断られた。理由は面倒くさいし、自分は行く意味がないとのことだ。

 カランコロン

 家の門の前にあるベルを鳴らす。少しすると家の扉が一人の女性が出てくる。長髪黒髪で身長も170センチくらいと高く、スラットしたスタイルの良い女性だった。

 「あなた、リオン・キングスフォード君ね。ジンに用があるのかしら?」

 「はい。ジン先生と話したくて来ました。わざわざ家まで押しかけてすみません。」

 リオンは今日ジンの家を訪れることに対して、事前にアポをとっていない。ジンの連絡先を知っていなかったし、知っているアリサには「アポなんていらないわよ。」とあしらわれてしまった。(おそらく、連絡するのがめんどくさいだけだったと思うが。)

 女性の案内のもとリオンは一つの部屋にやってくる。

 「やあ、リオン君。わざわざ家まで訪ねてきてどうしたんだい?」

 部屋に入るとジンがコーヒーを飲みながら、手には本を持っていた。謹慎になったのだし、ゆっくり休んでやろうという魂胆が見えた。

 「ジン先生を謹慎にしてしまってすみませんでした。」

 リオンは深々と頭を下げる。

 「僕の謹慎のことを気にして、ここまでわざわざ来たのかい?」

 ジンはリオンの一言に面を食らった。リオンがここに来たのは別の理由だと思ったし、あの件に関してリオンには一切の非がないとすら思っている。それに、リオンが敵の大将を倒してくれたことで、教師陣が動きやすくなったわけだし、むしろあの件に関してはリオンが功労者とまで思っている。

 「先生は俺を止めても無駄だと思ったから、行かせてくれたんですよね。」

 「あれは君を行かせることが、事件の早期解決に繋がると思ったからね。君が死にそうになったら、アリサ君に助けるように指示しておいたし。」

 誰一人犠牲を出さない、最低でも死者を出さないためにベストな選択をしたにすぎない。アリサならどんな相手が来たとしても、勝てるとふんでいたからこそ、とれた選択ともいえる。

 「もし、俺が殺されそうになったら、アリサは助けてくれたのかな?」

 リオンはアリサが自分を助けてくれる姿が想像できない。アリサにとって自分が死ぬこと自体はどうでも良さそうだし。

 「助けるよ。それは僕との約束だし。それに、アリサ君は君のことをすごく気に入っているよ。」

 「・・・そうなんでしょうか?」

 リオンはアリサに気にいられている自信があまりない。よいパートナーになりたいと日々アリサと接してはいるが。

 「アリサ君と普段どういう話をしてるんだい?例えば、この前の事件のことで何か話した?」

 「それはですね・・・。」

 リオンは事件当日の夜のことを思い出す。

 「・・・もう少しうまくやれたかな。」

 リオンは椅子に座りながら、団長と戦った時のことを振り返っていた。戦闘の振り返りは、勉強でいうところの復習と同じで非常に重要なものとなってくる。

 まず、初めての実戦ということで慎重になりすぎた。実戦は模擬戦と違い失敗が許されない。今回は相手がリオンを殺すという明確な意思を持っているので尚更だ。だから、即座に勝負を決めることができる戦いだったのに、相手の奥の手を警戒して様子見の時間を長くとり過ぎた。

 たまたま、相手の奥の手が数による物量だったから巻き返しが効いたが、これが長時間の発動時間を要する大規模な魔法だったりしたら、リオンに防ぐ手立てはなく負けていただろう。

 次に周りをもっと注意深く見るべきだった。人の気配というのは完全に消すことができない。呼吸を完全に止めることはできないし、索敵する余裕がなかったわけでもない。もっと早く敵の策略に気が付くことができたはずだ。

 「何考え込んでるの?」

 お風呂上りのアリサがバスタオルで髪を拭きながら質問する。

 「ああ。今日の戦いについて振り返っていてな。もう少し、上手く戦えたんじゃないかって。」

 「そうね。私ならもっと早くけりがついてただろうし。」

 アリサはリオンをおちょくるようなことを言ったものの、振り返りをすること自体には感心していた。自分はそんなことしたことがないからだ。

 「なら、アリサはどうやって戦うんだ?」

 自分よりも強いアリサの意見を聞いてみよう。リオンはそう思い質問した。

 「そうね。私の戦いは私にしかできないから、参考程度に聞いてね。まず、団長には何か秘策を持っていると考える。その秘策を解明するため、第三演習場全体に魔力探知をかけるわ。そうすれば何が狙いか分かるからね。」

 「なるほど。」

 魔力探知とは言葉とおり、魔法範囲内の魔力を探知することだ。人間は少なからず魔力を持っている。魔法範囲内に人がいれば、探知に引っかかるわけだ。他にも、地雷等の設置型の魔法にも魔力探知は反応する。つまり、魔力探知をすれば、リオンが警戒していたことはすぐに解決してしまうわけだ。

 しかし、この作戦はアリサの言う通り、アリサにしかできない。少なくとも、リオンにはできない代物だ。第三演習場全体に魔力探知をかけるほど、リオンには魔力がない。それに、身体強化魔法や防御魔法のために魔力を残しておかないといけないことから、そもそも魔力探知に魔力を割く余裕がない。

 「魔力探知をすれば、第三演習場に団長以外にも仲間が潜んでいることがすぐに分かる。後は、第三演習場の木々に炎の輪舞フレイムロンドを多発すればいいわ。そうすれば、戦いの場は炎と煙で覆われ、お互いに敵を視認することが難しくなる。けど、私には魔力探知があるから、魔力の反応するところに敵がいる。私以外の魔力反応は全員敵だから分かりやすい。逆に敵は数が多いから、姿を確認するまで攻撃できないから、防御や反撃の反応が遅れる。後は、一人ずつ殺していくだけ。」

 「壮大な戦術だな。」

 アリサの戦術は悪くないと思ったし、理にかなっている。リオンは戦術に戦場という要素を組み込んでいなかったことは、今後の課題だと反省する。

 「でも、リオンも悪くなかったわよ。初めての実戦にしては冷静に戦えてたとも思うし、後は経験を積んでいくだけ。元のスペックは高いんだし、もっと強くなれると思うわ。ただ、戦いの前に団長の挑発に乗って、怒りを露わにしてたのはよくない。」

 「それは・・・。」

 リオンはアリサの顔を見る。

 「何よ。私と団長のことなんて、リオンには関係ないでしょ。それとも、本当に私のことが好きで、私が処女じゃないことがショックだったってことはないよね?」

 アリサはそう言い、リオンの様子を見る。

 「それについては驚いたのとちょっと嫉妬しただけだ。それよりも、アリサをまた闇ギルドの一員にしようとしてたのに腹が立った。アリサは俺のパートナーなんだ。誰にも渡しはしない。」

 「リオンって独占欲が強いのね。それにちょっと嫉妬したんだ~。」

 アリサはリオンの方を見てニヤニヤする。まず、嫉妬の話しだが、リオンにとってちょっとどころの話ではないと思う。それくらい、あの時のリオンは怒っていたと思っている。それに独占欲が強いということは、言い換えればアリサのことがそれだけ好きということになる。恋愛感情ではないとしても。

 「なんだよ。悪いか?」

 リオンにとってアリサは特別な存在だ。それは前々から思っていることで、自分よりも強い同年代、興味を引かないわけがない。しかも、その人物が異性ときたら意識することは必然だ。

 「別に悪くないわよ。何なら私と1回セックスしてみる?」

 アリサにとってリオンが自分のことを好きでいてくれるなら、それにこしたことはない。惚れた弱みとうか、リオンを操りやすくはなる。身体関係になっておくのも悪くはない。

 ただ、リオンにとって悲しいことは、アリサ自身はリオンのことを何とも思っていないことだ。それに、リオンがキングスフォード家の長男ということも、アリサにとってはマイナス要素である。

 「いや・・・それは・・・まだ。」

 リオンは顔を真っ赤にする。

 「ふぅん。まだ、ね。」

 まだということはリオンはいつかアリサとしたいと思ってるわけだ。

 「と、まあこんな感じでからかわれて終わっただけです。」

 リオンは、アリサとの事件についてした話をジンに伝える。

 「これは僕が思っていた以上に二人は仲がいいんだね。ただ、一つ言っておくと、寮で不純異性交遊は厳禁。バレたら退学の可能性もあるから、する時はこっそりするんだよ。」

 ジンはリオンとアリサが想像を超えて仲が良いことに驚いていた。ジンがアリサを養子にした時なんかは、会話がままならなかった。何を話しても返事をしないことなんてざらにあった。

 「そんなことしませんよ。」

 「そう?君はアリサ君に惚れてるよね。」

 傍からみれば、リオンがアリサのことを好きなのはとても分かりやすかった。授業中にアリサの方をチラチラ見るし、アリサのワガママを全部受け入れている。

 「それはそうですけど・・・。そういうのは、アリサに勝ってからにしたいです。」

 「なるほどね。」

 リオンのプライドが許さないだろうとジンは推測する。

 (でも・・・。)

 今のリオンがアリサに勝てるそれは絶対にない。それにリオンはアリサに剣術を教える等しているし、アリサとの差は埋まらないどころか、広がる一方だろう。リオンがこの先成長したからといって、アリサに勝てる未来があるのだろうか。

 「今のままじゃ、アリサ君には勝てないと思うけど、何か対策とかはあるのかい?」

 「防御魔法の練度を上げるのが最適かなって思います。」

 「ふむ。」

 対アリサに関してはそれが一番有力な手立てだろう。アリサの一番の打点は炎の輪舞フレイムロンドだ。それを完封することができれば、アリサの攻撃の手数を減らせる。そうすれば、攻撃がパターン化したり、単調になったりして攻めやすくなる。

 「ただ、独学で防御魔法を訓練するには限界があるかなって。」

 「そうだね。」

 剣術学校では最低限しか魔術の授業を行わない。だから、アリサの魔法を防ぐほどの防御魔法を展開できるほどには成長できない。

 その結果、独学で魔術を学ぶことになるのだが、強度な魔法を展開するには、複雑な魔術式を構築する必要があるのだが、リオンにその知識はない。

 「夏休みでよければ、いい先生を紹介してあげるよ。まあ、リオン君の方が人脈はあると思うけど。」

 ジンは教師ということもあり、魔術師の伝手がないわけではない。ただ、リオンの実家であるキングスフォード家の方が伝手がある。というかあり過ぎる。

 「いいんですか。出来れば頼らせて欲しいです。」

 ジンの言う通り、キングスフォード家の力を頼れば、いい魔術師を教師と迎えることはできる。けど、リオンはそうしたくなかった。具体的にはキングスフォード家の力を使いたくなかった。キングスフォード家で教師を呼べば、リオンのことを色眼鏡で見られやすい。それだけキングスフォード家の名はこの国で大きいのだ。

 「じゃあ、手配しておくよ。」

 「ありがとうございます。それと、もう時間も時間ですし、そろそろお暇します。」

 「ああ、もうそんな時間か。」

 大分話が盛り上がった結果、リオンが家に来てから一時間が過ぎていた。

 「でも、もう帰るのかい?てっきり、僕に聞きたいことがあったから家に来たのだと思ったけど?」

 アリサがリオンに自分のことをどこまで話したかは、ジンは知らなかった。しかし、アリサが元々所属していた闇ギルドがリオンを殺しに来た。敵はアリサも呼び出していたことだし、リオンと一緒に始末しようと思ったか、アリサを引き戻しにきたのか、どちらにしろ、リオンがアリサの経歴を知ることになるだろう。

 仮にアリサが自分のことを全て話したとしても、アリサにも分からないことがある。それはジンがアリサを養子にした理由、アリサを剣術学校に入学した理由等。

 そもそもジンはアリサがリオンに自分の全てを話したとは思っていない。闇ギルドの件については、事件もあったことだし、闇ギルドに所属していたことは話してはいると考えている。ただ、それ以上のことは話していないだろう。例えば、自分の素性とか。

 アリサは根本的に人を信じることができない。ジンはそう考えている。それは過去のトラウマが起因するものだとも考えている。

 「もちろん、先生に聞きたいことはたくさんあります。けど、アリサのことは本人から聞こうと思っています。もちろん、先生しか知らないことはあると思いますが、それはアリサが知ってからで十分です。」

 リオンはアリサのことなら何でも知りたい。けど、女の子の秘密を勝手に聞くことは、リオンにはできない。

 「分かった。君がそれでいいなら、僕からは特に何も言わないよ。けど、一つだけアドバイス。アリサ君のことが好きなら、彼女のことを裏切らないでね。」

 ジンは最後にそう言った。

                       ♦

 リオがジンとの話を終え寮に戻ると、アリサがご飯を食べていた。

 「それ、アリサが作ったのか?」

 今日は先生の所に行くことから、昼頃に帰ることは難しかった。だから、アリサには外で食べてもらおうと思い、昼食代を予め渡していた。

 しかし、アリサがここで昼ごはんを食べているということは、おそらく外には出ていないのだろう。

 「そうよ。外に出るのめんどくさいし。冷蔵庫にあるもので、適当に作った。」

 アリサが作った料理は、本人の言う通り、冷蔵庫にあった食材を適当に使った炒め物に、ご飯とみそ汁。ただ、ちゃんとした料理にはなっていたし、おいしそうにもみえる。

 「アリサも料理作れるんだな。」

 リオンはてっきり、アリサが料理というか家事全般ができないから、自分に家事を丸投げしているのだと思った。以前は闇ギルドに所属していたというのもあって、家事スキルとか一切磨いてなそうだし。

 「まあね。昔にちょっと教わったことがあっただけよ。だからといって、私に料理作らせようとしないでよ。リオンの方が料理上手なんだし。」

 「別にアリサにも家事をしてもらおうとは思ってない。ただ、アリサの手料理が食べてみたいなって。」

 味の良し悪しはともかく、好きな人の作る手料理、とりあえず食べてみたいという気持ちがある。

 「ふーん。でも、私料理作るのめんどくさいから、はい、あーんして。」

 アリサは自分が作った料理を箸で取り、リオンの方に向ける。新たに料理を作るのがめんどくさいから、今ある料理で済ませようと考えたたのだ。

 「いいのか。」

 リオンはアリサの誘いにのる。間接キスとか言っていたら、アリサの気分を損ねて、せっかくの機会がふいになってしまう。

 「どう?おいしい?リオンの方が上手だから、何も感想ないかもしれないけど。」

 「そんなことないぞ。ちゃんとおいしいぞ。」

 アリサの料理は肉と野菜を塩コショウで炒めただけの単純なものだったが、逆にそれが余計な味付けとかをせずに、素材の味をしっかり引き出せていた。

 「そう?それは良かったわ。」

 アリサはそう言うと、昼食の続きをとりはじめる。

 リオンは寮までの帰り道にあった飲食店で既に昼食を済ませていたので自室に行く。

                       ♦

 「リオン君って思ったよりも、素直でいい子だね。」

 ジンはリオンが帰った後、本を読みながらそう呟いた。

 リオンと初めて顔合わせしたのは、剣術学校の入学式。キングスフォード家の長男ということで、その能力は非常に優秀なものだ。Aクラスを受け持つことが決まったいたジンは、Aクラス入りが確定であろうリオンの様子を見ていた。

 その時に感じたのは、圧倒的な強さ。そして、それ故の孤独さ。リオンの実力の全貌を見たわけではないが、自分よりも強いのは間違いないし、軍に今入隊したとしても、すぐに一線級の活躍をする見込みがある。

 だからこそ、同年代で競う相手がいないし、彼と交友することで利益がある者以外は近づいてこない。リオンの人格が歪む要素なんていくらでもあった。

 自分の力が圧倒的であるために、それに笠を着たりするパターン。自分の力や権力を利用しようとする人が近づいてきて、人間不信になるパターン。

 色々なパターンが想像できるが、リオンが素直ないい子であるという想像はできなかった。

 「おそらく、彼女はリオンが素直でいい子って知ってたんだろうな。」

 ジンはある女性との会話を思い出す。それは、アリサをジンの養子にしてもらい、剣術学校に入学させるよう、ジンに直接依頼をした人物だ。

 依頼の中に、できることなら、アリサをリオンと同じペアにして欲しいという要望があったわけだ。

 「おっと、そんなことよりもリオンに魔術を教えてくれる先生の手配をしないと。」

 ジンはポケットに入れいている通信魔具で連絡をとる。

 「あっマリア君。ジンだけど、一つお願い聞いてくれるかな?リオン君に魔法を教えて欲しくてさ。アリサ君と対等に戦うには、自分の魔法技術を向上させたいんだって。」

 「そうなんですね。分かりました。けど、私でいいんですか?そのお願いアリアの方が最適ではありませんか?」

 「それでもいいんだけど、リオン君に教えるとなると、アリサ君と顔を合わせることになるでしょ。そうなった時に、アリサ君がどんな反応するか分からないから、とりあえず今は様子見したい。」

 「先生にも考えがあるんですね。ちなみになんですけど、このことはアリアに言ってもいいんですか?」

 「構わないけど、来ないようには言っといてね。」

 「分かりました。」

 「それじゃあ、詳しい日程はまた連絡するから、夏休みの予定空けておいてね。」

 「もう先生ったら、学生生活最後の夏休みを何だと思ってるんですか?」

 「まあまあ、そう言わずに頼むよ。君たちだって、リオン君たちの様子知りたいでしょ。特に、アリア君は彼等の状況知りたいだろうし。」

 「分かりました。」

 「じゃあ、また連絡するから。」

 そう言うと、ジンは連絡を切った。

                      ♦

 「マリア?誰と電話してたの?」

 マリアが電話を終えると、自分の背後から声が聞こえた。声の方を向くと、そこには赤色の長髪をなびかせた少女が立っていた。

 「ジン先生と。アリアには内緒の話をね。」

 「それって、アリサちゃんのことについて?ちょっと教えてよ。」

 「まだないしょ。」

 二人は部屋の中を走り回っていた。

 

 

 

 初めましての方は初めまして。前作を読んでくださった方はお久しぶりです。凛音です。前作を最後に投稿してからもう2年弱が経ちました。

 本当は、前作の続きと言うか、パラレルな展開とかを書きたいのですが、中々間が浮かびませんでした。書けないこともないのですが、本編を否定し兼ねない内容とかだと嫌なので、まだまだ試行錯誤中です。

 そんな中、同時並行で考えていた新作の方が、一旦形になったので投稿してみようと思い立った次第です。

 ただ、社会人2年目でまだまだ忙しいので、投稿ペースは不定期です。書けたら出すみたいな。今回はこの作品が初投稿ということで、ある程度区切りがいいところまで書いて一気に投稿しています。

 後、最近出たイナズマ〇レブンの新作にめちゃくちゃはまっていて、休みの日は基本的にプレイしています。厳選がしんどいんですね。それのせいで、執筆に手が付かない。

 というわけで新作を投稿したわけですが、次回は年内で出来たらなと考えています。拙い素人が考えた作品ではありますが、これからも読んで頂けたら幸いです。

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