水溜まりと流水
かたちを持たない液体だからこそ。
流れる水を羨んだまま
ただ おのれを深く広くする
それでも海にはかなわないんだと
さみしそうに笑ったおまえには
青すぎた空がうつっていた
その場で干あがるのを待つつもりかなんて
意地悪な問いかけはやめとこう
それぞれの生きざまには それぞれの器があって
そいつを満たすのが幸せでも
そいつをあふれさせるのが幸せかどうかは
それでも傾けてこぼれ出るのが幸せかどうかは
ほかのだれかがくちをはさむことじゃない
窪みをみつけて 溜まることできずに
ただ 流れて低い地をめざす
それでも 海にはたどり着けないと
くやしそうに途切れたおまえには
かわいてく涙を思わされた
その場で干あがるよりましだろうになんて
まとはずれな慰めはいらねえか
それぞれの生きざまには それぞれの器があって
そこで涸れてくのが幸せでも
そこに鎖ざされないのが幸せかどうかを
それでも力尽きるまで歩むのが幸せかどうかを
ほかのだれもがくちを酸っぱくしてただろうから