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群れを追放された俺、実は激レア種族でした ~俺だけ使える【ユニークスキル】でサクサク成長・最速進化。無双の異形に至ります~  作者: 歌岡赤
第一章

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魅惑の果実

 大熊から逃げる際、オレは人間の少ない方、つまり森の奥へと誘導するように動いていた。

 なので今いるここは〖マナ〗が濃い。

 強敵に出会えそうな予感をひしひしと感じながら、オレは森を進んで行く。


「(うーん、ちょい歩き辛ぇな)」


 〖豪獣〗となったオレは小さめの象ぐらいのサイズだ。

 この森は身動きが取れねぇほど鬱蒼とはしてねぇが、普通に障害物が多いので物理的に肩身が狭い。


「(よし、ここはスライムの特性を活かすか)」


 体を横長の直方体にし、蛇行しながら進んで行く。

 基本の立方体から大して離れていないので、維持するだけなら疲労は少ない。


 木々の合間をすり抜け進むことしばし、開けた場所に出た。

 広場はなだらかな丘状で、中央に行くほど高くなっている。


「(あの()、美味そうだな)」


 その中央には果樹が一本。〖進化〗したオレでも見上げるくらいの大木だ。

 枝には色鮮やかな果実がたわわに実っていて、遠目に見ても熟れているのが分かる。

 一本の木なのに、枝ごとに()の色も形も様々なのはさすが異世界って感じだが。


「(どれ、一個食ってみるか)」


 〖進化〗に伴う巨大化で、オレの胃袋(?)は拡がっている。

 また、〖食い溜め〗が〖貯蓄〗に上位化して容量が増えた。

 ここらで補給しておくのもいいだろう。


「(うーん……よし、あのオレンジのにするか)」


 無数にある果物の中からオレが選んだのは三日月型の、地球で言うバナナに近い形をした物だ。

 ただバナナと違って房ではなく、一本ずつ枝に付いていたし、色も黄色ではなくオレンジだけどな。

 見て()れはスナック菓子の柿〇種みてぇだ。


「(いっただきます!)」


 そのオレンジバナナを皮ごと体内に取り込む。

 〖溶解液〗で溶かし吸収すると、途端、極上の甘みが広がった。


「(美味い……)」


 思わず溜息が出るほど。それ程までにこの果実は美味しかった。

 系統としてはメロンに近い。ふんわりとしていながら芯の強い、そんな甘さが心地いい。


 あっという間に食べ切って、他のも食べてみようと鞭を伸ばしかけたその時。


「(な、んだ……?)」


 体が動かなくなっていることに気付いた。

 どんなに(りき)んでも動かねぇ。


 いや、力んでもって言い方は正確じゃないか。

 そもそもとして力を込められない。

 長時間正座した後みてぇな麻痺の感覚。


「(っ!?)」


 どうしようかと悩む間もなく事態は進行する。

 突然、地面を突き破って数本の根っこが現れ、オレに巻き付いた。


「ヂュァァ……!」


 そして樹皮に縦の亀裂が入る。

 稲妻のようにギザギザな亀裂が左右に開くと、木の内部には無数の牙が。


「(まさか……トレントか!?)」


 知識の中から敵の正体を探る。

 木に擬態する魔獣も居ると聞いたことはあったが、実際に会うのは初めてだ。


 根っこはオレを巻き取ると、そのままトレントの口へシュート。

 今のオレを丸呑みすることは出来なかったが、体の一部が口の中に納まった。


 亀裂が閉じられ牙が迫る。

 鋭い樹牙に圧迫され、オレの体は──、


 ガキンッ!


 ──傷一つ付かなかった。


「(まっ、そうだよな)」


 二千超えの〖タフネス〗を破れるような化け物がそうそう居ちゃあ堪らねぇ。

 数度ガジガジと齧られながら、口の中の様子を窺う。


「(喉とかはねぇみてぇだな。どこから吸収すんだ……?)」


 新たな疑問は湧いたが、取りあえず格別の弱点となりそうな部位はなかった。

 口の中って時点で他の部位よりは柔らかいだろうけどな。

 てか、今はそれより。


「(いよぅしッ、完全復活!)」


 痺れが取れたことの方が重要だ。

 オレの〖レジスト〗は〖完璧の守勢〗で強化されている。大概の状態異常にはならないし、なったとしてもすぐ解けるのだ。


「(そろそろ動くか、雷撃!)」

「グィギギィィイイ!?」


 反撃の嚆矢は(いかづち)の放射。

 〖マナ〗をふんだんに使用して、いくつもいくつも雷撃を放つ。


「(そして針鼠アタック!)」


 さらに変形能力を利用して、食べられている部分から槍を伸ばした。

 〖進化〗で増えた体積を存分に活かし、牙と牙の隙間を突き刺す。



~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~

・・・

>>不破勝鋼矢(ジュエルアーマリースライム)が〖スキル:スラスト〗を獲得しました。

・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ギュゥァァっ!」

「(〖不退転〗!)」


 外から根っこが伸びて来てオレを引き剥がそうとするも、〖スキル〗でその場に踏ん張る。

 いや、地に足は付いていないのでこの表現が正しいかは分かんねぇが。


 ともかく、〖溶解液〗、〖連撃〗なども併用して継続してダメージを与え続けたことでトレントは悶絶。

 外からは枝が激しく揺れる音がする。まるで急に嵐にでもなったかのようだ。


「(ウオオオオ!)」


 そうしてどれくらい経っただろうか。

 いつの間にかトレントの抵抗は止んでいて、そしてオレの体に力が溢れて来る。

 〖レベル〗が上がったのだ。


 こうして、ジュエルアーマリースライムの初戦は幕を閉じた。



~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~

・・・

>>不破勝鋼矢(ジュエルアーマリースライム)の〖魂積値(レベル)〗が62に上昇しました。

>>不破勝鋼矢(ジュエルアーマリースライム)が〖スキル:悪食〗を獲得しました。

>>〖スキル:抗体〗を獲得しました。〖悪食〗が統合されます。

・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 なお、あの後遺された木の実がもったいなかったのでちょっとずつ食べていると、変な〖スキル〗が増えていた。

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