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群れを追放された俺、実は激レア種族でした ~俺だけ使える【ユニークスキル】でサクサク成長・最速進化。無双の異形に至ります~  作者: 歌岡赤
第五章

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星を侵し壟断す溶混弄呑6

 〖属性〗、〖種族〗、【ユニークスキル】。

 これら三つの異能をまとめて、星神は階梯能力と呼んでいた。

 どれも〔(アルケー)〕より抽出された力であるためだ。


 発露形式が異なるためそれぞれに特徴は異なるが、根っこは同じ。

 そうであるからには互換性もある。

 具体的には、魔法を強化する技術を【ユニークスキル】を強化する技術に転用できたりする。


「(砲魂魔炉(カノンケトル)、最大出力!)」


 今から千年前、アーティファクトの開祖である大賢者は強大な魔獣を封印するべく、〔(アルケー)〕を刺激し出力限界を超えさせるアーティファクトを開発した。

 〖亡獣〗すら封じる程の力を与えるが、使用者の安全を度外視した諸刃の剣だ。


 タナシス達学者が開発したのはその後継機。

 巫女の〔(アルケー)〕を()べることで魔法効果を補強する、といった余分な機能はオミット。

 負荷の軽減と引き換えに低下した出力を、マナクリスタルの品質と機構増設、そして機能の集約によって補った。


「(まさか間に合うとは思ってなかったけどな)」


 決定打が【ユニークスキル】しかないと判明した時点でプロジェクトは動き始めていた。

 当時の【ユニークスキル】のデータを取り、“極王”との戦いを経てからは【栄枯雷光輪廻】の検証と並行して情報を集めた。


「(〖マナ〗は結構食うが出力は段違い(ダンチ)だな)」


 それに“魔王”の補助のおかげもあって、〖マナ〗には十二分に余裕がある。

 有り余る〖マナ〗を砲魂魔炉(カノンケトル)へと込め、そして【ユニークスキル】を解き放つ。


「(形質定義!)」


 十の雷条が地を舐めるようにのたうつ。

 蠢いていた植物達が凝固し、動きを止めた。凝固範囲はこれまでの比ではなく、性能の向上が如実に表れている。


「(〖コンパクトスラッシュ〗! ガンガン行くぜ!)」


 古槍をぶん回して刈り取っていく。

 【ユニークスキル】の強化で効率が上がった。その勢いを脅威に思ったのか、カオスが進行速度を緩めオレへと攻撃を集中させだす。


「(入れ食いだなァ!)」


 とはいえ、枝も根も有効打にならないので獲物が向こうからやって来るようなものだったが。

 差し向けられた枝根を返り討ちにしつつ暴れ回る。

 そして黒い破片が飛び散る中、再び即死の雷を放った。


「(この状態でも即死は無理か……けど!)」


 形質定義と即死を乗せた雷を幾度となく轟かせる。

 カオスの肉体と、その内奥に在る〔(アルケー)〕を撃ち抜く。


 凝固の方は上々だが……即死させるのはやはり無理そうだ。

 繰り返すごとに〔(アルケー)〕を穿つ感覚……芯を捉える感触は鮮明になるものの、即死は不可能だという確信もまた濃厚になって行く。


 それでも無心で雷を撃ち込み続け、ひたすらに練度を磨いた。

 〖明鏡止水〗のもたらす静謐な集中の元、時を忘れて没頭するも……やがて限界はが訪れる。


「(──この辺りが潮時か)」


 体の内側で何かが軋むような痛み。

 事前に聞いていた、〔(アルケー)〕の限界が近いサインだ。


 強化率を抑え負荷を減らしたとは言え、完全にゼロになった訳じゃねぇ。

 短時間に連発すればダメージは蓄積する。


 だから、コイツが完成した時点で形質定義によって削り切るプランは捨てていた。

 使用頻度を減らせば出来なくもねぇが、それじゃあ結局時間が掛かりすぎる。


『ポーラ、これから例の「奥の手」を使う。全員離脱させてくれ』

『分かったよ、〖エリアホール〗。……気を付けてね』


 “魔王”やフィスと一緒に、ポーラの姿も孔の向こうへと消える。

 何が起きるか分からねぇから、人間の大陸まで後退してもらったのだ。

 足止めが居なくなったことで眷属達が意気揚々と駆け出すが、彼らが海に着くより早くオレの『奥の手』も終わるだろう。


「(試し撃ちは充分だ。まずは通電)」


 自身にもう一度【ユニークスキル】の強化(バフ)をかけた。バフの性能もまた砲魂魔炉(カノンケトル)でアップしている。


 そうして全身に伝わった雷を頼りに、自己に宿った〔(アルケー)〕を手繰る。

 かつて〖王獣〗に〖進化〗した時同様、オレの〔(アルケー)〕を知覚する。


「(これで良し。あとは成功を神様に祈るだけだな)」


 かつて神様は言った。オレがこの世界の生まれであれば〖王獣〗の〖魂片(経験値)〗で神への壁を越えられた、と。

 そうできなかったのは【ユニークスキル】に殺した相手の〔(アルケー)〕を喰らう機能がないためだが……裏を返せば、〖王獣〗の〔(アルケー)〕を取り込むことさえ出来たなら【ユニークスキル】でも星神と同じ領域──第七階梯に行ける。


「(他者の〔(アルケー)〕を喰う手段はオレにはねぇ……けど、ただ一つ例外の〔(アルケー)〕がある。成し遂げるための出力も砲魂魔炉(カノンケトル)で確保した。行くぜ、【栄枯雷光輪廻】!)」


 動きを止めたオレへとカオスの攻撃が殺到する中、即死の雷撃を叩き込んだ。オレ自身(・・・・)へと。

 より正しくは、転生に際して付与されたスライムとしての〔(アルケー)〕を、だ。


 〖レベル〗や〖スキル〗といったシステムを適用するため与えられたその〔(アルケー)〕は、他の〖王獣〗と遜色ない密度を誇る。

 いや、ボーナスモンスターとしての〖経験値増加スキル〗を考えればそれ以上かもしれねぇ。


 そんな極上の〔(アルケー)〕を全て焼き尽くす、糧とする。

 死した獣の肉が土へと還り、次の生命の礎となるように。新たなる豊穣の支えとなるように。

 それこそが、【栄枯雷光輪廻】の本懐。


「(ぐっ、あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁ……っ)」


 まるで半身を捥がれるような激痛に霞む意識。荒れ狂う【ユニークスキル】の制御を必死に繋ぎ止める。

 漏れ出た〖マナ〗は雷へと変換され、四方八方を蹂躙していた。

 雷は刻一刻と太さを増し、輝きを強め、カオスの攻撃を近寄らせねぇ。


 暴れ回る稲妻は徐々に指向性を持ち始め、束なって行く。

 やがて天地を貫く一本の光柱となった瞬間、唐突に雷光が途絶えた──神への変容が完了した。



~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~

>>白毫呈す珀陽玲瓏(?)、不破勝鋼矢が死亡しました。

>>不破■鋼矢(null)の瞬間流入エネルギー量が定命臨界点を超過しました。

>>階梯能力は柱真核に到達しています。

 〔神化〕が発生しました。

>>■破■■矢(null)が変生します。

>>〔(アルケー)〕が純化しました。

   身体との合一を観測しました。

>>〔神力(イネルギア)〕の湧出を観測しました。

>>〔司統概念(アリティア)〕の顕在化を観測しました。

>>■■■■■(解析不能)が〔(アストロン)〕として完成しました。

>>解析負荷増大が予測されます。観測及び解析を終了します。

・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ああ──窮屈だ」



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― 新着の感想 ―
[気になる点] つまりもう一人の自分を喰らって神になったと? けど理論上は第七階梯になれるってわかっててもこれはかなりの賭けだったのでは? そしてスライムの『魂』が亡くなったからもうユニークスキル以…
[一言] 覚醒キタアアアアアアアア!!ここでようやく経験値増加系スキルの伏線回収とは。まさか自分自身かぁ
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