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群れを追放された俺、実は激レア種族でした ~俺だけ使える【ユニークスキル】でサクサク成長・最速進化。無双の異形に至ります~  作者: 歌岡赤
第一章

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人間観察

 カサカサ。コソコソ。

 武器をその場に置き、息を殺して移動する。



~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~

・・・

>>不破勝鋼矢(ジュエルスライム)が〖スキル:隠密〗を獲得しました。

・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 程なくしてさっきゴブリンと戦った場所が見えて来た。

 人の声が聞こえたのはこの辺りからだ。


「ကြောက်စရာကောင်းပါတယ်」

「တစ်ဝက် စားရသည်။ နတ်ဆိုးသန္ဓေသား၏ လုပ်ငန်းဖြစ်သည်။?」


 茂みの中からそっと様子を窺う。そこに居たのは武器を携えた四人の人間。

 この世界の人間としては一般的な、赤や青といった色鮮やかな髪をしている。


 どうやら彼らは、ゴブリンを囲んで話し合っているようだった。

 落ち着いて考えてみればかなり猟奇的な殺し方をしたので、何かヤバイ奴が潜んでると思われたのかもしれない。

 文字通り完膚なきまでに、って感じで遠目にもグロテスクだしな、あの死体。


「အခုတော့ အိမ်ကို ယူသွားကြရအောင်။」



~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~

・・・

>>不破勝鋼矢(ジュエルスライム)が〖スキル:意思理解〗を獲得しました。

・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「それもそうだね」

「(!?)」


 会話に耳を澄ませていると、急に会話の内容が分かり出した。

 発音自体は聞き慣れない異世界語のままだが、どのような事を伝えたいのかっていうニュアンスがハッキリと読み取れる。


 〖ステータス〗を見てみれば〖意思理解〗なる〖スキル〗が増えていた。恐らくこれの働きだな。

 読み取れるのは相手が伝えようとしている事だけで、隠そうとしていることまで覗けはしねぇが、今の状況では有用な〖スキル〗だ。


 〖意思理解〗から得られた情報によると、彼らはこのゴブリン惨殺死体が何者の仕業かを気にしてるみてぇだった。

 普通の魔物はこんな傷めつけるような倒し方はしねぇし、人間が倒したなら素材を丸々残しているのがおかしい、的なことを話し合っていた。


 体が半分だけ溶かされた死体も混乱の元である。


「──じゃあ、取りあえず素材だけ持って帰るってことでいいね」

「ウチらが周り警戒してっからちゃっちゃと済ませちゃって」

「頼んだよ。今朝の爆発的な〖マナ〗の激突と何か関係してるかもしれないんだから」


 彼らは会話を打ち切り、素材の剥ぎ取りに掛かる。

 報告だけ上にあげて、素材はありがたく頂戴することに決めたようだ。


 ……オレも、そろそろ決めねぇといけねぇ。

 人間達の前に出て行くか、を。


 ──正直、人恋しさはあった。

 記憶を取り戻してからまだ一日だが、それでも森に独りでいるのは結構堪えた。


 無理に明るく振る舞っても心のどこかに寂しさはあって、初めて人間を見つけたことでその気持ちが強くなった。

 けれど、踏み止まる。

 出て行ったとして、友好関係を築けるとは思えなかったからだ。


「(そもそも言葉を話せねぇしな)」


 リスニングの末獲得した〖意思理解〗があれば何となく相手の意思は分かる。

 けれど、こちらから言葉を発せないのではただの魔獣として狙われるのがオチだ。


 いや、普通に狙われるだけならまだマシ。〖逃走〗すれば済むからな。

 最悪なのはジュエルスライムが〖魂片(経験値)〗の多い魔物として知られていた場合。

 逃げても逃げても追われるだろうし、何なら噂が広まって人間達が大勢やって来る恐れもある。


 オレは黙って殺されるつもりはねぇが、人を殺したくもねぇ。人恋しさは呑み込むべきだ。

 つーわけで出て行かないことにした。


「〖マナ〗もそこそこ消耗したし今日はもう帰還で良いかな?」

「「「異議なーし」」」


 素材を剥ぎ取った人間達は、最後にゴブリン達の武器を回収して踵を返した。

 オレが潜む茂みとは逆の方向だ。


「(……オレも行くか)」


 多少の名残惜しさを振り切るように足早に、斧とナイフを置いた場所まで戻った。

 運が悪けりゃゴブリンや人間に持ってかれてるかもと心配したが、武器達は無事そこに置かれていた。


「スーラッラッラ!」


 嬉しくなって愛斧をブンブンと振り回す。

 鞭の先で握ったため、遠心力で体のバランスを崩しかけた。

 戦闘に使うなら要注意だな、うん。


 それから武器を背負い直し、森の散策を始める。

 〖運搬〗のおかげで武器の重さは苦にならない。この〖スキル〗は運搬時に運搬物からの荷重を軽減するって効果があるのだ。


 ああそれと、〖スキル〗と言やぁさっきまた新しい〖スキル〗を取っていた。

 〖隠密〗だ。音や匂いなどの気配を薄れさせられるらしい。

 スライムに匂いがあるかは正直なところ分からないが、まあ、静音できるってだけで儲けものだな。


 てなわけで〖隠密〗を発動させつつの探索となる。


「(獲物は居ねがー)」


 斧を振り上げナマハゲごっこ。

 全然魔獣に会えずテンションがおかしくなっている。

 自分から出会いたいと思っていると出会えないものなのだなぁ、とオレは一つの学びを得た。


 なお、一口に獲物と言っても今回狙いたいのはオレよりちょっと〖レベル〗が高いくらいの魔獣だ。

 〖雑獣〗だと安全でありがたいが、この際〖長獣〗でもいい。

 多分、オレの〖タフネス〗を貫通するのは〖長獣〗であっても難しいだろうからな。。


 ちなみに、草食の小動物系魔獣は警戒心が強く、〖隠密〗を使っててもすぐに察知して逃げ出すのでオレには狩れない。

 こういうのを狩るのは〖スピード〗の高い魔獣の管轄だ。


 さて、そんな風に捜索を続けていると一体の魔獣が出現した。

 その姿は──


「(……え、ザリガニ……? いやケンタウロスか……?)」


 ──ザリガニとケンタウロスを掛け合わせたような、奇異な見た目をしていた。

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