第三十五話
第三十五話です。
翌日
今日は朝練がある。
だから、今日はいつもより早く起きた。
100m走に出る選手だけの集合で、みんなで練習をするらしい。
「ふわぅーわ」
いつもより大きなあくびが出た。登校経路には、若干霧がかかっていてなんか新鮮な気分だ。
私、走るの苦手だけど大丈夫かな?
やるからにはやっぱ優勝したいけど。
いつも、春夏冬君が向かってくる道を覗く。
今日、遅いな春夏冬君…
「じゃない、違う。忘れてた。春夏冬君、100m走でないんだった!朝練遅れちゃう急がなきゃ!」
ゼェゼェゼェ、なんとか間に合った。
間に合ったけどやっぱ私、走るの遅いな。体力だってないし。不安しかない。
朝練と言ってもただ、100mの走り込みをするだけらしい。
なんだよ、今してきたよ。疲れたよ。
で、でも、走る!
「あんまりめーわくかけたくないからー!!!」
と、叫びながら走った。それはもう必死に。
どうやら、今まで自分自身では気づけなかった醜い部分を自ら晒していたらしく、本番一緒に走る別クラスの女子に笑われてしまった。
「何あの走り方?必死っつうかーキモくね。そりゃ遅いわ。やっぱ本番は私が一番かな。ま、陸上部だしー私ー。」
と、向こうから別クラスの女子達が私の悪口を言っているのだろうか。そう聞こえた。
そりゃあ、クラス内で押し付けられて仕方なく100m走やってるやつが陸上部に勝てるわけないでしょ。
それから、毎日、毎日クソ暑い炎天下での練習をへて、とうとう体育祭本番がやってくる。
最初以外は、佐東もちょっかいをかけてこなかった。
未だに何が目的かわからない。
◇
天気、快晴。
「ふぅー晴れて良かった。」
おでこにつけているはちまきが緩んできたのかズレてきてたのでそれを直す。
そういえば、相変わらずボッチだ。真由美がいなくなり話す相手を見つけようにも既にクラス内でグループが形成されているので、内輪にはいることができない。春夏冬君は別クラスだし…どうしたものか。
とりあえず、応援席のベンチに座ることにした。
暇だな〜春夏冬君来ないかな~
「呼んだ?」
「うわ~春夏冬君!?」
「なんか来てほしそうだったんで、俺のクラスの応援席隣なんで。」
「そうなんだー。ささ、どうぞ、座ってくだされ。」
自分の隣の席を手でトントンと叩く。
「てか、大丈夫?100m走次だよ。」
「あー!ほんとだ!プログラムに書いてあった。じゃ、私行くね!応援よろしく!」
うわ〜緊張してきた。結局、練習しても遅いままだったし。
ここで、クラスの得点を少しでも、上げて貢献できればぁー!
って、ぎゃー!みんな速そうじゃん!
うわー死んだーはい死んだー。
無理でしょ。絶対無理だって。
100m走は、一回で4人で走ることになっている。私は応援席から見て3番目に位置している。
「城ヶ崎さんだっけ?転校生の」
誰だっけこの子?
あ、声聞いて思い出した。
「陸上部の…」
「そう、私は、じき陸上部エースっ!速水 遥だっ!」
「お手柔らかにお願いします。」
「まっあー精々私の引き立て役になってね!練習見る感じ、あんた走るの苦手でしょ?」
「え、えー。その通りです。」
「他の人も何かしらの運動部に入ってるんだけどあなたってなに部?もしかして…」
「はい、そのもしかしての帰宅部です。」
「ふーん。じゃあなんで100m走に立候補したのよ?」
「えっ、えっとーそれは―――まぁ、色々ありまして、半分押し付けというか数合わせというかでして。」
「あっそ。私半端なやつって嫌いなのよね。」
「あ…」
そして、今にでもゲロ吐きそうな緊張の上、さらに煽られ精神的にあまり安定してないのに、とうとう自分の番がやって来た。
前に、何人かいたのにみんなもう走ったのか自分の番が来るまでが凄い短く感じた。
はぁ〜嫌われたな。
ま、別にいいか。別のクラスだし、これ以上彼女と関わることはないし。
最下位は確定か。今のうちに負けたときの言い訳でも考えるとしよう。




